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Fashion Theory in Modern and Contemporary Japan

暑いの困るよね、まだストーブつけてるのにね…
ファッションとジェンダー研究・小山有子

研究会「村上信彦再考」によせて 3

2017年03月10日 | Weblog

村上信彦(1947)『女について 反女性論的考察』興風館



本日は、ただの村上信彦コレクション自慢(?)です。
ポスターは手持ちの本で作りました。



昭和22年の刊行で、ものすごいセンカ紙が使われています。
ブーブー紙(佐々木倫子)もといグラシン紙みたい。
裏の印字が透けて、少々読みにくく感じます。


こちら、1ページ目ですが…


穴あき。

(創刊号の『ソレイユ』(『それいゆ』)にもセンカ紙は使われていますが、こちら『女について』ははかなげな薄さ。
『ソレイユ』は、具だくさんなほどの混ぜ物ありという感じです。
イメージ的には逆でよかったのに、と思います)

のちにこぶし書房から再販されて、そちらを先に読みましたけど…
これを手にしたとき、これが噂のあの本か!と感慨深かったです。
(古本屋さんで自分の本を買ったら、店主がさらに奥から出してきたという)

ちなみに定価は「一〇〇圓」。
紙が二重になっているので裏から見ると「七拾圓」でした。
そしてさらに「¥1.13」のシールも貼ってあり、古本屋さんのお値段(ページ上に鉛筆書き)では「1500」です。

こうして改めて見ると、『奇譚クラブ』での「吾妻 新」は、楽しかっただろうな…とも想像します。





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研究会「村上信彦再考」によせて 2

2017年03月05日 | Weblog



写真は、村上信彦『女の風俗史』ダヴィット社、1957(昭和32)年。



ファッションの研究をする!と決めてから、もう20年以上が過ぎました…。

村上信彦の『服装の歴史』や、当時出たばっかりのこぶし書房での復刻版『女について 反女性論的考察』を読み、ものすごく面白さを感じた反面、ものすごく落ち込んだのも事実でした。
それは今も続いています。

村上服装論は、ファッション/服装のことだけでなく、その服を身につけている人の状況まで描写するところが多々あって、あたかもその場面にいるような感覚に陥ります。
文字通り「ぐいぐい引き込まれる」ようなものです。
女性の置かれた状況が、女性のファッション/服装を規定している。
だからこそ、女性はスカート(キモノ)、男性はズボンという二つのタイプを固定化しているのだ。
それは単なるファッション/服装の問題ではないのだ…

ただ、その一方で、読後にどこかさみしい気持ちになったり、落ち込んだりもするのです。
わたしがしたいと思っていたファッション/服装の研究も、わたし自身の気持ちも、この方向なのだろうか…?
わたしにとって村上服装論は人を魅了する力が大きい一方で、「距離をとりたい気持ち」も大きくさせるものでした。

(誤解を恐れずに言えば、現在、村上服装論が(あんまり)人気ないのも、なにか理由があるのだと思います)

今回の研究会では、それをうまく整理することで、村上服装史/服装論の主張とは何であるのか、自分自身の理解を深めたいと思います。

(河原梓水論文の力を借りちゃって!)
(ここではモヤモヤしていますけど、実際はもっと具体的な話ばかりになると思います)




みなさまもどうぞご参加ください。






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研究会「村上信彦再考」によせて

2017年03月01日 | Weblog

今度、阪大豊中キャンパスで研究会をもちます。
ファッションとジェンダーに関心のある方はぜひおいでください。

女性の服装について考えてみたい、女らしさとか流行の(?)女子力について考えてみたい、なぜ女性のファッションてこんななの?とか、身の回りのことについて考えることは日常生活においてわりとずいぶんとあることと感じます。
(授業をしていても、毎年毎年学生からぽつぽつ意見が寄せられて、そう感じられます)
(留学生からも、日本人学生からも)

村上信彦は、そんな疑問にたいしてひとつの大きな視点を与えてくれる研究者ですが…

今回は、その彼の知らなかった側面を河原梓水さんに報告してもらいます。




* * * * *

河原梓水さんの研究を知って、本当にびっくりしたのがこの研究会のきっかけです。
ただ驚いたというより、本当にびっくりしました。
村上信彦に別名があったなんて!
軽く裏切られた感さえありました。 (誰に)(いや、村上に…)

あんまりびっくりしたので、にわかには信じられず、すぐに河原論文をガイドに古本屋さんで雑誌を購入しました。
(それがポスターにも使用したこの号です)
1954(昭和29)年8月の『奇譚クラブ』。
吾妻新「海外サデイズム雑記 「服装の利用」」…
小見出しには「ズボンについて」。
そして最終的には「ワイニンゲル(オットー・ヴァイニンガー)」まで登場しています。

もう、少女漫画風の白目になる勢いで、「彼女の言うとおり、これは本当に彼なのだわ…!」と再度ショックを受けたのでした。

普段、『それいゆ』や『ひまわり』、『婦人倶楽部』や『婦女界』などの婦人雑誌に接しているわたしにとっては、本当に新しい世界です。
ぜひみなさまとも、新しい視点をシェアしたく存じます。

