「思索の場所」「美の楽園」。
形而上絵画の創始者であるジョルジョ・デ・キリコ
(Girgio de Chirco)が称えたフィエゾレ(Fiesole)の街。
気難しいこの画家とフィエゾレの密接な関係。
展覧会開催中とあって街中はキリコ看板だらけ。
フィエゾレには彼の最初のパトロンであり画商であった
ジョルジョ・カステルフランコ(Girgio Castelfranco)の自宅があり
キリコはそこに足繁く通っていました。
またフィエゾレにはキリコの初期の作品に
大きな影響を与えたとされる
師匠アーノルド・ベックリン(Arnold Bocklin)の邸宅もあり、
キリコの画家としての生涯と切り離せない場所でもあります。
キリコの21点の作品に加えて
お互いに影響しあった形而上派絵画、
そして前衛派絵画を約60点集めた現代美術画展。
後の時代に大きな影響を与えた
キリコのオリジナリティー溢れる作風を実感できる展示。
1930年代以降のキリコの作品がメインとなっているため
高く評価される1910年代の
抽象的で懐かしい絵画を否定して
古典主義に戻った時代の作品も多く展示されています。
キリコの古典主義に戻った時代に描かれた
馬の絵や風景画などの作品も確かによい作品。
でも彫刻もしくはマネキンのような形で描かれる
不思議な人物像のキリコ独特の絵画を
見慣れている我々にはどうもしっくりこない感じ。
古典主義に戻った後も、
一方で彼は抽象的で郷愁感の漂う
形而上的絵画の製作を続けており、
1950年代以降にはそうした作品も増え
その時代の作品も時代系列に展示されています。
代表作でもある「イタリア広場(Piazza Italia)」シリーズを
同じテーマで晩年描き直したもの、
「トゥルヴァドゥール(Il Trovatore)」などには
彼独特の作風が現れていて、これぞキリコという感じ。
どこか寂しげでアンニュイで謎めいている。
心の裏側を描くような作風は
フィエゾレの丘の上で育まれたのかと思いを馳せながら。
Giorgio de Chirico e un Novecento
prima e dopo la Transavanguardia
会場:Basilica di Sant'Alessandro
(聖アレッサンドロ寺院)フィエゾレ
会期:2007年4月14日から2007年6月3日まで
開館時間:9:30-19:00
入場料:5,00ユーロ
(フィエゾレ美術館共通チケットは13,00ユーロ)
詳細インフォメーション:www.fiesolemusei.it
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