週刊少年ジャンプ2016年13号掲載
掲載順第7位
第156話 【絶対“温”感】
まず始めに、アニメDVD同梱版が発売される単行本18巻の予約案内ページについて少し。
本誌が発売される2月29日が予約締切というわけで、それに沿わせた原作漫画が載ってましたね。
この前も思ったけど・・・。
随分と上手く使ったな~~~。
面白かったです。マジで。
ラストのタクミには全力でツッコませて頂きましたよ。
カッコつけてる暇があるなら書店に行け!!!ってね。
まあ、私も締切日当日に予約したクチですけども。(核爆ドッカーン)
さて、それでは本編感想へといってみましょう。
またもやセンターカラーですが、今回は十傑メンバーではなく季節柄に合わせてアリスが扉絵です。
おお~~~!!これは綺麗で可愛い!!
ひょっとしたらこれまでのアリスのカラーイラストで一番素敵に描かれているのではないでしょうか?
えりだるまもとっても可愛いしv
確か創真との戦いの際の感想にてアリスのイメージを「雪」と述べましたが(第66話)、 今回はそのイメージである“冷たさ”を醸し出しておきながら、それを遥かに凌駕する“綺麗さ”と“柔らかさ”が表現されていると思います。
肌の白さが外見的特徴であるアリスですが、背景も服装も白一色なため、普段より血色が良く見えているんですよね。
しかも冬を表しているイラストだけあって気温が低いのか、その寒さから頬が常より紅潮しているという。
最初期の頃は酷く冷たい雰囲気で、陶磁器のような白い肌と銀髪ということもあり一種の人形的イメージさえあったアリス。
ですが、このイラストのアリスは間違いなく体温のある人間。
加えて初期の頃のカラーイラストでは冷笑が多かった彼女でしたが、当時と比べると随分と明るく朗らかな笑みを見せるようになりました。
そう考えると改めて、創真がアリスに料理を通して“温もり”を与えてくれたことの意味の大きさを再認識させられます。
つくづく創真ってば女の子への影響力半端ないな!!!(ホント恐ろしい子!!!)
寒いからこそ自身の体温がより分かる。
体温があるからこそ描くことが出来る、淡い紅色と白色のコントラスト。
“温度”というものによる配色の相乗効果。
サブタイトルとの関連性から見ても、大変見事としか言えないイラストでした!!
では本編へ。
授業で寝ていたため、「スチームコンベクションオーブン」がどういう機械か知らない創真さん。
・・・。
メッ!
いけませんよ授業で寝るなんて!いつどんな時にどのような知識や見聞が役に立つか分からないんですから!あ!もしかしてま~た新作料理の開発か何かで夜更かししたの?ダメですよちゃんと寝なくちゃ!まだまだ育ち盛りなんだからきちんと休養を取らなければ後々体に支障が起きるかもしれないんだよ!?そもそも何事も体が資本なわけで(以下略)
そんな創真にアリスが解説。
以前の「辛さ」についての解説には名言炸裂させてましたが(第123話)、今回はオーバーフローは無し。
どんどん要領良くなってるね(苦笑)。
それと、ここのペラペラ解説を聞いてる時の創真くんが良い感じにデフォルメかかっていて可愛いv
要するにスチームコンベクションオーブンは、便利だけども多機能すぎて使いこなすには相応の理解と知識が必要な機材というわけですね。
例えるならば小学生に最新のタブレットを与えても使いこなせないようなものでしょうか。
そして私が思ったように(いやきっとほとんどの読者が思われたことでしょうが)、楠のイメージとスキルのミスマッチさを、ズケズケ言いまくる大衆食堂コンビ(大苦笑)。
でもここのシーン、コメディチックでありながら、創真とタクミの言い方を見比べると少し面白いんですよね。
創真はオノマトペを用いた、感覚的表現。
一方のタクミは、漢字熟語を多用した論理的表現。
言いたい内容はほとんど同じながらも、言い回しの違いによってそれぞれのキャラクター性を推し量ることが出来ます。
こういう所に、やはり附田先生は常に“キャラクターの話し方”に留意してくださっているな~とつくづく。
そんな平然と失礼発言な創真達に笑いつつも、梁井は楠のスキルを明かします。
楠は火入れのスペシャリスト、特に「低温料理」の使い手だったのでした。
へ~、低温調理ですか。ここ最近聞くようになった調理法ですよね。
確か『鉄腕D●SH』のラーメン企画でも、低温調理を用いたチャーシューが紹介されていましたっけ。
ここで「スチームコンベクションオーブン」を始め、「バスサーキュレーター」、「真空包装機」、「ウォーターバス」、「ガストロバック」など、最先端調理機器の名前がずらずらと登場。
・・・え~っと。
