アモルの明窓浄几

芦屋・仕舞屋・三輪宝…生噛りの話題を机上で整理します。

『松韻の街』を思う-4

2007年06月08日 | まちのこと
前々回に「建築条件付土地売買契約」は、独占禁止法上も問題なく当然認められていると言いましたが、元来建築条件付土地取引は、独占禁止法第19条で禁止している不公正な取引方法に該当する恐れがあるものとして取り扱われてきた経緯があります。従って、当時の独占禁止法の取扱いを前提とした「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第3条12号(建築条件付土地取引に係る表示事項)が存在したわけです。
しかし、その後の不動産取引市場の大きく変化した経済情勢下において、建築条件付土地取引の独占禁止法上の解釈も整理され、同表示規約施行規則の改正が行われました。
この規則改正までの間、臨時的取扱いとして、2003年4月10日に(社)首都圏不動産公正取引協議会より通知が出されています。規則改正の経緯を含め、「建築条件付土地取引」の概要(解釈)が表示例を示して、判りやすく説明されています。これらの詳細は、文末の[参考]に転載していますので、参照してください。
内容を見て頂くと、私の「質問7」の意図がわかってもらえると思います。依って、この規則改正について「特に感想はありません。」との市側の回答は、私にとっては非常に残念でした。

建築条件付土地取引に係る表示事項に関する臨時的取扱いについての要旨は、概ね下記の通りです。
(本文より引用抜粋)
1.建築条件付土地取引は、建築請負契約を締結する当事者、期間及びその条件の種類・態様のいかんを問わず、それ自体が直ちに独占禁止法上の問題となるものではなく、当該宅地建物取引業者の市場における地位、宅地建物の需給の状況等を踏まえ、公正競争を阻害するおそれの有無によって個別に判断されるものである。
2.建築条件付土地取引の問題は、独占禁止法のほかに「不動産の表示に関する公正競争規約」第5条の広告開始時期の制限の問題とも関係しています。建築請負契約を締結すべき「一定期間内」について、独占禁止法の観点からは「3ヶ月以内」にという要請があり、他方、広告開始時期の制限の観点からは、設計協議に少なくとも3ヶ月は要するものと考えられ、これに満たない期間を設定する場合には広告開始時期の制限の脱法行為の疑いが生じるということから、「3ヶ月以上」という要請があり、これらの相異なる要請を同時に満たすために、同表示規約の運用上は、この「一定の期間内」を「3ヶ月程度」として運用してきたという経緯があります。
3.依って、独占禁止法の新しい見解の下においては、この期間の設定が当事者間の合意に委ねられることとなることから、この期間が3ヶ月より短くなる場合も考えられるが、このような場合には、この問題が正面から捉えられ、同表示規約第5条の広告開始時期の制限の脱法行為として捉えられるおそれが生じることとなります。
4.従って、広告開始時期の制限規定の脱法行為であると認定されないためには、取引の実質的内容が顧客の積極的な注文・指示にしたがって行われる建物の建築請負契約でなければなりません。

以上、ポイントは、最後の「取引の実質的内容が顧客の積極的な注文・指示にしたがって行われる建物の建築請負契約でなければなりません。」ということでしょう。

市への「お尋ね」14項目の内、半分の7項目(質問1,4,6,7,8,9,10)は、「建築条件付土地取引」について尋ねています。

質問4・6:早く売却を完了させたいために「建築条件付」としたとの回答ですが、土地譲渡契約締結後、三ヶ月以内に建築請負契約を締結することがその意味ならば、表示規約改正の趣旨を理解していないのではないでしょうか。

質問7:(社)首都圏不動産公正取引協議会からの通知の件ですが、既に述べたように「特に感想はない」との事でした。独占禁止法及び表示規約改正についての考えを知りたかったのですが残念です。