みなさまのご参加をお待ちしております。





「村上信彦 再考」
―村上信彦の匿名資料の発見から―

日  時:2017年3月15日(水)14:00~17:00

会  場:大阪大学 豊中キャンパス 待兼山会館 2階 会議室

報  告:河原 梓水(立命館大学衣笠総合研究機構 専門研究員)
 「村上信彦の匿名資料の発見とその意義―1950年代の村上の活動から―」

話題提供: 小山 有子(大阪大学ほか非常勤講師)
 「ファッション研究から、村上への再応答」)

コメント:長 志珠絵(神戸大学)

事前申し込み:不要
問い合わせ先: alicoyama@gmail.com (小山)

大阪大学 豊中キャンパスへのアクセス
https://www.let.osaka-u.ac.jp/ja/access



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旧正月を前に

2017年02月03日 | Weblog





立春を迎え、陽射しには新しい季節を感じる今日この頃、みなさまいかがお過ごしですか(二度目)。

喪中でもないのに、ブログでの新年のご挨拶を長らく失礼しておりました。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。




小山 有子



* * * * *


今年の年賀状は1959(昭和34)年5月号の『ジュニアそれいゆ』(27号)表紙です。
特集は「お母さまをしあわせに」。
この号グラビアに出てくるお母さま方が着物姿です。
おぉ…。

そしてこの号はルネ先生のイラストがすごく多くて、可愛さが炸裂しています。

読んでいて楽しかったのは「ジュニアのための銀座辞典」。
和光は「最上級の高級品ばかり揃えていてジュニアのお小遣には縁遠い店」とバッサリです。
まぁね…
一方、天賞堂は地図にも辞典にもなくて、ちょっと残念。
ジュニアだって鉄道模型くらい見てもいいんじゃないでしょうか!







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姫路文学館「中原淳一展」行ってきました!

2016年12月29日 | Weblog
姫路文学館で開催されていた「それいゆ創刊70周年記念 中原淳一展 ―美しく装うことの大切さ―」に行ってきました。
(11月半ば)
(行った後に盛大に風邪をひき、休講を出した秋でした)


今回の展覧会は、文学館での開催なので、立体的な資料(小物とかお人形とか)のない、とてもシンプルな展示。
雑誌の原画がメインなんだろうな~という展示でした。



「ぬり絵コーナー」なんて机もありました。

個人的にはKENZOのメッセージがとてもすてきで、KENZOのトークショーもあったらよかったのに…
(文化出版局の『高田賢三作品集』にあるんですけど、いつもそこの部分は授業で使います!)


全体的には、ちょっと物足りなさがあるかなぁという、小ぢんまりした展覧会でした。

展覧会グッズは、一筆箋とファイルを購入しました。
物販でいちばん目をひいたのは、マッチ!
すごくカッコいいの!
「黒豹」の絵柄(だったと思う…)で、お値段もちょっとカッコよさげで。
いいなぁ、あんなマッチ、どこで使うのかしら。




* * * * *



淳一展を見て、その後風邪で寝込んでいる間、姫路でも「高田賢三展」したらいいのに~…
と頭痛のあいまあいまに展覧会企画妄想。

会場は文学館でもステキですが、やっぱりレンガの美術館かなぁ。
(姫路市立美術館)(どこから見てもすてき)

KENZOは一度、シロトピアでファッションショーをしたそうなんですが、また来て下さらないかしら。

もしくは神戸ファッション美術館で…とも思ったけど、F美は神戸市の館だからな~。
「姫路市」もしくは「兵庫県」だったら企画しやすそう。

主催が「兵庫県」だったら、大西厚樹(赤穂市出身なのよね~)はどう?(キャー♪)

もっと日本人デザイナーの展覧会があっていいのではないでしょうか!




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姫路文学館 「それいゆ創刊70周年記念 中原淳一展 ―美しく装うことの大切さ―」

2016年10月01日 | Weblog



リニューアルオープン記念特別展 「それいゆ創刊70周年記念 中原淳一展 ―美しく装うことの大切さ―」


それいゆ創刊70周年 中原淳一展 ―美しく装うことの大切さ―

「女性のくらしを新しく美しくする」をテーマに掲げ、中原淳一が女性誌「それいゆ」を創刊してから70年。表紙や挿絵の原画、当時の雑誌や付録等を展示し、そこに込められた思いに迫ります。

(1)会  期

2016年10月1日(土)~12月4日(日)

(2)休 館 日

毎週月曜日(ただし10月10日は開館)、10月11日(火)、11月4日(金)、11月24日(木)

(3)観 覧 料

一般600円、大学・高校生400円、中学・小学生200円

(4)主  催

姫路文学館

(5)監修・協力

株式会社ひまわりや

(6)企画協力

七彩社

(7)後  援

朝日新聞姫路支局 神戸新聞社 産経新聞社 サンテレビジョン 播磨時報社 播磨リビング新聞社 姫路ケーブルテレビ 姫路シティFM21 毎日新聞姫路支局 読売新聞姫路支局 ラジオ関西