かいつまんで言えば、いずれも水や気圧を用いながら食材を加熱する機械です。
調べている最中、特に目を引いたのが「ガストロバック」。
日本語で言うと「減圧加熱調理器」。
圧力鍋とは逆の原理で、圧力をかけることにより100℃を超える温度で加熱することによって調理時間の短縮や食材を柔らかくするのが圧力鍋の効果に対し、ガストロバックは圧力を低くすることで100℃以下の温度で沸騰させ、それにより食材にダメージを与えずに調味液を染み込ませることが可能とのこと。
例を挙げるならば、食感は生の肉じゃがを作ることが出来るそうです。
ふえ~~~、凄いですね~~~。
食べたいとは思わないけど。(肉じゃがはほっこりホクホクの方が好きv)
そんな楠の加熱技術によって、食材は驚くほど美しく変貌していきます。
・・・へえ・・・。
創真がこれほど絶賛するなんて珍しいですね。
素直な創真はこれまで他の料理人を褒めることは沢山ありましたが、そのいずれもが明るく笑いながらで、これほど真顔で褒めたことはほとんどありません。
正直観衆らの多くの賛辞より、創真の一言の方がよっぽど説得力があります。
仕上げに入る楠。
『サラマンドル』。
うん、私もカッコイイ名前だと思う(爆)。
っていうか創真さん、楠を「連たろ先輩」なんて呼んじゃってますね☆
なんか「レンタル先輩」と聞き間違えそうだ(爆っ)。
前回感想でも述べた通り、楠は下の名前で呼ばれることを嫌っていそうと思っている私としては、これは楠の反応に期待せざるを得ません♪
薊を「中村先輩」とも呼んでいますし、創真は何気に相手の“本質”を捉えた呼び方をしているような気がします。
遂に楠の料理が完成。
その名も『サーモンのコンフィ・フラム』。
ほお~~~。
これは綺麗かつ美味しそうと思える品ですね~!
食べてみたいかも。
個人的にはサーモンの横に添えている物体も気になります。
何かのムースのようにも見えますが一体・・・?
それと、「コンフィ」はフランス料理の技法。
ということは・・・
「魚介」だけでなく「フランス料理」という点においても楠の料理は黒木場と同じ土俵に立っているというわけですね。
でもって、創真とアリスに挟まれている(であろう)茜ケ久保ももは、今回で遂に完全に蚊帳の外に(大苦笑)。
そんなわけで楠の本当の腕前が明かされた今回。
この作品に登場する料理人はほぼ全員調理中の姿に箔がありますが、楠も例外ではありませんでした。
しかも創真の賛辞によって、更に強者感を増強。
う~ん、創真の発言に高い信頼を置いている私としては、この構成にはぐうの音も出ません。
楠は分子ガストロノミーの使い手というよりも、最先端調理機器を用いた炎と熱の使い手でした。
いわばアリスのスキルと黒木場の特性を併せ持つ料理人だったわけですね。
そう考えると何とも因縁めいた対決だったわけです。
加熱、すなわち“火入れ”をマスターすれば素材特化の料理人では敵わないレベルに到達できるという考えの楠。
いやいやいや。
黒木場は素材特化の料理人ではないんですけど。
何度も言うようだけど、黒木場は「フランス料理」という分野も得意としていますよ。
おまけに“火入れ”のスペシャリストと自負している楠ですが、少なくとも創真ら[玉の世代]にもう一人、“火入れ”のスペシャリストが居るんですけど。(“彼女”との勝負も見てみたい!)
むしろ「絶対温感」は彼女の方が持ってると思う。
それにしても主要人物達それぞれのスキルを併せ持つ、合成能力者といえる料理人が現れてきましたね。
今回判明した楠のスキルは最先端科学というアリスのスキル、そして繊細な温度調整という郁魅のスキルを併せ持つものです。
ということは、これからどんどんこういった合成能力者が現れ始めることとなるでしょう。
さあ、こうなってきた以上、これまでの主要人物達は自分の得意分野が「自分だけの専売特許」とはいかなくなってきました。
これからの戦いを生き抜いていくためには自分の持ち味をベースにしつつ、更にそれを応用・発展させる必要性が出てきたわけです。
学園の成り行きや人間関係だけでなく、やはりこの章でも「料理人としての成長」が問われてきそうですね。
今回の楠の品はアリスが出してきてもおかしくないような品でした。
長い間一緒にいた相方のスキルと似たスキルを持つ相手との勝負・・・というと、個人的に思い出されるのが秋の選抜本戦第一回戦の新戸VS葉山の戦い。
あの時もえりなを主君とする新戸と、そんなえりなと似たスキルを持つ葉山といった、人間関係や能力に共通性の多い勝負でしたからね。
新戸がそうであったように、今回の勝負も黒木場とアリスの関係を問われることとなるのでしょうか・・・。