質問8:建築請負契約を締結するのに三ヶ月あれば出来るとの回答でしたが、旧表示規約施行規則第3条12号では、一定期間(従来は、三ヶ月が目処)内に建築請負契約が成立することを停止条件(建築条件)として、土地売買契約をする事となっていましたが、表示規則改正後は、締結期限は売主と買主の自由意志(当事者間の合意)による事となりました。従って、三ヶ月以内ではなく、一年以内等でもよいのです。「取引の実質的内容が顧客の積極的な注文・指示にしたがって行われる建築請負契約」である事が重要なのです。例えば、建物の設計は顧客の希望を充分反映してプランを作成し、見積りされることが必要ですから、三ヶ月以内が必要且つ充分であるのかが問われます。市の回答は、表示規約改正の趣旨を充分に尊重しているとは思われません。

質問9:『松韻の街』-2において、建築工事請負契約を締結する相手は、土地の売主(芦屋市)か、売主の代理人(共同事業者)に限定されていると云いましたが、これは原則であり表示規約改正後は、第4条6(1)建築条件付土地の用語の定義で、( )括弧書きで「建築請負契約の相手方となる者を制限しない場合を含む。」とあります。要するに、売主の了解を得れば、買主の自由選択で建築請負業者を選ぶ事が可能であると云うことです。従って、「買主の自由選択を共同事業者の会員に限定した理由は何ですか。」と問う質問になったわけです。

質問10:上記の様な買主の自由選択以外に、売主が指定する数社の中から選択する事も可能です。売主と買主の間の取り決めで出来ることになりました。従って、「複数の販売者の中から買主が選択出来る方法を売主(芦屋市)が選択できるにもかかわらず、一宅地一事業者(販売代理者)に限定することは、著しく買主の権利を制限しているとお思いになりませんか。」と云う質問になったわけです。市の回答は、「分譲条件の一つであり、買主側の権利の制限とは考えていない。」と云うことでしたが、一宅地一事業者に限定しているのは、極めて強引な売主側の論理ではないでしょうか。再三、申しているように表示規約改正の趣旨を充分に尊重しているかを問われいます。

私は「建築条件付土地取引」は、「マルチ商法(連鎖販売取引)」に似ていると考えています。
「マルチ商法」は、限りなく「ねずみ講」に近い商法です。
「マルチ商法」は、合法なビジネスですが、ご存知のように特定商取引法等の法律を遵守した活動をした場合に限り違法にならないだけの話です。
「建築条件付土地取引」も最初に述べたように元々独占禁止法で禁止している不公正な取引方法に該当する恐れがあるものとして取り扱われてきたのですが、「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」等の改正により、売主と買主の自由意志(当事者間の合意)による裁量の範囲を広げることにより、公正競争を阻害する恐れのない行為とみなし違法とならないだけの話です。
従って、「取引の実質的内容が顧客の積極的な注文・指示にしたがって行われる建築請負契約」でなければならないのであって、今回のような著しく買主の権利を制限している「建築条件付土地取引」を採択した芦屋市は、「マルチ商法」をしているといっては、言い過ぎになるでしょうか。

[参考]
●旧「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第3条12号
 →「土地を販売するに当たり、当該土地の購入者と当該土地の売主(その子会社を含む。)又はその代理人である事業者との間において、一定期間内に建物建築請負契約が成立することを停止条件(以下「建築条件」という。)とするときは、その建築条件の内容及び建築条件が成就しなかったときの措置並びに取引の対象が土地である旨を明らかにして表示すること。」と規定している。

●現「不動産の表示に関する公正競争規約」第5条
 →(広告表示の開始時期の制限)
   事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する広告表示をしてはならない。

●現「不動産の表示に関する公正競争規約」第6条
 →『松韻の街』を思う-2に記載しています。

●公取協通信号外(2003年4月10日)
 → 社団法人 首都圏不動産公正取引協議会
   〒102-0074 東京都千代田区九段南3-9-12 (九段ニッカナビル6 階)
TEL03-3261-3811 FAX03-3261-3933
http://www.sfkoutori.or.jp

不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第3条第12号の規定(建築条件付土地取引に係る表示事項)に関する臨時的取扱いについて

