アモルの明窓浄几

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つづき 「大飯原発」再稼働決まる02

2012年06月20日 | まちのこと
野田佳彦首相の記者会見(6/8日)で、「国民生活を守ることの第2の意味、それは計画停電や電力料金の大幅な高騰といった日常生活への悪影響をできるだけ避けるということであります。(中略)これまで、全体の約3割の電力供給を担ってきた原子力発電を今、止めてしまっては、あるいは止めたままであっては、日本の社会は立ち行きません。(中略)そうした事態を回避するために最善を尽くさなければなりません。夏場の短期的な電力需給の問題だけではありません。化石燃料への依存を増やして、電力価格が高騰すれば、ぎりぎりの経営を行っている小売店や中小企業、そして、家庭にも影響が及びます。空洞化を加速して雇用の場が失われてしまいます。そのため、夏場限定の再稼働では、国民の生活は守れません」との発言に、私は殆ど「脅し」ですねと云いました。

今回は、原子力を全て停止しても、火力と水力を合わせた発電能力で最大電力を賄えてきた事を紹介します。
6月14日のMBSラジオ「たね蒔きジャーナル」から、京大原子炉実験所の小出裕章助教の発言をお聴きください。
音声はこちらから
→ http://www.youtube.com/watch?v=OV4sHINam1U&feature=player_embedded

▼20120614 MBS(毎日放送)ラジオ『たね蒔きジャーナル』
千葉「京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんです。小出さん今日もどうぞよろしくお願いします」
小出「はい。よろしくお願いします」
千葉「今日は毎日新聞論説委員の藤田悟さんと一緒にお話を伺います」
藤田「ああ藤田です。よろしくお願いします」
小出「はい。藤田さん、よろしくお願いします」
千葉「ではまず、ニュースでもお伝えしたんですけれども。福井県の大飯原発3、4号機の再稼動につきまして、地元のおおい町の町長が、再稼動を認める意向を示して、福井県知事に伝えたということです。で、今週中には県知事が同意して、総理大臣に伝えられて再稼動ということになる見通しなんですけれども。このことについてまず、小出先生のご感想をいただけませんか」
小出「はい。大変残念、です。え…ただし、残念、というだけでは済まないものが、ここにはあると思います」
千葉「はい」
小出「え…その原子力をやってきた、長ーい歴史というのが、あって。おおい町もそうですけれども。地域全体が、原子力にすがらなければ生きていかれないという、そのような状況に追い込まれてしまったうえで、原子力を受け入れてしまい、ました。そしていちど受け入れてしまうと、それに依存するような、街になってしまうわけですし。次々とまた新しいおカネを欲しがる以外にないということに、なってきた、というのが日本の原子力のやり方だったと思います。え…言葉は悪いですけど、いわゆる麻薬患者を作って、ますます麻薬漬けにしていくと、いう歴史がきた、続いてきたと私には見えます。え…地域の人達にそれを簡単に抜けろということは、すぐには言えない。どうやれば、う……その街、全体が、きちっと生き延びることができるのかというそのことを考えなければいけないのだと、思います。ただし、まあ町議会にしても福井県議会、あるいは福井県知事にしても、その人達こそがそういうことを考える責任がある人たちだと思いますので」
千葉「ええ、ええ」
小出「しっかり考えて欲しいと思います」
千葉「ええ。その、県議会なんですけれどもねえ。え…全員協議会を開いて再稼動問題について話しあったそうなんですけれども。お…その結果、再稼動は知事の判断だから、議会に意見を表明させて責任を負わせるという馬鹿な話はない、といった意見が出て」
小出「(苦笑)」
千葉「県議会として採決や意見集約はしないで、知事に判断を一任したということで。」
小出「はい」
千葉「あの、いろいろ報道を聞いてますと、なんだか総理が決めたから、町長が決めたから、知事がこういう考えだからで、みな責任から逃げてるっていう感じがするんですけど」
小出「そうですね。情けない議会ですね」
千葉「ええ」
小出「議員一人一人がちゃんと自分の思いを発信しなければいけないと思うし。一人ひとりが個人の責任を負わなければいけないと私は思うのですが。残念ながら、少なくとも原子力の世界というのは、個人としての責任を誰も負わないという。そういうまま今日まで来てしまいました。」
千葉「ええ…ほんっとに変な世界ですよね」
小出「はい」

千葉「え…それからリスナーの方からの質問が来ておりまして。こちらご紹介します。ラジオネームおぺらさんというかたです。え…大阪府にお住まいの方で。わかりきったような質問をして申し訳ないんですけれども。大飯原発を動かさないのと、動かしたのとでは、危険度は違うのですか、という質問なんですが、先生改めて教えてもらえますか」
小出「もちろん危険度は違い、ます。え…運転中に全所停電をした場合には、事故が劇的に進行してしまう…しまいます」
千葉「はい」
小出「え…福島第一原発の1号機から3号機で進行したように、もう本当に手のつけようのないまま事故が進行してしまいますので。まずは動いてる状態をやめるということは、徹底的に大切だと、思います」
千葉「はい」
小出「では、動いていなければ安全かといえば、もちろんそうでは、ありません。え…すでにこれまで日本で原子力発電をやってきてしまったがために、広島原爆が、まき散らした放射性物質の、120万発分、に相当する核分裂生成物を日本は作ってしまった」
千葉「120万発分ですか」
小出「はい。それは、消すことが出来ないゴミとして、え…それぞれの原子力発電所の中に溜まってるわけですし。今でも福島第1原子力発電所の進行中の事故の中でも、それが危機に直面している、のです。ですから、止めれば安全だということではありませんが、まずは止めなければいけないと私は思います。」

