アモルの明窓浄几

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5/16『週刊金曜日』は、お勧めです

2008年05月17日 | 万帳報
今週5月16日発売の『週刊金曜日』は、私的には読み応えがありました。
その中から二点ほど紹介します。
今週号は、『老人を殺すな!後期高齢者医療制度』の特集が組まれていますが、それに関連した大塚将司氏の『経済私考』は、「高齢者医療制度を決めたのは誰だ・政治主導の責任が問われない奇怪」と題して、「…日本人の意識に“官治国家”という認識が染みついている。しかし、果たしてそうであろうか。」と述べ、厚生省が当初示していた試案では、助け合い方式(高齢者も従来の制度に加入したまま財源をやりくりする案)と独立方式(高齢者だけを分離して保険料を徴収して独立させる案)の二案を併記していたものの当時の厚生省は、助け合い方式の線で動いていたが、「…“改革”というのは古い組織や制度を廃止し、新しい組織なり制度なりを作るのが一番わかりやすい。小泉政権の改革路線に乗せる以上、独立以外に選択肢はなかった。それを主導したのは政治なのである。」と述べています。
又、最後には「…実は政策決定が政治主導で決まっているのに、国民は官僚主導で決まっていると思い込んでいる。政治家はいつも“失政”から無縁の場所にいる。」と結んでいます。

二点目は、光市母子殺害事件に関連したもので、一つは論争欄での寺西和史氏の『本村洋氏を無批判に賞賛するキャスターの言葉の軽さ』と題する投書です。キャスターとは、テレビ朝日「報道ステーション」の古館伊知郎氏のこと。寺西和史氏と同じ思いの方も多いのでは。
二つ目は浅野健一氏の『人権とメディア』での安田好弘弁護士の5月10日での講演の模様を紹介している内容で、安田好弘弁護士は講演の冒頭で「「ネットの『goo』の調査では、光市事件の差し戻し審の判決は正当だとする人が87%、不当だとする人はわずか3%だった。メディアで報道されたのは事件の一部分にすぎない。報道されなかった真実について知ってもらいたい」と述べた。」と報告されています。私が最も感銘を受けた部分は、「…メディアの記者の力が落ちている。自分の想像できないものに関して理解する力を持っていない」と指摘する安田好弘弁護士の言葉です。このことは記者だけの問題ではなく、情報の受け手である自分への戒めとして。

追伸:手前味噌で恐縮ですが、2月22日号の『週刊金曜日』論争欄に私の投書“高齢者だけの問題ではない「後期高齢者医療制度」”が掲載されています。これは高齢者の方達が、子供や孫の世代に負担を掛けたくないので、別立て(独立方式)の保険制度も受け入れると云った発言を耳にし、そうではないことを伝えたく投書したものです。


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