 建築条件付土地取引については独占禁止法及び表示規約第5条(広告開始時期の制限)の両面から一定の制約があるため、表示規約施行規則第3条第12号は、独占禁止法に抵触するおそれのない条件の範囲を示した上、表示すべき事項を規定するとともに、その運用に当たっては、表示規約第5条(広告開始時期の制限)の脱法行為に該当することのないよう、建築請負契約を締結すべき「一定期間内」について「3ヶ月程度」を目安として運用してきました。
 しかし、この規定の前提をなす独占禁止法上の考え方は、土地の販売に当たり、売主(その子会社を含む。)又はその代理人との間に、3ヶ月以内に建築請負契約を締結することを停止条件とする場合に限り問題がないとするものであり、昭和50年当時の不動産市場を前提とするものであるため、今日の不動産市場を踏まえた建築条件付土地取引に関する独占禁止法上の考え方について、あらためて別紙1により照会したところ、同文書に記載のとおり、建築条件付土地取引は、建築請負契約を締結する当事者、期間及びその条件の種類・態様のいかんを問わず、それ自体が直ちに独占禁止法上の問題となるものではなく、当該宅地建物取引業者の市場における地位、宅地建物の需給の状況等を踏まえ、公正競争を阻害するおそれの有無によって個別に判断されるものであるとの見解に異議はない旨の回答があり、併せて一般からの相談等に対してもこのような考え方に基づき対応することとしていることが明らかにされました。
 その結果、現行の前記施行規則第3条第12号の規定は、現在の不動産市場の実態を踏まえた独占禁止法の考え方に沿わない上、場合によっては、土地の販売方法の制限に該当して同法の規定に違反することとなるおそれがあることが明らかになりました。
 この事態を解消するためには、今日の不動産市場の実態を踏まえた独占禁止法の考え方に即して前記施行規則第3条第12号の規定を改正する必要がありますが、同号の規定が改正されるまでの間、公正取引委員会の一般からの相談に対する対応振りとの間にずれが生じ、混乱を招くおそれがあるため、緊急・臨時的な措置として、建築条件付土地取引については、同号の規定にかかわらず、下記のように取り扱うこととしましたので通知します。

                    記
1 表示すべき建築条件について
 施行規則第3条第12号は、宅地建物取引業者が自己の土地を販売するに当たり、当該契約の効力の発生又は消滅が条件に係わるものとする場合には、一定の要件を満たすときに限り、独占禁止法に抵触しないという前提に立って、「土地を販売するに当たり、当該土地の購入者と当該土地の売主(その子会社を含む。)又はその代理人である事業者との間において、一定期間内に建物建築請負契約が成立することを停止条件(以下「建築条件」という。)とするときは、その建築条件の内容及び建築条件が成就しなかったときの措置並びに取引の対象が土地である旨を明らかにして表示すること。」と規定しています。
 しかし、前記のとおり、この規定の前提となった考え方は今日の不動産市場にそぐわないものとなっており、土地売買契約に付すことができる建築条件の態様及び種類等の範囲が拡大される結果となっているため、同号で表示すべきこととされている建築条件に限らず、契約に付されるすべての建築条件について、当該取引の対象が土地である旨の表示とともに、当該条件の内容及び当該条件が成就しなかったときの措置等を明示させる必要があります。
 そこで、施行規則第3条第12号の規定にかかわらず、同規則が改正されるまでの間、同号を次のように読み替えるものとします。
 なお、この場合の具体的な表示例は、別紙2を参照してください。

(12) 土地を販売するに当たり、当該土地に建物を建築すること又は当該土地の売主若しくは売主が指定する建設業者との間において、当該土地に建築する建物について一定期間内に建築請負契約が成立することを条件とするときは、当該取引の対象が土地である旨並びに当該条件の内容及び当該条件が成就しなかったときの措置の内容等を明らかにして表示すること。

