タンクに入れたパウダーを水でとかし、かき混ぜながら生地にしみ込ませる。
この際特別な浸透剤などは使いません。300M程生地を巻き込んで染めるのです。
簡単に染めつかないので、4~5時間の作業です。
糸の撚りが緩いもの、織り込みが緩いものは繊維の中に入りやすいので、濃度が濃く上がります。
今企画の帆布はその点、10番の糸を2~3本撚ったものを使います。おまけにシャトル織機ですから
糸の中にタンニンが入り難いのです。色が入るまで、時間がかかってしまいます。
おまけに、タンニンは水に溶けるとぬるぬるになるので、作業は困難を極めます。
染工場の親父は 大変です。暑い、汚れる、キツイ!
生地の投入作業から乾燥まで3日、1000m程の作業なら1週間を見なければ成りません。
その様な訳で、化学染料で染める方がコストも安く楽で安定した物が出来るのですが、なぜかこのタンニン染めが
好評なのです。
それは味でしょうか! 料理の見かけと実際に食べて味が最高なら またお客様はリピートしてくれる訳です
このタンニンも同じで、製品にした見かけと実際に使い込んだ時の味が評価を上げて居るようです。
染工場は京都左京区で永年お世話になっている所です。別に特別のレシピが在る訳ではなく、経験から
色をチェックしてもらいます。困った事に原料が天然、イタリアから輸入しますので同じ色に治まりません。
しかし、最近は同じに出来ないが、生まれた物は全て良いという考えで仕入れしています。
工業製品の均一性が特に重視される売り場には向きません。
自然の良さが見直される時代です。
たとえば、ワインは年の天候によって、場所によって、同じワイナリーで作られても同じ味わいには成らないけれど
信頼がそのワインを良いものにしていきます。
一寸違うけれど、染工場も在る意味同じ所が在るように思っています。
一時の流行で仕事をしていないのだ! すこし乗り過ぎですかね?
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