アモルの明窓浄几

芦屋・仕舞屋・三輪宝…生噛りの話題を机上で整理します。

つづき 再度「がれき」処理を考える

2012年04月30日 | まちのこと
前回で、「では、芦屋市の焼却施設は、どのメーカーの施工によるものなのでしょうか」と問いかけました。
そこで、芦屋市環境処理センターで、焼却施設を施工した会社は何処か尋ねてみました。
施設担当者の話では、平成8年3月にNKKが建設し、現在はJFEエンジニアリングが維持管理しているとの事です。
NKKとは、日本鋼管の事と思われます。日本鋼管は、平成15年に川崎製鉄と事業を再編し、エンジニアリング関連事業を日本鋼管が継承、JFEエンジニアリング(株)に社名変更しました。従って、同じ会社と考えてよいでしょう。
JFEホールディングス傘下の企業で、エネルギーや環境システムの設計・建設を行っています

芦屋市の焼却炉は、全連続式ストーカ炉で日量115トンのごみ焼却ができるものを2基設置されています。公害除去設備としては、脱塩反応塔、ろ過式集塵機、触媒脱硝装置を装備して塩化水素、煤塵、窒素酸化物を除去します。
ダイオキシン類などの測定結果は、定期的に「広報あしや」に掲載されています。因みに昨年の12月1日号では、市内の放射性物質等の測定結果が掲載されていました。

さて、芦屋市の焼却施設の施工(維持管理共)が、JFEエンジニアリング(株)と判明した処で話は戻しますが、前回の当ブログにおいて紹介した『週刊金曜日』(4/20号)のアンケートに対し、JFEエンジニアリング(株)はどの様に回答したのでしょうか。
残念ながら回答欄には「無回答」と記されていました。
何故、自社製品について明確な回答ができないのか、『週刊金曜日』は、電話で対応した担当者に聞いています。
それは、「みな一様に『放射性物質除去について、実績や実証データがなく、明確な回答ができない』、『放射性物質についての知見を持っていない』、『自治体(提供先)の了承が必要』などと口を濁す」と云っています。

現状のバグフィルター装置で放射性物質の除去は可能なのか?
市はこの件についてどのように考えているのか?
先週26日の「集会所トーク」において、市長に尋ねることにしました。

市長「集会所トーク」における質問は、概ね下記の通りです。
岩手、宮城の被災地「がれき」処理について、お尋ねします。
① 山中市長は議会において、本市に受け入れ要請があった場合には、放射能汚染等についての安全性が確保されていることを受け入れの条件として、県や関係自治体(関西広域連合)と協議し判断するとおっしゃっていますが、受け入れ決定までのプロセスと云いますか、市独自の方針や基準等をお考えなのかをお聞かせください。
例えば、関西広域連合で方針や基準を決定した場合には、それにすべて従うのか?
そうではなく、市独自で基準等を作成し、広域連合の基準等とすり合わせを行うのか?などです。
→回答:山中市長は、阪神淡路大震災の時に瓦礫の一部を他市に協力して頂いた事を述べ、「受け入れなければならない」と発言。又、本市での独自基準などは考えていないとの事でした。

② 焼却施設の性能が問題になると思われますが、環境省は、バクフィルターで放射性物質の除去は、ほぼ100%可能であるとしています。『週刊金曜日』(4/20号)が、廃棄物処理施設を施工している主な13の会社に対し、アンケートを実施した処、殆どは「アンケート拒否」、「無回答」や「回答を差し控えて頂きます」との回答です。
放射性物質の除去について、知見を持ち合わせていないと云うものです。
この『無回答』のなかに、芦屋市が維持管理を委託しているJFEエンジニアリング(株)があります。
市長はこのメーカーに対し、放射性物質の除去は可能だとする科学的データを提出させ、市民にデータの公開をする旨、お約束して頂けないでしょうか。
→回答:北田都市環境部長から説明があり、その趣旨は、焼却灰の最終処分場が海面埋立地になるため、放射性物質が海中へ流れ出した場合の国の基準が明確に示されていない現状においては議論の進展はなく、それからの話との事。従って、焼却施設の性能評価はこれからの検討課題といった感じでした。
尚、重ねて放射性物質除去のデータの公開について尋ねた処、進展すればそのように対応するとの回答を得ました。
以上