2 広告開始時期の制限との関係について
 建築条件付土地取引の問題は、前記のとおり、独占禁止法のほかに表示規約第5条の広告開始時期の制限の問題とも関係しています。現行の「第12号」の建築請負契約を締結すべき「一定期間内」について、独占禁止法の観点からは「3ヶ月以内」にという要請があり、他方、広告開始時期の制限の観点からは、設計協議に少なくとも3ヶ月は要するものと考えられ、これに満たない期間を設定する場合には広告開始時期の制限の脱法行為の疑いが生じるということから、「3ヶ月以上」という要請があり、これらの相異なる要請を同時に満たすために、表示規約の運用上は、この「一定の期間内」を「3ヶ月程度」として運用してきたという経緯があります。
 従来は、独占禁止法上の観点からの指導が先行し、表示規約第5条の観点からその期間自体が直接問題とされることはほとんどなかったが、独占禁止法の新しい見解の下においては、この期間の設定が当事者間の合意に委ねられることとなることから、この期間が3ヶ月より短くなる場合も考えられるが、このような場合には、この問題が正面から捉えられ、表示規約第5条の広告開始時期の制限の脱法行為として捉えられるおそれが生じることとなります。
 したがって、広告開始時期の制限規定の脱法行為であると認定されないためには、取引の実質的内容が顧客の積極的な注文・指示にしたがって行われる建物の建築請負契約でなければなりません。
 なお、建築協議期間について、例えば3ヶ月未満の短い期間を設ける等、事実上建物の内容及び価格等がほぼ確定しているものを取引する場合等は、表示規約第5条に違反するおそれが強いと考えられます。

 上記の読替規定(実質的改正規定)は、宅建業者が土地の販売に際し、・その土地に建物を建築すること、・土地売買契約締結後一定期間内に自己又は自己の指定する建設業者との間に建物建築請負契約が成立することを条件とする場合には、取引の対象が土地であること、・その条件の内容及びその条件が成就しなかったときの措置を明示しなければならないこととしたものである。
 表示例を挙げれば次(別紙2)のとおりである。


<別紙2>

【表示例1】
 宅建業者が自己の土地を販売するに当たり、土地購入者が一定期間内に当該土地に建物を建築することを条件とする場合(建築工事の請負人を制限しない場合)
※  この土地は、土地購入後3年以内に住宅を建築することを条件(解除条件)として販売します(建築業者は土地購入者が自由に選定できます)。この条件が成就しなかったときは、売買契約は解除されます。

【表示例2】
 宅建業者が自己の土地を販売するに当たり、土地購入者が一定期間内に当該土地に建築する建物について、自己と建築請負契約を締結することを条件(停止条件であるか解除条件であるかは問わない。)とする場合
※  この土地は、土地売買契約後1年以内に当社と住宅の建築請負契約を締結して頂くことを条件として販売します。
 土地売買契約後、建築設計の協議をして頂きますが、1年以内にこの請負契約が成立しない場合には、土地売買契約は解除され、当社は土地代金(申込証拠金、手付け金等を含む。)は全額無条件で返還し、土地購入者はその土地を原状回復の上当社に引き渡して頂く必要があります。

【表示例3】
 宅建業者が自己の土地を販売するに当たり、土地購入者が一定期間内に当該土地に建築する建物について、自己の指定する建設業者との間で建築請負契約を締結することを条件(停止条件であるか解除条件であるかは問わない。)とする場合。
※  この土地は、土地売買契約後1年以内に当社の指定する建設業者との間で住宅の建築請負契約を締結して頂くことを条件として販売します。
 土地売買契約後、建築設計の協議をして頂きますが、1年以内にこの請負契約が成立しない場合には、土地売買契約は解除され、当社は土地代金(申込証拠金、手付け金等を含む。)は全額無条件で返還し、土地購入者はその土地を原状回復の上当社に引き渡して頂く必要があります。

--------------------------------------------------------------------------------
※  この土地は、土地売買契約後6ヶ月以内に下記のいずれかの建設業者との間で住宅の建築請負契約を締結して頂くことを条件として販売します。
 土地売買契約後、建築設計の協議をして頂きますが、6ヶ月以内にこの請負契約が成立しない場合には、土地売買契約は解除され、当社は土地代金(申込証拠金、手付け金等を含む。)は全額無条件で返還し、土地購入者はその土地を原状回復の上当社に引き渡して頂く必要があります。

