1986年 新宿 最終章
篠塚麻友は清純な感じの娘である。 キビキビした仕事ぶりで男女を問わず人気がある。 誰が...
1986年 新宿 その3
その日豊は一度も菜美と目を合わそうとしなかった。 その日に限らず、彼は菜美に妙に素っ気...
1986年 新宿 その2
どこかで聞き慣れた歌が聞こえる。 歌の快い響きは菜美を高層ビルの屋内ホールに導いた。 ...
1986年 新宿 その1
凍てつく空の雪が舞いそうな夜、兵頭菜美は赤いコートの衿を立てて歩いていた。 職場は新宿...
山路こえて その3
その後、彼女とは親しい友達でなくなったが、お互い一目置いているものはあった。 聖書の...
山路こえて その2
春の盛りの頃だった。 帰り道、あれは自由が丘駅のホームだったと思う、彼女と私は諍いをし...
山路こえて その1
中学生になって私は、上野毛にあるミッションスクールに入った。 中高一貫校でいわばお嬢様...
セピア色した東京
私が上京したのは、昭和29年(1954年)、7歳を超えた時である。 薄ぼんやりとした記憶の中で...
不都合な事件 最終章
元信者の名は福岡晴といった。 行方不明ではなく、現在精神病院の保護室に入院している。 ...
不都合な事件 その9
大新聞社の記者として松村は幅広い付き合いがあった。 S教会に知人の秋嶋がいる。 隠然と...