あまぐりころころ

主に漫画やゲーム等の感想や考察を。
時に旅行記等も交えながらの、のんびりのほほんブログ。

『食戟のソーマ』第162話感想

2016-04-17 08:30:00 | 食戟のソーマ

 この度の九州の大地震・・・心配です。
 現地の方はさぞ不安な夜を過ごされていることでしょう。
 しかも尚強い余震が続いているとのことで、心労もかなり溜まっている筈・・・。

 私も東北大震災を経験した身ですが、震災に遭って疲弊した体や心を癒すのは、何より「温かさ」だと思います。
 温かい食事、温かいお風呂、何より温かい心・・・。
 どうか一刻も早く全ての人に「温もり」が届きますように・・・。
 そしてどうかこれ以上余震が起きませんように・・・!!

 ・・・そういえば、附田先生も故郷が北九州の筈。
 きっと心配なされていることでしょうね・・・。





 週刊少年ジャンプ2016年19号掲載
 掲載順第10位
 第162話 【私】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よし決めた。
 司先輩と呼んでたけど、司と呼ぼう。





 なんて言うんですかね、今回は・・・。
 久々に「あの感覚」を味わいました。

 「いらない」
 司のこの言葉を目にした瞬間―――

 

 胸の体温が一気に失われた感じ。

 

 心の中に大量の氷が突如降り落ちてきたような。
 高揚していた気持ちから一気に谷底に落とされたかのような。

 まさか前回のワクワク展開からこんな風に虚を突かれようとは・・・。





 創真と司の問題のやり取りはあとで存分に述べさせてもらうとして、まずは扉絵でもあるえりなの様子から。

 家出後は極星寮に篭りきりだったものの、学園の授業に出るようになったえりな。
 確かに、もう薊に居場所は知られてるわけだから身を隠す必要なんて無いしね。
 ですが、理由は別にありました―――


 残党狩りの際に、アリスの自分への気持ちを知ったえりなでしたが、その直後に叱られたのでした。(ここの「・・・!?」なえりなかわいい)
 自分は自分なのだと主張するべきだと。
 いつまでも殻に篭っているなと。

 よっしゃ!よく言った!!(Σd(><))

 
 やっぱりアリスは重要キャラです。
 なんだかんだでえりなの周囲の人々はえりなに従うだけだったり、又はとても優しい人ばかりなため、アリスのようにビシッと叱ってくれる存在は非常に大切なんですよね。
 私がえりなに言いたかった事のほとんどを代弁してくれたようなものです。


 アリスが最先端研究会の主将になっていた理由に察しが付いていたえりなといい。
 片やえりなが極星寮でどう過ごしていたか察しが付いていたアリスといい。
 ほんと仲良しで何よりです(笑)。





 そんなアリスの励まし(っていうか煽り)を受け、えりなは授業に出るようになったのでした。
 案の定、授業の講師陣は薊の支配に染まった奴ばかりだったわけですが。
 コイツらも薊と同じく「貼り付けたような笑顔」ですね。



 授業も終わり、えりなは新戸から次の残党狩りについて知らされます。
 二回目の残党狩りは三日後とのこと。
 どうやら今の展開から見るに、第一回目の残党狩りでは創真の知り合いが所属している研究会・ゼミは最先端料理研究会以外免れていた模様です。
 さて、二回目ではどの研究会が狙われてしまうのか・・・。

 次もほとんどの研究会が解体されてしまうであろうと心配する新戸でしたが、えりなは意外な発言を。
 セントラルが絶対というわけではないと。
 おお。
 まさかえりなからこの発言を聞けるとは。

 そんなえりなの様子に、心境の変化を感じ取る新戸。
 えりなは考え始めていたのでした。
 強大な権力と敵対することになろうとも、自分の意思に真っ直ぐな創真とアリス。
 そんな彼らの姿勢を見るうちに、「自分自身」は本当はどうしたいのか―――と。
 おおっ。
 よ~~~やく“自分”と向き合い始めましたか!

