この冬のヨーロッパは異常気象で
各地で大雪や寒波の影響が出ています。
イタリアも例外ではなく、
フィレンツェにも雪がちらついたり
アルノ川の水位が異様に上がったりしています。
ヴェネツィアの冬の風物詩でもある
高潮(Acqua Alta)も
記録的な水位に達したのと同時に
例年に比べると高潮の起こる回数も増えています。
サン・マルコ広場周辺は特にその被害はひどく
有名なHarry's Barのオーナーである
Arrigo Cipriani(アッリーゴ・チプリアーニ氏)の
堪忍袋の緒も切れた様子。
運河を目の前にした店内は
12月のひと月で
クリスマスや大晦日のかきいれ時も含め
実に8回も水に浸かり
大晦日にはエレガントな服装できめた
ヴェネツィアや世界各地からの上流階級の顧客は
足元だけはみんな長靴という出で立ちで食事をしたそうです。
ここ数年の高潮の被害に業を煮やしていた彼ですが
今回はヴェネツィア市民に警鐘を鳴らす意味でも
本気で法的な手段に訴えることを決心したようです。
もちろん自然現象である高潮を訴えても仕方のないことですが
長年かの地で営業しており、
高潮も十分に経験している彼にとって
ここ数年の異様な水位と高潮の頻度は異常であり
決して単なる自然現象ではなく、
一部は人災であるというのが彼の持論。
彼によれば、Canale Petroli(ペトローリ運河)の水深を
19メートルまで掘り下げたことと
外海との出入り口である
Mose(モーゼ)の開口部を広げたことが大きな原因だとして
その工事を行ったPorto(ポルト)と
その工事の詳細を把握するべき高潮管理局が
チェックを怠ったことに責任があるということなのです。
こうしたいくつかの工事のせいで
ヴェネツィア本島を取り囲むLguna(ラグーナ)に
流入する水の量自体が増えているので
高潮が起こりやすくなっているというのが彼の仮説です。
今後きちんとした数字を提示して全面的に闘うと奮闘中。
ペトローリ運河はヴェネツィアの高速道路ともいわれる運河で
外海からラグーナに大型船が入れるように
1960年代に掘られたものです。
高潮管理局によればこの運河の水深は
チプリアーニ氏が言うように19メートルではなく
12メートルであるとしており、
正確な計測調査も必要になりそうです。
第二次世界大戦中に外海との接続開口部の水深が
6メートルであった頃には
高潮の被害など受けたことがなかったのだから
いずれにしても各所の水深を掘り下げて
ラグーナ内の水量を増やしたことが原因だと
チプリアーニ氏は反論しています。
実際に、ある一定の水位から高潮に達するまでの時間は
一昔前よりも短縮されているようです。
チプリアーニ氏の説が科学的に正しいのかどうかは別として
市民の立場から高潮被害に対する抗議の声が上がり
改善運動が行われることが重要なのです。
行動しないとだめなんだねぇ。
世界のあちこちで感じている異変を
ちゃんと正面から受け止めて
きちんと行動に移さないといけないのね。
日本でも今冬は急な大寒波にさらされています。
これが通り過ぎると平年より暖かくなり、また寒波がやってきて。。。
作物に異常が出始めています。
気候、天候に大変動が起きてきてるのは否めないですね。
その対策に取り掛からなければ、後悔がやってくるのかもしれません。