私の感想は、瓦礫を「受け入れなければならない」と市長が強調していたのが印象に残りました。積極的に受け入れたいとの思いがあるようです。又、市独自の方針や基準を設けるのではなく、関西広域連合(兵庫県)の決定に全面的に従う事のようです。
この事は大変残念な事です。各市で独自に決めることに支障はないのですし、市によって事情が違うはずなのです。芦屋市においては、地元自治連合会との間に公害防止協定を締結しています。風向きで山手方面にも煤塵は流れてきます。今の処、関西広域連合では、焼却前瓦礫の放射性セシウム100ベクレル/㎏以下(国240~480)と焼却灰の2,000ベクレル/㎏以下(国8,000)は議論の対象になっていますが、焼却施設の性能について議論されているかどうかはわかりません。芦屋市は議論の対象とするべく要望するか、独自に検討すべきと思われます。

又、私は「安全」であることは当然ですが、それを市の責任において担保せよとまでは考えていません。最低限望んでいる事は、市民に対して「安心」を担保する事。この事も市長に申しあげました。
「安心」を担保するとは、国が行ったような基準の決定プロセスにおいて、拙速で不透明かつ、説明も不十分と云った事のないようにお願したいと云う事です。

「集会所トーク」での市民の反応は、概ね瓦礫受入れに賛成の様でした。
「福島の瓦礫は受け入れたくないが、他の瓦礫は受け入れてもよい」と発言された方も居られます。元々、福島県の瓦礫等は広域では処理する予定になっていないのですが、『絆』キャンペーンは浸透しているようです。

最後に、下記のホームページをご紹介しておきます。
● JEFMA(2012 No.60号)
「東日本大震災と福島市あらかわクリーンセンターでの対応」参照
→ http://www.jefma.or.jp/jefma/60/pdf/jefma60-4.pdf
註:(財)日本環境衛生施設工業会の特集記事
  焼却飛灰はバグフィルターで、ほぼ完全に除去されている事の事例。処理方式は、ストーカ炉+灰溶融炉
● 「ごみ探偵団」hp
放射能と焼却炉「放射能はバグフィルターで除去できるか 1、2」と青木泰さんのコメント
→http://gomitanteidan.blogspot.jp/2011/07/blog-post.html
註:焼却炉の問題点は、これを見て頂くとよく判ります。




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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
茶屋トークで市長に申し上げました。した (椋尾 繁)
2012-05-09 07:27:14
昨夜私は②のあたりを援護射撃できればと以下を市長に紹介しました。東京新聞4/23付、川崎市での広域処理についての勉強会「「そこが知りたかった!がれきの真実」での環境総合研究所の「池田こみち」副所長の広域処理の実態についての記事の下記の部分です。「ガレキの処理方法を検討した環境省の有識者会議は非公開。放射能を99.%除去出来るとした根拠も「放射性物質と関係ない一回の(廃棄物)学会論文だけ。これで日本中で焼却して大丈夫とするのは拡大解釈。科学ではないと批判した。
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新聞の紹介有難うございます (amor)
2012-05-10 09:39:04
椋尾さま、東京新聞のご紹介ありがとうございました。現地の方が『早く処理してほしいが、広域でとは言っていない』との言葉に被災者の思いが伝わります。被災地の方々との連帯が大切ですね。9日朝日朝刊によると、大阪府と市は、夢洲で焼却灰を埋め立て処分する方向で、環境省と最終調整に入ったとのことです。ゼオライトでセシウムを吸着処理するとの案が有力だそうですが、大阪の決定は関西広域連合の方針に影響すると思われますね。
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芦屋市民です (アミコ)
2012-06-04 08:39:18
はじめまして。
芦屋市に住む3児の母です。
今、友人と「放射能から子どもを守る会・芦屋」を立ち上げようと準備中です。
苦労しているのが、仲間作りです。周りの母達は、放射能やがれき問題等、あまり関心がないようで、残念です。
芦屋市で、この問題に関心を持っておられる方がいらっしゃって嬉しく思います。
きっと気になっている人はたくさんいると思うので、会のチラシを作って配る予定にしています。

出だしから疾走しないよう、焦らずにやっていくつもりです。

よろしくお願いいたします。
またコメントさせて頂きます。
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アミコ様、コメント有難うございます (amor)
2012-06-09 12:00:31
アミコ様へ、コメント有難うございます。
幼子を持つ親としては、心配するのは当然ですね。
6月8日号の『週刊金曜日』は、「放射能と学校給食」が特集です。
特集の中に、世田谷こども守る会の中山瑞穂さんの記事があり、三歳長男の保育園の父母会で放射能による給食の安全性を取り上げると反応がイマイチで、孤立状態になられたそうです。
『気にする自分がおかしいのか』と思われていたそうですが、「世田谷こども守る会」の茶話会に参加して、『一人ひとり孤立したまま点在している状態だった』事に気付かれたそうです。
特集の中には、「横須賀方式」測定法の問題点なども述べられています。
アミコさんが云われる通り、焦らずに進んでください。良い方向の運動へ発展されるのを願っています。

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