 まあ、やっぱり素直にはなりきれてませんけど。(っていうか聞かれてもいないのに自分で言っちゃってるあたりバレバレである/笑)



 そんな折。
 偶然えりなと新戸は目にすることになったのでした。
 創真と司のほぼ一部始終を。



 創真を自分の「懐刀」にと、セントラルへと勧誘する司。

 ですが、それは「創真の料理」を必要としたわけではなく、「創真のサポート能力のみ」を欲してのことだったのです。

 それはつまり、言い換えれば。

 「俺の為にその腕を差し出せ」

 と言っているようなものでした。

 

 

 

 

 ふ ざ け ん な よ。

 

 

 

 当然ながら断る創真。

 そんな創真の意思を聞き、司も諦めかけた時・・・

 司の傲慢な考えに腹を立てていた創真は、強気な発言を。

 

 

 

その瞬間響き渡りましたよ大音量の警告音が。私の脳内で。

 


 

 

 

 案の定。

 

 

 

 司は第一席の座を。
 創真はセントラル入りと司の下につくことを。
 それぞれ条件にして。

 

 

 

 

創真と司は勝負することに。

 


 

 

 


 

 

 

 とにかく掻き乱されました。

 気持ちも。思考も。

 何か今回だけで、これまでの私の予想考察を改めて考え直さなければならなくなってしまったかもしれません。

 なんだかんだで十傑とのガチンコ勝負はあまり設けられないだろうと考えていた私が甘かった。馬鹿だった。
 まさか創真がこう見込まれ、こう勝負に持ち込まれるとは。
 思えば確かに司は結構血の気の多い性格でした。(去年の紅葉狩り会で久我からの食戟を受けたあたり)
 驚かされつつも、何の無理もない展開です。参りました。



 そもそも、二人の基本的性格から考えれば、通常の流れだと
 創真:「入るつもりはないっす(あっさり&きっぱり)」
 司:「やっぱりそうか・・・残念(シュン)」
 これだけで済む展開なんです。
 なのに。

 ここでイレギュラーとして飛び込んできたのが、お互いの料理人としての頑強な「我」。

 今回のサブタイトルは【私】ということで、えりなに焦点が当たっているかのように思える言葉でしたが、実はこの二人にも当たっていたわけです。
 えりなの場合は大きな希望を抱かせる“自己”に対し、彼らの場合は大きな衝撃と波乱を起こす“自己”として。





 前回の「使える」発言時に抱いた嫌悪感が、今回で一気に膨れ上がりました。
 まさか司がこれほど利己的な人物だったとは。
 第159話感想の後半で、「素材の徹底洗練を信念としている司は、十傑の中で一番純粋に薊政権の理念に賛同していそう」と考察したわけですが・・・。
 笑顔で相手の料理を「いらない」なんて否定する人間だなんて思ってもいませんでした。
 確かに創真の料理はセントラルの理想とは対極です。
 それでもあの言い様はないかと。
 正直言って好感度急降下です。嫌いになりました。

 「自分の料理」を究めるために「他者の料理」をいらないと拒絶する司。それは「自分」さえも。
 第一印象こそは恵属性に思えたものの・・・。
 司は恵の弱気さ、えりなの排他主義と完璧主義、創真の好戦的さ、これらの要素を共通しているキャラクターなのですね。

 そして悪気無しに「自分の料理」のためなら他者は“道具”と考えていそうなところが薊と同じという。

 そもそも前回、司が創真を自分の懐刀にと願った時私が大歓喜したのは、創真の腕を認め、対等に見てくれていると思ったからです。
 なのに、そうではなかっただなんて・・・。
 あくまで自分に役立つ存在としか、自分の下としか見ていなかったんだなんて・・・。
 ひょっとしたら、創真を自分の「相棒」にと言わず、「懐刀」にと言い表したのも、創真を“道具”として見たからかもしれません。
 ・・・最低。



 そんな個人的好感度が度急降下な司に対し、好感度を上げてきたのはえりな。
 創真やアリスの姿から、ようやくこれまでの自分と向き合い始めました。
 なんだかんだでこれまで描かれてきたえりなの「我」は、子供の「我が儘」
 薊に逆らえなかったのも、彼女が“子供”だったため。
 子供にとって、親は絶対の存在ですから。
 そこからようやく、えりなは動き出す準備を始めているようですね。
 子供から大人になるための。
 少しずつでいいので、どうかこのまま良い方向に変わっていけますように・・・。