千葉「はい。わかりました。え…続いてはですね。う…東京電力の社内の原発事故調査委員会が近く報告…最終報告書を出す予定だというニュースが入ってまして。この案が明らかになったということです。で、それによりますと、原発の北西の方向に重大な汚染を引き起こした最大の原因は、当初言われていたベントではなく、2号機の格納容器から漏れ出したガスだと結論づけているんですけれども。詳しい損傷の箇所や原因については書かれていなかったということです。これ、詳しい損傷の原因が無い報告書というのは、ほとんど意味が無いと思うんですけども。」
小出「はい(苦笑)。おっしゃるとおりです。え…もちろん、現場に誰も行くことはできませんし、原因を確定するということは、これから10年後20年後、あるいは30年後になるかもしれない、と私は思います。ただし、私自身は、2号機の放射性物質の漏洩が生じた場所というのは、私なりの推測が、あります」
千葉「はい」
小出「え…それは、サプレッションチェンバーと私達が呼んでいる、まあ格納容器の一部なんですけれども」
千葉「ええ、ええ」
小出「え…格納容器本体はドライウェルと呼んでいますが。そことサプレッションチェンバーを結んでいる配管があるのですが。配管と言ってもまあ巨大なパイプなんですが。そこが私は破損して、そこから出てきたと思っています。え…それは、福島第一原子力発電所のまあ最大の、安全問題だと、もともと米国のジェネラル・エレクトリックの設計者たちが指摘していたことで。それが多分現れたのだと、思いますし。そうなると、うん…政府と東京電力は津波が原因だと言いたかったわけですけれども。そうではないということになってしまいますので。どうしても東電としては、言いたくないということだと思います。」

千葉「はあ…。藤田さん、いかがですか」
藤田「はい。ええ、であの、今回そのおおい町長のですね、」
小出「はい」
藤田「その…んー、まあ同意の表明を受けましてですね。まあ数日中にその福井県知事の同意を受けて、え…政府がその…大飯3,4号機のですね、再稼動を正式に発表するということになりますが。まあしかしこの一連の手続きをみるとですね、まあせっかくこう、この夏みんなで節電をしてですね、え…まあ原発なしでも、まあ節電してなんとかやっていこうと。原発がなくてもこう乗りきれるというですね、そういうことを証明できる非常にいいチャンスだったと思うのですが」
小出「はい」
藤田「そういうチャンスも奪われて。まあ非常に残念な気がするんですが。小出さんはいかがですか」
小出「藤田さんがおっしゃるとおり、です。充分今年の夏も乗り切れた、筈だと私は思います。それも今藤田さんが国民が節電をしようと思ってきたとおっしゃってるわけですけれども。全く節電もしなくても乗りきれるのです。」
藤田「ああ」
小出「はい。それは日本の、日本の国家の統計データがそれを示してい、いますので」

藤田「はい」
小出「え……何の節電もしなくても、日本はいついかなる時も電力供給に支障がないのです、本当は」
藤田「うーん」
小出「ただし、え…原発を動かさないと停電してしまうぞという脅しに、国がそれを使って。ほとんどの皆さんがそれを騙されてまずはきてしまっているわけ、です。それでも国民のほうはまあ節電ぐらいやろうかと、いう、気になっているわけですけれども。それでも野田さんは、国民の生活を守るためとか、いかにもなんか、国民にお、お、恩着せがましくですね、理由をつけてやろうとする、のですね。本っ当に異常な人たちだと私は思います」
千葉「はい。小出さんどうもありがとうございました」
小出「はい。ありがとうございます」
=====
如何でしたか。
小出裕章助教は「充分今年の夏も乗り切れた、筈だと私は思います。(略)全く節電もしなくても乗りきれるのです。(略)それは日本の国家の統計データがそれを示しています」と根拠まで示しています。
火力と水力を合わせた発電能力で賄えるのです。事前に電力各社が電力を融通させるように協力体制を整えてさえいれば、大飯原発の再稼働は必要なかったのです。

最後に6月18日の当ブログからの再録ですが、京都大学の植田和弘教授の発言で締め括ります。「原子力を基幹電源として維持し、電力会社の経営を助けたい。経済界から出ているそんな声に今、政府が懸命に応えようとしているようにしか見えません。(中略)私はごみ問題から環境経済学の道に入りました。学んだ一番の基本は、廃棄物の最終処分ができない技術は生産の資格がないということです」。


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