パリにあるプライベートコレクション美術館。
Museo Jacquemart-Andre(ジャクマール・アンドレ美術館)。
フィレンツェのルネッサンスに惚れ込んだ
二人のコレクションとして有名。
Edouard Andre(エドアルド・アンドレ)と
Nelie Jacquemart(ネリィ・ジャクマール)は
1800年代の終わりにイタリア各地を巡り、
精力的にフィレンツェルネッサンスの作品を蒐集。
当時のイタリアは政治的にも経済的にも変革期にあり
富裕貴族や各宗教団体が
やむなく財産の一部を売り払うことも多く
プライベートで所有されていた数多くの優れた作品が
市場に出回るようになっていたため、
そうした作品を二人は吟味して購入し、
パリに持ち帰ってコレクションを充実させたといわれています。
アンドレの死後もジャクマールは
友人・知人を通じて家具や絵画、彫刻などを根気よく集め続け
コレクションをさらに拡大します。
相続者のいなかった彼女が亡くなったときに、
すべてのコレクションはInstitut de Franceに譲られました。
それから彼らのコレクションは
美術館として一般公開されるようになりましたが、
一旦閉鎖され、長い修復の後1995年にリニューアルオープン。
莫大な数にのぼるコレクションは
すべてが一般公開されているわけではなく
特別な機会でなければ見られない作品も数多く含まれています。
そんなコレクションの中から
フィレンツェのルネッサンス時期に活躍した作家たちの作品が
長い年月を経て、初めて故郷に戻ってくるという特別展。
メディチ家の権力化で保護されて活躍した
ドナテッロ、ヴェロッキオ、ジャンボローニャなどが
てがけた小さな作品群。
55点の作品の中でも最も重要な作品がDonatello(ドナテッロ)の
Martirio di San Sebastiano(聖セバスティアーノの殉教)。
ドナテッロがこの主題で作った唯一の作品とも言われています。
妖艶で繊細な彫刻やブロンズ像を
数多く残すドナテッロが制作した小さなプレートで
左に殉教する聖セバスティアーノ、
中央奥に天使、右手に二人の兵士。
弓矢で打たれて殉教するシーンが描かれていますが、
小さい画面上に4人の像を描き、
至近距離から放たれる矢には緊張感がみなぎっています。
「聖セバスティアーノの殉教」というテーマでは
ソドマ(Sodoma)の絵画が非常に妖艶。
それに比べるとドナテッロのこの作品には
彼独特の繊細さは見られますが妖艶さは薄い感じ。
なんといっても小さい作品なので、
近くから細部まで食い入るように観る楽しみはあります。
Donatello e una casa del Rinascimento
Palazzo Medici Riccardi
会期:2007年5月12日から2007年8月31日まで
開館時間: 9:00-19:00
休館日:水曜
2007年版「Genio Fiorentino(フィレンツェの天才)」の一環。
これからフィレンツェは芸術的イベント目白押しです。
ジャックマール・アンドレ美術館は
私は行ったことがないのです。
私が唯一パリに行ったときには
ルーブルで力尽きてそこまでいけなかったので。
このドナテッロの作品は彫刻というよりも
薄彫りなので
矢の部分は突起していなくて
銅版打ち出しって感じです。