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読書の森

2011年3月11日午後2時46分 最終章



三日目、朝早く買い物に出かける。
ガスは来てるが水道は出ない。
通る道はボコボコに窪み、いつも出会う野良は影もない。

目指すスーパーは、まるで暴動の後の様に品物が無い。
バナナだの飲み物など、水無しですぐ食べられる物は殆ど無い。

ともかく、すぐ食べられる物を漁って、疲れ果て公園のベンチに座った。
向こうから中年の女性がやって来てニカッと笑った。

その顔を見てゾッとした。
そそけだった顔の唇が真っ赤に塗られ、しかもはみ出してる。
震災直後おかしな人が一杯いた。

私も相当ハイになり、しかも地震酔いに悩んでたけど、全然気にもされなかった。



今も覚えているのは、マンションに給水車が来た時の、住人の連帯感だった。
みんな、同じ驚きや苦しみを持っていると言う事は、ある意味人の繋がりを強くする。

ちょっとした親切や思いやりが痛い程身に染みた。

水がもっと欲しい時、水道が出る小学校の水飲み場を教えてくれた人がいた。
ともかく毎日が精一杯で、その中でひどく人の思いが通じる気がした。

風が吹き渡る美しかった街をやがて後にしたのは、地震とは全く違う理由だった。

災害の恐怖や原発事故が長く後を引く分かってから、緊張感が漂う、しかし楽観的な人たちが変わってしまった。

それでも助け合った人の優しさは、棘の様に私の心を虐める。
あの時、もっと心を開けば良かった。
悩みを率直に言えば良かった。

と思って4年が過ぎる。
どうか、亡くなった方々の御霊が休まりますように。
どうか復興が成し遂げられますように。

日本がもっと違った形で、穏やかで平和な国でいられますように。

読んで下さり、ポチッと押していただければ感謝です❣️ 

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