南西諸島貝殻学入門

分子細胞生物学と博物学の分野に跨る「貝類学」を、初歩から学んでみましょう。美術学や数学的な見地からも興味をそそられます。

奄美ちゃんのつれづれ草 -010

2012年06月15日 | 日記

 

茜ちゃんのつれづれ                                   
                                                          
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* ブログのキャスターが変わりました。<奄美ちゃん>は「サワラ・奄美ちゃんの奄美群島歳時記」に移動しました。 

http://blog.goo.ne.jp/sawarachan

 

最近は毎日のように雨が降り続いて居ります。 台風がまたフィリッピン海域に発生しました。気象庁の台風情報の天気図を見ますと、ちょっと危ない状態に見えます、これから少しづつ偏西風に流されて、進路が東にカーブしそうで対馬海峡を目指しそうです。

 

 

先日の台風よりも強めになりそうです。とは言え、気象情報はなかなか難しい。あす降水確率20%という情報であっても、翌日の朝は大雨になることが時々あります。マクロとミクロは正確には連動しない良い例です。

これは・・経済学の分野でもミクロの経済現象の集積がマクロとは一致しない・・・という事と似てますね。マクロ的な動きとミクロ的な動きは別な現象なんですね。初めて経済学を学んだとき、マクロ経済学ミクロ経済学が別な分厚い参考書になっていたのを疑問に思っていたことが暫くの間ありました。

 

 

 さて、先回お話しましたシェルドレイクの

現在自然に存在する生物の特徴的な形と行動、また物理的化学的なあらゆるシステムの形態は、過去に存在した同じような形態の存在の影響を受けて、過去と同じような形態を継承する。それは「形の場」による「形の共鳴」と呼ばれるプロセスによっている>  はご理解頂けましたでしょうか。

・・・・実際のところ・・・そう簡単にはいかないと思います。

」とか「共鳴」と言う用語は自然科学や社会科学の分野で様々な意味合いを持って使われております。物理学分野にだけ限っても専攻分野によっては意味合いが違う場合があります。・・・・シェルドレイクの場合は物理・化学的と書いている訳ですから、より広い時空間(宇宙)を想定しており、物質以外の精神的な世界までも範疇に入れていますので、事は簡単ではないようです。

 

 

 また、資料を調べておりましたら・・・・・

生命のニューサイエンス」というシェルドレイクの原書を種本にして、解説書に似た本があるのですが、100%原書に忠実ではない部分が有るようです。つまり意訳といって・・・原書の著者の考えが拡大解釈されたり、変形されたりする面も出てくる・・・・そんな危険性が有るのです・・・・これは充分注意をしなければなりません。

今回はその例を一点ご紹介して、次回からは原書を少しづつ忠実に読むことにして行こうと思います。その点ご理解ください。

 

 

 「グリセリン」にまつわるエピソード

 <ルパート・シェルドレイク仮説>の関係の資料の中に「グリセリン」の話が「形態形成場」に絡んで良く出てきます。しかしこの話は原著には有りません。

グリセリンはあらゆる努力にもかかわらず、結晶化されることが出来なかったがあるとき運搬中のグリセリンが何かの拍子に結晶化した・・・・

と言う話です。この文章は実はカリフォルニア大学のGibson,Giauqueの論文より引用されで来た話だそうで、文中の数字(グリセリンが結晶化する温度)も18度が17度に変更されていると言うような部分もあるのです。

正確な経緯は書きませんが、論文の中にはグリセリンが結晶化したのは超自然的な現象ではなく・・・

グリセリンの種結晶が到着してからわかったことなのだが、実はグリセリンを液体空気温度まで冷やしてから、一日以上かけてゆっくり温度を上げてやれば、事実上何時でも種結晶なしに結晶化できる

ということを書いてあるだけだそうで、「自然発生的な結晶化」などということはどこにも書いていない・・・・・とされております。それが真実であればシェルドレイク仮説を説明するに当たっての創作であると考えなければなりません。

 

 

このように科学的な問題は原書に忠実であるべきですから、学習するに当たっては注意を要するわけです。この点(グリセリン関係)はいずれ再度書いてみたいと思います。 

 

喫茶店                  Tea time    

 

 どこがすごいか 南部 陽一郎」 A-<自発的対称性の破れ>のことについて、先回書きました。今回は50年ぶりに東京大学で解明されたことをご紹介してみたいと思います。

まずその前に、もう一度自発的対称性の破れ>の先回の記述を書いて見ます。 

・・・パーテイーの会食のため長いテーブルにナイフ・フォークとナプキンが交互に並べて用意されているとします。座った人が自分の右のナプキンを取るか、左のナプキンを取るかは偶然によりますから、結果は丁度同数になるはずです。しかし、これは人がバラバラにテーブルに着き、バラバラに食事を始めたときの話で、もし人が隙間なくテーブルに着き、誰かの発声で一斉にナプキンを取り上げた場合、一番早くナプキンを取り上げた人が右を取り上げたら右、左を取り上げたら左にならざるを得ません。人間の身体は対称なはずなのに、現れる結果は非対称になる・・・・ = 自発的対称性の破れ

 

 

 

ところで、東京大学の物理学教授(柳田 勉 氏)の書いた自発的対称性の破れ>を別にご紹介してみます。

・・・自発的対称性の破れは我々の日常生活の中でも見られる現象の一つである。たとえば、ここに丸いテーブルがあると考えてみる。テーブルの表面にはその面に垂直な方向に一様な重力がかかっているとする。そのテーブルの中心に一本の細長い棒を垂直に立てておく。この考えているテーブルの表面での力学系は、テーブルの回転に対する対称性を持ち、何も特別な方向はない。しかし、この棒が立っている状態は安定な状態ではない。時間が立つとその棒は倒れてしまう。棒が倒れた状態では特別な方向が発生し、もはや上記の回転対称性は破れている。力学の基本方程式は対称性を持つのに、そこに生じた対称性が破れる現象・・・=<自発的対称性の破れ

 

 

いかがでしょうか。 どちらが良く理解できますか? それでは最後に日本経済新聞に掲載されていた<自発的対称性の破れ>の記述を掲載してみます。上記の2種類の記述と比較してみてください。

 洗濯物をラックに掛けるときに、最初のシャツを右向きにかけても左向きにかけても構いませんが、一度右向きにしてしまうと、なんとなく次のシャツも右向きにかけたくなり、最後にすべてのシャツが右向きに並んでいる、ということがあります。つまり、右と左を入れ替える「対称性」が自発的に破れてしまいます。「対称性」とは「どちらでも同じ、構わないこと」、しかし、全体を見ると(なぜか)自然とどちらかを選んでしまっている・・・・=<自発的対称性の破れ

 

 

 

いかがでしたでしょうか。物理学を数式を用いずに表現するとこのようになってしまうのでしょうか・・・・最後になりましたが、

人間に右利きが多い、心臓が左側にあるのは本来どちらでも良かったはずですが、生物の進化の中で自発的に対称性が破れてきた結果です。

中性子星の内部、実験室の超流動・超伝導物質、冷却した原子のガス、宇宙に満ちるヒッグス粒子も自発的対称性の破れの例であるそうで、この考え方が様々な分野の研究に大きな影響を与えたということです。

東京大学の公開論文は実際はこれからが本番なのです。

益川・小林両氏のノーベル物理学賞の対象になった<CP対称性の破れ>の説明の中で、非常に興味のあることがたくさん書かれて居りますので、次回はその一部を紹介したいと思います。・・・・・真空とは何か・・・何も無いわけではない?・・・・ホント!・・・実際は何かがあるの・・・えっつ!