アモルの明窓浄几

芦屋・仕舞屋・三輪宝…生噛りの話題を机上で整理します。

現代版  楢山節考

2007年05月09日 | 万帳報
楢山祭りが三度来りゃよ
   栗の種から花が咲く

この歌は三年たてば三つ年をとるという意味で、村では七十になれば楢山まいりに行くので年寄りにはその年の近づくのを知らせる歌でもあった。

深沢七郎の『楢山節考』の冒頭の一節ですが、食べ物が乏しい村の悲哀を民間伝承の姥捨て伝説をテーマにした小説です。

来年4月から75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」の保険に強制加入されます。現在加入している国民健康保険等から分離独立し、75歳以上の後期高齢者だけを対象とした医療保険制度です。保険料は、都道府県ごとによりますが、一人当り月平均6,200円程度になると試算されています。
介護保険と同じく年金から天引きされ、同保険と合せると毎月1万円程度になりそうです。滞納すると保険証を取上げる仕組みです。
65歳以上の前期高齢者(65~74歳)も例外ではありません。同じく来年4月から国保に加入の世帯は、国保料が年金から天引きされます。更に70歳以上は、病院での窓口支払いが二割(現行一割)負担になります。現役並み所得者は、三割負担です。
保険証の取り上げと資格証明書の発行(窓口での十割負担)を法律に明記し、保険料の払えないものは切り捨てる現代の”美しい国”の掟なのです。

深沢七郎は、ガンで苦しむ母と一緒に暮らして介護し続けたそうです。母は亡くなる前に「私が変わった姿になっても、泣いたりしてはだめだよ」と言ったといわれています。闘病後の母の死は、七郎の気持ちを妙に楽にしたともいわれており、後に七郎は「愛情は悪魔の化身だ」との言葉を残しています。

寝ころんでいた辰平が突然云った。
「おばあやん、来年は山へ行くかなあ」
おりんはそれをきくとほっとした。辰平はやっとその気になってくれたのだと安心したのである。

愛情は悪魔の化身だと言わしめる時代背景は、変わっていないようです。
生きて行くギリギリの世界を口ずさむ深沢七郎のエンディングの楢山節を紹介します。

お姥捨てるか裏山へ
   裏じゃ蟹でも這って来る

這って来たとて戸で入れぬ
   蟹は夜泣くとりじゃない

なんぼ寒いとって綿入れを
   山へ行くにゃ着せられぬ



追伸:カテゴリー「すまいのこと」は、私のもう一つのブログへ引越しします。
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ブログといっても毎日の更新は負担なので、もう一つのブログと交互に月2~3回更新できればと思っています。今後とも宜しくお願いします。

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