不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La sicurezza alimentare pensata dai giapponesi

2015-06-12 15:38:50 | 日記

仕事の一環で国際食品工業展へ。

アジア最大級の「食の技術」の
総合トレードショーとかいわれる展示会。
食品製造にまつわる機械はもちろん
原材料の洗浄処理から
消費者の手に渡るまでの物流にいたるまで
ありとあらゆるものが集結しているわけですが、
昨年もこの会場に行ったとき、
私は違和感を感じたし、嫌悪感も抱いた。
それは今年も変わらないし、
相変わらずの国だなぁって思ったんだけど。

もちろん世界に誇る技術を搭載した
様々な大型機械があるわけですが、
あんなステンレスのお化けみたいな機械から
ガシガシと生み出される大量生産の食べ物って
本当に、そんなことする価値あるのかなぁって
漠然と思いながら、
機械とビジネスマンの間をすり抜けていくわけで。 
とても場違いな感じを毎回受けるのよね。

仕事ですから、ちゃんと仕事もしてきているわけですけど。
全体をみて私が感じた今年のキーワードは
・少子高齢化
・人材不足
・食の安心&安全
というところかな。
どれもここ数年日本が抱える社会問題でもあるしね。
トレンドはそっちを向いているみたい。

特に昨年末から続いた食品の異物混入問題への関心が
世間で高まっているので、
食品関連企業は敏感に反応しているなぁって。

欧州で食の安心&安全っていうと
検査機器で異物を限りなく取り除くことよりも
より自然な形で作物を育てるとか、
家畜のストレスを減らす方向で努力するような気がするんだよね。
環境や人体に影響のある農薬の使用を取り締まるとか、
添加物を使わないとかさ。
そもそもちょっとなにか異物が入っていても、
日本みたいに大袈裟な問題にならない気がするし、
日本も昔はこんなにヒステリックじゃなかったよねぇ。
もちろん出来上がったものに
異物が入っていないことのほうが望ましいけれど
ぱっとみてわかりにくい添加物とか残留農薬の方が
ずっと質が悪い気がするんだよね、虫とかビニール片よりも。

少子高齢化についても
もし本当にこれから人口が減っていくのであれば、
日本国内では
そんなに大掛かりな機械を使って
食べ物を大量生産する必要はないんじゃないのかねぇ。
もちろん、大量生産で支えていかなくてはならない
成長過渡期の世界の国々の皆さんには
日本の技術は役に立つかもしれないんだけど。
少子高齢化とセットになっているような印象のある
人材不足を解消するための工場内のロボット化とか
オートメーション化もよく取り上げられるけれど、
ご年配でもまだまだ働ける方に
働く機会を用意するという選択肢もあるんじゃないのかなぁとか。
ロボットにしかできない仕事っていうのは限られていて、
実際には作業効率とか歩留まり率を最優先するがために
これまで人間のやってきたことを
ロボットで置き換えているだけなら
そんな行き急いだ社会自体が間違っているわけだし
少し効率が悪くても、
人間の手で食べ物は作ってもいいんじゃないのかな。
なんかね、
ベルトコンベアの上で
生地が絞り出されて、焼かれて
あんことホイップクリームが挟まれて
オリジナルの焼き印押されて
計量されて、袋詰めされて
異物検査されて
出荷準備が整っていくどら焼きをみていて
そんなどら焼き食べたくないわって思ったのが正直なところ。

でもバイヤーの皆さんとかは
そういうものを求めて世界各地から来ていたりするわけなのよねぇ。

さらに
大掛かりな機械で大量に作られて、
日本各地にばらまかれていく食べ物って
その多くは消費されずに廃棄されていくでしょ。
フランスでもイタリアでも
こうした消費されずに廃棄される食材を減らすために
法を整備して、
必要としている人々の手に行き渡る仕組みを作り出そうとしている。
日本はといえば、
包装を工夫して、食材の保存期間そのものを伸ばして
見切り品を減らす方向へ動く。
そのギャップが私に嫌悪感を抱かせるんじゃないかなぁ、と。  

日本の産業技術も製造業も
大事な一面であることは重々承知しているけれど、 
そでもなお、日本は違う方向に進みたがっていると思うのは
私だけなのかなぁ。

展示会場でPRしているいくつかの企業の営業の方々にも
その辺りを問い質してはみたけれど、
誰もが、機器メーカーにとって優等生的な
当たり障りのない答えを用意していらっしゃって。
私のような考え方はきっと排除されちゃうんだろうなぁ。
そんな質問したのは私だけだったのかもしれませんけどねぇ。



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