* * * * *


情報はすべて姫路文学館さんHPから。


ポスターをまだ見かけないので、まだかなまだかな…と思っていたけど、ようやく広報で見ましたよ!
楽しみ♪♪

どなたかいらっしゃる方があったらぜひ誘ってくださいな。
姫路駅で待ち合わせして、ループバス乗って行きましょうね。



わたし、河口湖に美術館があったころから数えて、もう何回淳一の展覧会行っているかわからないくらいです。
それでも原画が見られるなら行く。参りますとも。







トップの写真は、『それいゆ』10号(奥付は『ソレイユ』)。
(10月号かと思って手にとったら10号だった…)
1949(昭和24)年6月の発行です。
ちょっと季節外れね…。ごめんなさいね。
(姫路文学館のポスターでは1954年の31号表紙が使われています)


※ こちらです。山陽電車の中吊りで失礼します(わたしが行く場所ではなかなか見当たらなくて…)。



この号をパラパラ見ますと、夏前の号なので、浴衣に関する記事が盛りだくさん。
淳一は「ゆかたどれす(愉しく新しく)」(浴衣地を用いたワンピース)も、普通の「ゆかた」も、「それいゆぱたーん」での「伸びゆくひとのための木綿のドレス」も縦横無尽にデザインしています!
「水色の風にのる歌 あなたの若い夏のために」(というデザインのページ)には、ハマグリ型の帽子(ボンネット?)の作り方まであって、「誰かこれ作って!」とお願いせずにはいられないステキさです。
肩から胸までピンタックの寄せてあるブラウス・スーツには、「はつ夏の花によする白きよろこび」…!
うっとり。

ところでこの号に花森安治が短い文章を寄せています。
「若いひとに」。
花森ファンは必読よ!





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バッハクライス神戸 第10回定期演奏会

2016年06月11日 | Weblog
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第27回 千里バッハ合唱団・オーケストラ演奏会

2016年05月15日 | Weblog
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成澤泉先生来る!

2016年05月01日 | Weblog
先月の『桜楓新報』を見て、これについて何か書いておきたい!と思っているのですがなかなか…
成澤先生は何をお話してくださるんでしょうか。
「グレーテルのかまど」に、先生の大福は登場できる日がくるのでしょうか。



* * * * *



成瀬仁蔵と聞いて、すぐに大福(か、お餅)が思い浮かんだのは、軽井沢セミナー前の特別講義で、増淵宗一先生が紹介されていたからです。

病床にあった成瀬先生の日記か看護日記のどちらかを読まれた増淵先生が、
「成瀬先生は意外に甘党のようでした。ではクイズです。成瀬先生が好きだったものは何か。」
と唐突にクイズを出されて、その中のひとつが大福でした(選択肢のなかにハーゲンダッツが入ってたのも覚えてる)。

成瀬先生が好きだった大福は護国寺のお菓子屋さん(もちろん和菓子屋さん)だったような気がしないでもないけど…。

でも、「グレーテルのかまど」に出るには、ちょっとストーリーが薄いかしらね。
なんとなく残念ね。

このことをちょっと考えていて、「グレーテルのかまど」にしても、朝の連ドラにしても、メインにならない先生、残念な感じ。
朝ドラはちゃんと観てないので何とも言えないけど、コミカルな演出をされてたし…



で、さらに次の朝ドラについてもボンヤリ考えて、花森安治が主役じゃない『暮しの手帖』ドラマって、どんなのかしら…。
なぜ花森が主役じゃないのかしら。
朝ドラだから?
たしかに『すてきなあなたに』の素敵さは無敵だと思うけど。
“女性領域”で活躍した男性は、朝の連ドラの主役にはなれないのね。
ならなくてもいいんでしょうけど。






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「宮中服批判考 占領下における皇后の装いをめぐって」『イシバシ評論 Cultures/Cretiques別冊』

2016年03月05日 | Weblog



「川村邦光『弔いの文化史』を読む」の書評会でも書きましたが、香淳皇太后(良子皇后)の宮中服について書きました。
良子皇后について案外書かれたものが少ないので、資料は限られましたが、とっても興味深い事例となりました。

きっかけは、恵比寿の都立写真美術館の図書室でずっと見たかった『天皇』(サンニュース・フォトス社)を実際手にとれたことからでした。
(表紙はあの赤い表紙じゃなかったのが残念でしたけど)
資料のために豊中の総合図書館にも(毎度のことながら)行き、ウロウロしていたら『天皇御近影集』があって…
それも三冊もあって(!)、こういうことがあるから図書館大好きです。
特に阪大図書館大好きです!

まだまだ全然形にはなりませんが、この「宮中服」は、『〈性〉の分割線』の「和服改良論と「女性美」」に続くものです。
(そして『ユリイカ』の「きものと中原淳一」が後に続きます)



* * * * *


トップの画像は『イシバシ評論』ではなくて『少女倶楽部』の付録です。
(ホントは阪大にある『御近影集』にしたいところですが、豪華すぎてスキャンしにくいんです…)
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