 そして創真ですが・・・。
 テレ顔だったりプンスカ顔だったりと、何気に表情豊かでしたねv
 じゃなくって。(アホでごめんなさい)
 司の我が儘な言い分に「まったく料理人ってのは自分勝手で困る」と言っていた創真。
 創真って時々「料理人」を俯瞰的に見た発言をしますよね。
 秋の選抜でも料理人のことを「どうしようもない負けず嫌い」と言っていましたし。
 でもこれはきっと自分自身の事も指して言っているのでしょう。

 こういうところにも創真の相反性が垣間見られます。
 
飄々としつつも真っ直ぐ。
 冷静でありながら情熱的。
 落ち着きがある半面、行動的。
 硬い意志を持ちつつ、思考は柔軟。
 主観的視点と客観的視点。
 そんな相反する多くの要素を非常に絶妙に併せ持つ創真。
 そしてこの場合も。
 創真は自身が「料理人」ということに非常に真摯な誇りを持ちつつも、その「料理人」という職を決して特別なものとしては見ていないんですよね。
 創真のこういうフラットな物事の見方は、やはり非常に重要なものだと思います。
 こと「上下」を付けたがる遠月学園では特に。





 多くの人達から、それぞれの励ましを受け、少しずつ変わり始めているえりな。
 今回の彼女の姿にはかなり幸先が明るく思えました。
 そう思いきや。
 逆に創真の方の幸先はかなりの暗雲が予感される展開になるんだなんて・・・!
 毎度のことながら、附田先生はここら辺の天秤の掛け方が秀逸すぎます。
 希望を予感させる流れを見せる一方で、決して楽観的な展開は持ってこないという。


 創真への依怙贔屓が当たり前の私でも分かります。これは。さすがに。

 創真は負けるでしょうね。

 明らかな実力差も理由にありますが・・・それ以上に。
 創真は叡山との勝負の時には持っていた「あるもの」を、今は持っていませんから。
 それは何かを守りたいという想い。
 
今回の勝負は完全に私闘ですもの。

 幸いなのは、これが『食戟』ではない事でしょうか。
 『食戟』であればそれこそ絶対服従となってしまいますが、そうではない以上、例え敗北してしまったとしてもこれからの展開次第で幾らでも創真の意思が通る部分はありそうです。
 逆に言えば、『食戟』でないからこそ負けてしまう可能性が高いとも言えるのですが・・・。



 ここからは創真の敗北を前提にした予想です。

 こうして全く予想だにしなかった形で勝負することになった創真と司。そしてそこに偶然居合わせることになったえりなと新戸。
 となると、まず間違いなくえりなは審査を任せられることになるでしょう。
 そうなった場合・・・。
 えりなはまたもや創真の命運を握らされることになるわけですね。
 編入試験の時と同じように。
 そしてそれが、創真が第137話で仙左衛門に告げた言葉と改めて関わる事になるかも。

 一方で、もし創真がセントラルに強制加入させられてしまったら、郁魅や恵は彼からの直接的な助力は見込めなくなります。
 果たしてそこをどう乗り切るのか。
 秋の選抜編以上に彼女らの意思、成長がクローズアップされることでしょう。




 もっとも、仮に負けてセントラルに入ったとしても・・・

 創真は誰かの思い通りになんかならない子ですけどね。

 その点においては絶対の信頼を置いています。




創真はどんな処にいようが、“創真”でいてくれると。

 


 今回アリスがえりなに告げた説教と同じです。
 「自分は自分。誰かの思い通りになりはしない。」
 それを創真は、また己の姿を通してえりなに教えてくれるのではないのでしょうか。



 私は常に創真を心配していますけど・・・

 同時に、信じてもいますから。










 それと、これほどの大きな展開が訪れたということは・・・
 どうやら、この遠月革命編も中盤を迎えたようですね。

 


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