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読書の森

稲田倍穂 『日本列島と日本人』 再び


本日は2022年2月22日、これだけの2並び猫🐱の日でございます。それに因むblog を出したいところですが、見出しの猫で我慢していただきたいです。

北京オリンピック後、しみじみ(?)考えてる事をblog にup致します。
過去のblog の再掲載になりますが、読んでいただければ幸いです。


日本人のルーツは何なのだろうか?
そもそも、大昔、日本列島は大陸と地続きだったので、今の大陸の人が日本人の先祖だったはずだ。
そこで、図書館に行って列島誕生の秘密が明かされていそうな、この本を借りた。

著者は大正12年生まれの工学博士であり、官庁に勤めた技術者だ。
大分、ユニークな歴史書みたいである。

2016年、著者が93歳の時にこの本を上梓した。
だから、この本に著者の93年間培った人生観、歴史観、政治観のすべてが詰まっているようだ。

「今こそ小異を捨てて大同を取り、何事も隠さない大きな度量をもって、歴史に対する不断の責任を持ち続けようではありませんか」
と末尾に示されて、私はなんだか涙が出てきてしまった。

昔ながらの正義感が真っ直ぐに出ていて、このところのモヤモヤした感情が少しだけ洗われた気がした。


本題に戻って、大陸から日本列島が今の形で分かれたのは大規模な地殻変動の繰り返しによる移動が原因だそうだ。(おそらくその際大地震が連発したのだろう)。
今から1000万年以上前の話である。

そして、約2万年前、日本へ人類が渡来したルーツは2通りあって、オホーツク側からと(アイヌ系)、朝鮮半島から対馬を通った側(モンゴル系)があるという。
稲作技術を持った華中、華南の人々がいて、日本に稲作が根付く基礎になった。

2万年前はここが陸続きで渡来しやすかったらしいが、その後、地球の温暖化によって海水が上昇して、完全に大陸と離れたらしい。
水行技術が発達してから、大陸の人々が新天地を求めて船で渡来したという。

温暖で湿気の多い日本の風土は稲作に適して、農業の発展に伴い、日本の人口も増えた。


渡来人の混血が日本人だというのは確からしい。
更に、著者は歴史を語る上で人口の推移との関係を見逃すわけにいかないと言っている。
つまり、大飢饉や大災害が起きた時には国の人口は激減して、国の技術が進み、富んでくると人口が増加する。

著者のユニークなのはこれを渡来と深い関係があると言い切ったことだ。
日本の人口はそこに根付いた人だけでなく、絶えず渡来した人々によって構成されているという。

まさか、こんな目から鱗の話が書いてあるとは思わなかった。
著者は「少子化している今、他国民を差別化する以上に連帯感を持つべきだ」という。
著者は満州に渡り、学徒出陣の体験者である。
二度と戦う事のないグローバルな世界を願っているのだ。
私は「ああ、これが書きたかったのだな」とやっと気づいたのである。

今の世の中ではドン・キホーテなのかもしれないけど、私はこの結論が一番まともな意見だと思った。


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