アモルの明窓浄几

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つづき 「大飯原発」再稼働決まる01

2012年06月19日 | まちのこと
前回の続きです。
野田佳彦首相は6月8日の記者会見で、『福島を襲ったような地震・津波が起こっても、事故を防止できる対策と体制は整っています。これまでに得られた知見を最大限に生かし、もし万が一すべての電源が失われるような事態においても、炉心損傷に至らないことが確認をされています』と述べています。

しかし、関電と専門家との間には大きな隔たりがあります。
例えば「F-6断層」について朝日新聞(6/9日付)では、「関電大飯原発の敷地内にある断層について、名古屋大学の鈴木康弘教授(変動地質学)と東洋大の渡辺満久教授(変動地質学)が『活断層の可能性がある』とする分析結果をまとめ、再稼働前の現地調査の必要性を指摘している。関電は『活断層ではないと判断しており再稼働調査の必要はない』としている」とし、鈴木康弘教授は「関電の調査は不十分で、断層の活動を否定できる根拠がない」と指摘しています。

「大飯原発直下に活断層の可能性:F-6断層:渡辺満久」より
→ http://www.youtube.com/watch?NR=1&feature=endscreen&v=oSGYIcEc44E

又、しんぶん赤旗(5/27日付)日曜版によると、「大飯原発の間近には、熊川断層と二つの海底活断層(FO-AとFO-B)があります。専門家の指摘で、二つの海底活断層は連動すると(関電は)軌道修正したものの、陸側の熊川断層との連動は否定。仮に…連動(長さ約6km)しても、大飯原発の揺れの強さは760ガルで、安全性は保たれると主張しました。これに渡辺満久東洋大教授(変動地質学)は、『二つの海底活断層と熊川断層がつながっている可能性は否定できない。これらの活断層が連動して動いた時の揺れの想定が過小評価されている可能性もあります』(中略)関電は試算の詳しい根拠を明らかにしていません」と云っています。

「美浜の会」より
→ http://www.jca.apc.org/mihama/ooisaiban/sanrendou_20120504.pdf

これらの様に、活断層の評価ミスや原発の揺れの想定が過小評価されている事、さらに原発耐震性の炉心損傷などの致命的欠陥が次々に明らかになってきています。
しんぶん赤旗(5/14日付)によると、「電力各社が政府に提出したストレステスト(耐性試験)結果は、提出済みの20基の9割にあたる18基が、中越沖地震級の揺れで炉心損傷に至るかどうかの限界点(クリフエッジ)を超えるという、致命的な弱点を持つ事を示しています(下記グラフ参照)」と指摘しています。
又、「大飯3、4号機は、限界点が1260ガル。中越沖地震で柏崎刈羽1号機が受けた1699ガルの4分の3程度の揺れでも、限界点を超えてしまう計算です。(中略)政府が『安全性を最終的に確認した』などと再稼働の手続きを進める事の無謀さは明白です」と云います。

※「ガル」は、揺れの強さを示す加速度の単位

更に、津波についても、「戦国時代の天正大地震(1586年)の際に、若狭湾で津波による被害が歴史文献に記載されていますが、昨年開始した調査の結果はまだ出ておらず、津波の想定の前提が揺らいでいます。『地震・津波』による構内のがれき撤去など『大雪や台風でも時間内に作業ができるのか』といった懸念が、ストレステストについての原子力安全・保安院の意見聴取会で専門家からあがっています」との事です。

※ 原発(原子炉)のストレステスト1次評価結果
 ※ 地震(①.想定する揺れ、②.揺れの限界点、③.安全裕度)
 ※ 津波(①.想定する高さ、②.津波の限界点)
● 東京電力柏崎刈羽原子力発電所1号機 … 新潟県
 ▽ 地震 ①.2,300ガル、②.2,967ガル、③.1.29倍
 ▽ 津波 ①.3.30m、②.15.00m
● 関西電力大飯原子力発電所1号機 … 福井県
 ▽ 地震 ①.700ガル、②.1,141ガル、③.1.63倍
 ▽ 津波 ①.2.85m、②.11.40m
● 関西電力大飯原子力発電所3号機 … 福井県
 ▽ 地震 ①.700ガル、②.1,260ガル、③.1.80倍
 ▽ 津波 ①.2.85m、②.11.40m
● 関西電力大飯原子力発電所4号機 … 福井県
 ▽ 地震 ①.700ガル、②.1,260ガル、③.1.80倍
 ▽ 津波 ①.2.85m、②.11.40m
● 関西電力美浜原子力発電所3号機 … 福井県
 ▽ 地震 ①.750ガル、②.1,320ガル、③.1.76倍
 ▽ 津波 ①.2.37m、②.11.10m
● 関西電力高浜原子力発電所1号機 … 福井県
 ▽ 地震 ①.550ガル、②.935ガル、③.1.70倍
 ▽ 津波 ①.2.60m、②.10.80m
● 日本原子力発電敦賀原子力発電所2号機 … 福井県
 ▽ 地震 ①.800ガル、②.1,416ガル、③.1.77倍
 ▽ 津波 ①.2.80m、②.11.60m

※ 地震の揺れ(最大加速度)
標準加速度/1G=9.80665m/s2  1G=980.665ガル(重力加速度)
( 1ガル=1cm/s2  100ガル=1m/s2 )
地表近くで起こる地震では、強い上下動が発生することがあり、上下方向に重力以上の力が加わる(重力加速度を超過)と、固定されていない物体は跳ね上がる。
.▽ 2008年 岩手・宮城内陸地震(M7.2)、深さ8km 
  4,022ガル(岩手・一関市厳美町祭畤)
▽ 2011年 東北地方太平洋沖地震「東日本大震災」(M9.0)、深さ24km 
  2,933ガル(宮城・栗原市築館)
▽ 2004年 新潟県中越地震(M6.8)、深さ13km 
  2,515ガル(新潟・長岡市、旧川口町川口)
▽ 2007年 新潟県中越沖地震(M6.8)、深さ17km
  1,018ガル(新潟・柏崎市西山町池浦)
▽ 1995年 兵庫県南部地震「阪神・淡路大震災」(M7.3)、深さ16km 
  818ガル(神戸市中央区中山手)
▽ 2011年 静岡県東部地震(M6.4)、深さ14km 
  1,076ガル(静岡・富士宮市)


追伸:最大電力は、火力と水力を合わせた発電能力で賄えてきた件については、次回へまわします。


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