Notes3~ヨミガタリストダイアリー

名古屋市在住の俳優/朗読者・ニシムラタツヤの演(や)ったり読んだりの覚え書き

総花という花ー名古屋市文化振興事業団について(2)

2011年08月22日 |  文化行政とか


■あまり整理をつけないままに書き綴っていってしまったので、思考のスピードを緩めにして続けて考えてみます。(公財)名古屋市文化振興事業団(=以下「市事業団」と略)という組織が内包する問題点が、ホームページのリニューアルに現れていて、その程度はかなり深刻なものであるというところまで書きました。その根拠と私が考える部分から入ります。
■(1)で触れた市事業団トップページ下にある、Googleカレンダーっぽい予定表は、一見各種の情報が整理され、観たい、得たいと思った情報へのリンクが張ってあるため、すぐに該当のページへ飛ぶことができます。これは便利であると私は前稿で書きました。しかし、よくよく見てみると、表面上は繕っていながら、実はまったくユーザーフレンドリーではないのではないかという点に気付きました。それは、いわゆる「創作側」と「観客側」向けへの情報が分類されないまま、ただ網羅的に貼付けてあることでした。子ども向けのワークショップとそれ以外のワークショップと落語会と映画上映会とコンサートの告知と…、少し目が回りました。
■例えば、一般的な演劇分野でいうところの俳優、脚本家(劇作家)、演出家は、当然ながら自らの志向に基づいて創作活動に加わります。この「加わる」という行動も、何らかのオーディションやワークショップにに参加したりいう具体例をあげるまでもなく、内なる表現欲求に基づいているわけで、それが明確であればあるほど、求めたい環境や情報に最短距離で到達することを望みます。対してそれらの「環境」や「情報」を提供する側も、自らの企画を実現し、成功裡に納めるために、手練手管を駆使してその可能性を上げようとします。そこで、双方にとって幸福な出会いが生じることである種の可能性が上昇する局面を迎えるわけです。もちろん、迎えないまま終ってしまう不幸な場合も多々あるわけですが。
■そういう相互関係は、実演家と「環境」「情報」を提供する側―制作者・プロデューサーと言い換えてもいいかと思いますし、そこにいわゆる「文化」を扱う財団組織(=以下「文化財団等」と略)を含めることもできるでしょう―だけでなく、創作側によって提供され作品に触れる観客の皆さんとの間でも成立するはずです。「観たいもの」が明確であればあるほど、最短距離を求めるという意味で。
■もちろん上に述べたような「明確さ」の度合いは、人により千差万別であるのは当然です。例えばお客様になる可能性のある方が『何かわからないけど「ぱーっと』したものを観たいねえ』なんていうあやふや(に実演家の端くれである私には思える)な欲求から、『いや何っつっても「芝浜」はね、談志のものじゃないといけないよ。歌舞伎座で?当然でしょ。』という具体的極まりない希望までの振幅をできるだけカバーすることをミッションととして求められる場合、特に公立の文化財団等の運営する事業はいきおい網羅的な傾向にならざるを得ないというのも、確かにわかるのです。市事業団の場合も、演劇、音楽(洋楽邦楽)、舞踊、美術工芸、伝統芸能(能狂言落語等)、文芸、生活芸術まで、およそ文化と思われるものは全て包含しでいるわけですから。その振幅は相当なものになるでしょう。創作側だって、ある時点まで自分が何をやりたいのか、何が向いているのかなんて、自分でも全くわかっていなかったアーティストなんて、歴史上現在に至るまでそれこそゴマンといただろうし、現在もゴマンと存在しているはずです。こちらだって、226万という名古屋市の人口の集積を考えるまでもなく。相当なもののはずです。
■それならば、と思います。網羅的、総花的であらざるを得ない(これも自分は別の面から疑義がありますが)のなら、最低限のサービスとして、実演家・制作者等の創作側と、観客の皆さんの側へ向けた情報を明確に分類し、その上で、創作側と観客側が密接な関連を有していること、そして創作側の中で実演家と制作者等の間にも繋がることができる可能性を持っていること、もしくは既に繋がり、さらに多くの可能性を秘めていることを、あえて見せるべきではないのか?と思うのです。今のようなカレンダー方式を今後も続けるのであるならば、どのような意図のもとで、創作側向け、観客側向けの「情報」や「環境」の提供を混交させているのかということに、明確な説明が求められてしかるべきであると思います。
■市事業団の「設立趣意書」には、「市民の文化創造意欲を尊重し、その活発な活動を促進する」とあります。そのくだりと、一体どのように関連があるのか。ただノベタに情報を貼付けてお好きにどうぞ、であれば、単に責任逃れ、やる気のなさの隠れ蓑と言われても仕方がないでしょう。いや、実際にそういう組織であることを、地元の心ある実演家ならば、すでに骨身に沁みて知っているのですが。むろん、私も。

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6月17日 お気に入り リツイート 返信

■上の2つは、市事業団の本部と同じ棟にある、名古屋市青少年文化センターと、その附属施設のTwitterアカウントです。それぞれ1ヶ月半、2ヶ月にわたってツイートが止まっています。トップページの情報ほどにも及ばず、日々多くの方が行き来する両施設ですら出て来る情報がないということに、本来存在してしかるべきミッション(責務)そのものの不在を感じます。それがなぜなのか、次稿で考えます。もう少しおつきあいください。

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