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若者の就職問題に迫る!その3 NHK特集「日本の、これから~就職難」番組から、その解決策を探ってみる!

2010年12月28日 | 気になった事
プレゼンの3人目は、放送大学教授の宮本みちこさん。
略歴は、教育大(現・筑波大)→お茶の水女子大修士→千葉大教授→ケンブリッジ大研究員→現・放送大学教授。専門は、青年社会学・家族社会学です。その著書『格差社会と若者の未来』(2007)でも分かるように、若者の雇用問題を研究テーマとしている方です。


宮本さんの主張とは、なにか。いま我が国では、学卒無業者が増え続けているといいます。15歳から34歳までの世代で、63万人。さらにフリーターや派遣社員など非正規雇用者は、411万人にもなり、この年代全体のほぼ3分の1になるといいます。規制緩和とグローバル化による産業構造の変化で、もっとも影響をうけたのがこの年齢層だとみられ、早急な対策が求められていますね。

では、どうすべきか!宮本さんによると、現行のシステムですと、職業教育が不十分で、そのために企業の求める人材とのミスマッチが生じている。その辺りが温床となって、いまの雇用問題が生じているといいます。

学校で職業教育が上手くいっている事例がひとつ取りあげられました。それは、就職内定率が、毎年100%の富山工業高校です。学校からの働きかけのもと、地元企業では毎年インターンを積極的に引き受けてくれているといいます。その数は90社ほどで、電気工事から建設や鉄鋼などの会社が受けもってくれているとのこと。2年生・3年生を最長10日ほど受け入れ、実習してくれるそうです。さらに、学校側も企業の即戦力となる人材を育てようと、最新の産業機器を導入して、技術研修をさせている。学校は、学業と実業としての技術指導をあわせ持っているということでしょう。
調べてみると、この学校の偏差値は49。富山県ではちょうど中間に位置します。この学校以外にも、奈良県の王寺工業高校なども、この10年間就職内定率は100%です。ここの偏差値は41で県内では下位ですが、工業高校のもつ強みを十分に活かし、健闘しているということでしょう。これら高校の出身者は、人間性も抜きんでていて評判が良いようです。

就職率100%の大学ということで、テレビでよく取りあげられているのが、秋田県にある国際教養大学。この大学も、毎年学生の全員が内定をうけている大学です。授業はすべて英語。さらに海外留学の義務があり、外国からきた留学生と同室の寮生活も必須といいます。つまり、学外でも英語を使わなければならない環境。たぶん、宿題や課題も多いんでしょう。一日24時間ずっと図書館は開いていて、いつでも勉強ができるといいますね。さらに、地元企業で、一定期間働くことも求められており、勉学と実学としての仕事の両面を学ばせているといいます。まあ、これだけシッカリした内容ならば、企業側としても文句はでませんね。

番組では、一般参加の大学関係者(職員)から質問がありました。「教授から言われること。それは大学は、アカデミックを学ぶべきもの。職業教育まではどんなのか!」という問いです。私は、これは大学の甘えだと思いました。逆に、社会で使えない学問は、学問ではない!ということでしょう。
そもそも文科系の学生は、あまり学ぶ姿勢がありませんね。出欠すら取らない講義が多い。これは、学生が勉強しない!のではなく、講師・教授が放任しているという事だとみていいでしょう。こんな事をふくめて、第三者評価で、教授や講師を質を問うべきだと思います。また、そんな教員を雇っている大学そのものも、評価の対象とすべきでしょう。さらに、就職率や、各種資格の取得人数なども公にして、競い合わせるべきですね。

番組では、別の成功事例として、オーストラリアを取りあげていました。それは、この国が、若者の就職率を劇的に改善したからです。豪州では、1997年から2007年までの10年間で、失業率を16%から9%へと減少させました。これを可能にしたのが、「センターリンク Centrelink+職業訓練」という仕組み。このセンターリンクは、就職に特化したものではなく、さまざまな地域福祉の総合センターです。その仕事のひとつが、就労支援。就職が決まらない若者は、まずこのセンターリンクにいきます。その若者にたいして担当相談員がつき、就職できるまでのプランニングをします。できたプランをもとに、職業訓練を受け、技術を習得。この技能をもとに就職先をさがし、就労するという流れ。その間の費用は政府がまかない、さらに若者には手当ても支給されるといいます。これらにかかる費用は、若者1人つき百万円ほどだという事でした。
オーストラリアでは、98年までは「CES」という仕組で行ってきたようですが、ほとんど就職サービスというにはほど遠かったといいます。機能していないがゆえに、求人企業と労働者のミスマッチが生じ、その結果失業が増えていったわけです。政権が変わった96年辺りから新システムへの変更が計画され、現行のシステムになったようです。

経済環境が悪化した現代、企業も以前のように、ゆっくり社員を育てる余裕がなくなってきています。そこで、どうしても即戦力性を求めるようになりました。
国家同士も競争をする以上、職業教育は国家プロジェクトとして考えていかなくてはならないでしょう。

つづく

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