アモルの明窓浄几

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再度「後期高齢者医療制度」について思うこと-8

2008年01月26日 | 万帳報
愈々、「後期高齢者医療制度」の施行日(4月)が、目の前に迫ってきました。
その制度の本質を知るには、条文の目的を読むとよいと言います。更に、新旧移行する場合は、各々の「目的」を見比べるとより一層その本質が明瞭になります。
後期高齢者医療制度の法律は、このシリーズ(-2)でも触れましたが、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づくものです。この法律は、現行法の「老人保健法」を全面改正し、名称変更するものです。
ここに、この新旧の「目的」を掲載し、比較してみたいと思います。

●「老人保健法」
  (目的)
  第1条:この法律は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もつて国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ることを目的とする。

●「高齢者の医療の確保に関する法律」
(目的)
第1条:この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もつて国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。

老人保健法では、「国民の老後における健康の保持」のため「保健事業を総合的に実施」すると、老後における健康の保持を全面に謳っており、各健康保険加入者は、等しく老人医療を適用されていたのに対し、新制度では、この前文が全く抜け落ち、「医療費の適正化を推進するため」に「後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行う」として、全く独立した医療保険制度としての後期高齢者医療制度を設けるものです。この適切な医療の給付とは、医療費の抑制に他なりません。
又、「医療費の適正化を推進するための計画の作成」の内には、『高齢者担当医(仮称)』と称する医師(一患者一担当医)に診療計画を作成させ、他の診療所や病院での診療を受けさせなくする予定です。診療報酬を「包括定額制」とし、保健医療に上限を設けることは以前紹介しましたが、ここまでしてでも医療費を抑制しようとしています。

更にこの法律の酷いところは、「国民の共同連帯の理念等に基づき」といいながら、前期高齢者(65~74歳迄)と後期高齢者(75歳以上)に区分けし、後期高齢者(前期高齢者の内、一定の障害のある人を含む…これもおかしいですね)のみ新制度に移行させ、家族に扶養(被用者保険に加入)されている方々も含め夫婦別々に一人ひとりから直接保険料を徴収する事です。他の医療保険から切り離し、人間関係も切り離す制度です。
そして、「保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずる」とありますが、この制度では、各地域の後期高齢者医療広域連合が保険者となるため、健康診査等に地域格差がでると云われています。法律の大枠は国が定め、実務面は広域連合にさせるという責任所在のハッキリしない制度です。
この様に「目的」の違いは明瞭で、酷いものです。改悪法といっていいでしょう。

今回は、「後期高齢者医療制度」の基本部分を法文の「目的」を例に再確認してみました。
次回は、確定した保険料に触れます。

追伸:芦屋市では現在、後期高齢者医療制度の説明会を行っています。今後の予定場所は下記の通りです。
   ・1/28(月)大原集会所 ・1/29(火)朝日ヶ丘集会所 ・1/30(水)打出集会所 ・1/31(木)茶屋集会所 ・2/2(土)翠ヶ丘集会所
何れも午後二時からの開催です。日曜日や夜の時間帯に一度も説明会が開かれないのは、大変残念なことです。私も何れかの会場に参加する予定でいますが、仕事を休むことになり辛いことです。物言う市民になりましょう。
参加された方は、当ブログにご意見をお寄せてください。
罵詈雑言でなければ、掲載させて頂きます。



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