クラシック音楽徒然草

ほぼ40年一貫してフルトヴェングラーとグレン・グールドが好き、だが楽譜もろくに読めない音楽素人が思ったことを綴る

原田真侑~愛をめぐる音楽たち~@2022.2.11 所沢ミューズ アークホール

2022-02-12 15:34:40 | 演奏会感想
今回は原田真侑ちゃんのオルガン演奏会。
ゲストにクラリネットの吉田誠君をお迎えしている。



前半の曲目
1.J.S.バッハ 「主よ、人の望みの喜びよ」 BWV147
2.シューマン ペダルフリューゲルのための練習曲 作品56より
     第3曲 アンダンティーノ 第4曲 愛情をこめて
3.シューマン バッハの名による6つのフーガ 作品60より 
     第6曲 中庸のテンポで、次第に速く
4.アルビノーニ 協奏曲集 作品9 第2番 オーボエ協奏曲ニ短調より
     第2楽章 アダージョ
5.J.S.バッハ 前奏曲とフーガ ホ短調 BWV548

1,2,4がクラリネットとオルガン、3,5はオルガン独奏でした。
吉田君には悪いが、圧倒的だったのはやはりバッハのホ短調。
この曲を生オルガンで聴くのは初めてだが、ホール全体を揺るがすような凄まじい迫力。
見るからに華奢な真侑ちゃんが、かくも壮大な音響を作り出してしまうのがオルガンの凄さである。

後半の曲目
後半は打って変わってフランスの近現代曲。
全然知らない曲ばかりなので、動画を拾いながら復習してみよう。

1.Louis Vierne(1870~1937)  24の幻想的作品集より'Aubade' 作品55-1
 aubadeを仏和辞典で引くと "ある人に敬意を表するため家の戸口や窓下で夜明けまたは午前中に行う演奏、そのための曲”とあった。
 後半ははじめ場内が真っ暗になった。
 その後スポットライトがついて、真侑ちゃんのみステージに登場しこの曲を弾いた。(前半はバルコニーの演奏台だった)
 これは夜明けの演奏という趣向だったのか!と今気づいた。
 実は恥ずかしながらどんな曲か早くも忘れてしまった! 動画を見つけたが、この曲だったっけな?
 Louis Vierne - Aubade (Pièces de Fantaisie, Suite No. 4, Op. 55) - Ben Bloor


2.フォーレ アンダンテ(「ロマンス」作品69のオリジナル版)
 フォーレはさすがの私でも知っているが、フォーレの曲というと実はレクイエムしか知らなかった。
 本曲はチェロとピアノで良く弾かれているらしいが、元はオルガン伴奏だったそう。
 吉田君のバセットクラリネットとともにステージで演奏。
 席が2F右手だったので、演奏する真侑ちゃんの後ろ姿が良く見えた。

 鍵盤の両脇にたくさん並んでいるボタン(?)がいくつも光ったり消えたりしている。
 ストップを操作しているらしいが、演奏中にどのようにやっているのだろうか?
 チェロとオルガンによる演奏動画があった。
 Stage@Seven: Fauré: Romance – Iveta Apkalna / Valentino Worlitzsch


3.Naji Hakim (1955~)  クラリネットとオルガンのための《聖母のミンストレル》
 この曲はHakim自身がオルガンを弾いている動画があった。
 Naji Hakim OUR LADY'S MINSTREL - OCTAVIAN GHEORGHIU, Clarinet NAJI HAKIM, organ

 さすが元からクラリネットとオルガンのために作曲された曲だけあって、クラリネットが大活躍する楽しい曲。
 ベニー・グッドマンとか、クラリネットがジャズで華形だった頃を連想。

4.Eric Lebrun (1967~) オルガンのための組曲 作品18
 Lebrun氏は真侑ちゃんのフランス留学時の先生である。
 おそらくその時の写真がこれ。
 

 私がLebrun氏だったら、地球の反対側から飛んできた可愛い小鳥が舞い降りたような気分になって
  ”レッスン代タダにするから、オレの娘になってくれ”
 と口走ってしまいそうだが、教育者Lebrun氏は清く正しく厳しく指導されたのだろう(たぶん)。

第1曲 メリュジーヌ(へび女)
 そんなLebrun氏の鬱屈した愛を表現したのがこの曲である。
 Mélusine d'Eric Lebrun (Suite op. 18)
 

 というのは大うそで、この曲と真侑ちゃんは何の関係もない(たぶん)。

第2曲 クリスタルの宮殿
 この曲は詩「トリスタンとイゾルデ」及びポール・ランビエの絵からインスピレーションを得て作曲。
 絵はこの動画に表示されているもの。
 Le palais de Cristal d'Eric Lebrun (Suite op. 18)

 視覚イメージがあるところがドビュッシーとかにも通じていそうで、いかにもフランス的。

第3曲 トリスタンの狂気
 ”媚薬の力もあって生まれた「狂気の愛」がテーマとなっています”
 ということだが、しめくくりが「狂気の愛」でいいんですか!?

と思ったら、アンコールはサティのJe tu veuxで平和に終わりました。

アークホールには初めていったのだが、ウィーンのムジークフェラインのような壮麗な空間。
まさにバブルの遺産であるが、おかげで大オルガンの響きを楽しめるのは素晴らしい!
真侑ちゃんにはじゃんじゃんコンサートをやってほしい。
音楽にほぼ無縁なヨメはたまたまTVで観た冨田一樹君のバッハニ短調が大いに気に入り、ぜひ生オルガンで聴きたいそうである。
ニ短調はあまりに通俗化していて、オルガニストとしてはあまり弾きたくないかもしれませんが・・・
私は「フーガの技法」とかトリオ・ソナタとか、何でもいいです!
ちなみに神奈川県民ホールは3回シリーズ《舞台芸術講座 オルガン「フーガの技法」~謎と魅力~》をやっていて好評とか。
真侑ちゃんも神奈川に対抗してぜひ所沢でやってほしいです。
バッハ芸術最高峰「フーガの技法」はオタク的ファンが潜んでいるからチケットも売れるはず。

 



コメントを投稿