          記

・○○ハウス⑭、・○○建設⑭、・○○住宅⑭


3 表示規約第5条に規定する広告等の開始時期の制限との関係について
 建売住宅の青田売りについては、表示規約第5条及び宅建業法第33条の広告開始時期の制限並びに宅建業法第36条の契約締結時期の制限が課せられていることは、前述のとおりであり、この建築条件付土地取引は独占禁止法上の制約は原則としてなくなったものの、完全に当事者の自由意思によって契約できる訳ではない。
 というのは、表示規約と宅建業法により、建築工事完了前の建物の取引については、売買等の広告の開始時期が制限され、また、売買契約の締結時期も宅建業法により制限されているからである。
 経済的観点からみると、建売住宅の青田売りも土地の所有権とその土地に新築された建物の所有権とを購入者が取得する訳であるから、一種の建築条件付土地取引という側面をもっている。
 これを奇貨として、建築工事完了前の土地付建物の売買(建売住宅の青田売り)を、土地売買契約と建物請負契約の2つの契約に分解するものが見受けられる。
 このような行為は、一見、表示規約第5条や宅建業法第33条の規制に違反しないように見えるが、結局これらの禁止規定を潜脱して、建売住宅の青田売りに関する広告を行うという目的を達成することになるので、このような表現形式や契約形式をとる場合でも、これらの禁止規定に違反するものである。
 また、仮に、契約当事者間において建築条件付土地取引と称して契約等を行う場合であっても、建物の形質・規模・仕様その他の規格及び価格などがほぼ確定しているような場合は、実質的に建築工事完了前の土地付建物の売買を行うものと認められるものであって、表示規約第5条及び宅建業法第33条の規定に違反するものである。
 前述のとおり、平成15年3月末から建築条件付土地取引に対する独占禁止法上の取り扱いが変更された結果、次のような問題があらためて浮き彫りとなった。
 すなわち、従来、独占禁止法上は土地売買契約後3ヶ月を超える期間を定めた建築条件付土地取引は不公正な取引方法に該当するものとして取り扱われる一方、表示規約第5条及び宅建業法第33条の規定からは、少なくとも3ヶ月以上の建築協議期間を設けないものはこれらの規定に違反するものとして取り扱われていた。
 しかし、独占禁止法の新しい考え方によると、建築条件付土地取引において、建築すべき期間についても、原則として当事者間の自由意思に委ねられることとなったため、例えば土地売買契約後1ヶ月以内とするなど、極端に短い期間内に建物請負契約が成立することを条件とするもの(甚だしいものは、土地売買契約と建物請負契約を同時に締結することを条件とするもの、又は土地売買の契約書面を作成せず、土地を特定した上で建物建築請負契約の予約契約という外形をとって、実質的に建売の青田売りの売買契約を締結しているもの。)などが現れることが予想されるが、これらは明らかに広告開始時期の制限に違反するものとして取り扱われるものである。
 したがって、広告開始時期の制限規定を潜脱する行為であると認定されないためには、取引の実質的内容が顧客の積極的な注文・指示にしたがって行われる建物の建築請負契約でなければならない。
 なお、建築協議期間について、例えば3ヶ月未満の短い期間を設け、事実上建物の内容及び価格等がほぼ確定しているものを取引する場合等は、表示規約第5条に違反するおそれが強いと考えられる。
 広告開始時期の制限規定に違反する一般的事例としては、次のようなものが見受けられる。
 ・建築確認申請中に建築条件付売地として広告する場合、・建物の設計が完了していつでも建築確認申請ができるような状態にあるのにもかかわらず、建築確認を受ける前に「建築条件付売地」として広告する場合、・業者間情報として出回ってる建築確認前の「新築建売住宅」の販売情報を基に「建築条件付売地」の広告をする場合、などである。
 これらの場合、広告上は、建築条件付売地と表示してはいるものの、建物の内容及び価格が確定しているため、建物の完成予想図及び間取図を大きく描き「土地価格/○○万円 建物価格/○○万円 土地建物総額○○万円」等と表示しているものが多い。


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