Notes3~ヨミガタリストダイアリー

名古屋市在住の俳優/朗読者・ニシムラタツヤの演(や)ったり読んだりの覚え書き

「第9回AAF戯曲賞」公開審査会@芸文

2009年11月01日 |  文化行政とか
■去る10月26日(月)、すっかり秋のイベントとして定着したAAF戯曲賞の公開審査会に観客として行ってきた。2000年からスタートして今年で第9回目。と、いうことは来年第10回をもって終了する県芸術劇場演劇フェスティバルと同じく来年で最終回なのかとも思うが、とりあえずそんなことはないようだ。
■最終候補としてノミネートされたのは5作品(氏名のリンクは所属団体へ)。サリngROCK「金色カノジョに桃の虫」、しゅう史奈 「人魚の森」、鈴木アツト「青鬼(あおおに)」、吉田小夏「こころ」、そして鹿目由紀「蒲団生活者」。東西の若手に挟まれて鹿目の作品がどう評価されるのかが気になっていた。
■彼女以外の4本は公演を観たこともなく、戯曲そのものも読んでいないため内容の細かいところの言及はできない。ただし終わってから実感したことだが、この審査会の進行形態については改善すべきだ。例えば、今、この時点の上演を前提として、「台本として」優れているものを選び出すのか、受賞後、実際の公演製作において改作・改稿されることをあらかじめ織り込んで、「戯曲として」化ける可能性を秘めるものを選び出すのか、どちらのスタンスで審査を行うかによって受賞作は異なるおそれがある。いやむしろ、大きく傾向の異なる作品が挙げられる可能性の方が大きいのではないか。
■それが審査会に出られていた5人の劇作家・演出家に希薄であったかと言われれば、決してそうでもないだろう。佃典彦さんが客席から噛み付かれていて、背中越しにあちゃーと思いながら聞いていたが、そこで述べられた意見は上で書いたようなことだったはずで、正論だろう。佃さんは交差点の信号が故障したので交通整理をしようとして車から降りたらはねられたようなものだ。観客を入れて公開で行う以上、必要なのはゲームのルールをはっきりさせることだ。公式ウェブサイトに記されている「愛知からの文化の発信と演劇界の次代を担う人材の発掘・育成」という方針から一歩踏み込んで、冒頭で宣言をしたうえで審査に入れば、もっと実のあるやり取りが生まれたに違いないし、俎上に乗せられる劇作家にとっても有益だろう。優秀賞⇒来年冬の上演決定のサリngROCKさん、本当におめでとう!
■そういうわけで(財)愛知県文化振興事業団におかれては、来年も戯曲賞と公開審査会をやって頂きますように。聞くところ、もう一方の名古屋文化振興賞(こちらは審査非公開)は戯曲部門どころか存続が危ういらしいので…。

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