スマホが再開出来た。 早速、購入した雑誌の話から始めたいと思った。 ところが、雑誌に載...

父は南支に出征した。 軟弱な父にとって過酷過ぎる兵役だったらしい。 直ぐに肺浸潤に罹り...

自分と仲の良かった幼馴染が兵隊にとられ、母は生まれて初めて喪失の哀しみを知ったと思う...

その日、台風が洋上を通り過ぎるという予報があった。 昭和60年10月の事である。 K海岸沿い...

女はガタガタと震えながら片隅の席に座った。 「椅子濡れるけどすいません」 「後で拭きゃ...

20年前のあの夜も風雨が強かった。 21歳の晴子はフラフラと波の荒い海岸を彷徨っていた。 ...

兵藤舞は夜半に東京のアパートに帰宅した。 田神晴子の推察通り、彼女も自殺を考えてあの海...

晴子と舞は、あの嵐の晩から30年過ぎた秋に再び出会った。 K岬の突端で二人は眼下の逆巻く...

田神晴子は先ほど会った女性を何処かで見た気がした。 かっての常連客の顏も名前もそらで覚...

殺した相手の名は保本維澄、大学講師である。「お別れだ、もうこれっきり会わない。ただ最後...