Notes3~ヨミガタリストダイアリー

名古屋市在住の俳優/朗読者・ニシムラタツヤの演(や)ったり読んだりの覚え書き

2つの僥倖(ぎょうこう)2-「ギャラクシアンエクスプロージョン3」について

2014年05月19日 | 朗読・声の周辺


■あっという間に1週間でした。報告したいことは他にもたくさんありますが、続きます。先のの「#女川歴史民俗紀行」が、いわば遠くの友人たちとのかけがえのない時間であったとすれば、これから書き残しておくこのイベントは、自分が生きて来た名古屋の街と、そこで舞台に立つ「近くの仲間」との豊かな時間であったな、と思い返しています。去る5月10日、11日の2日間は、名古屋市の劇場「名駅裏通スタジオナンジャーレ」にて開催された「ギャラクシアンエクスプロージョン3」に参加させていただきました。
■「ギャラクシアンエクスプロージョン」とは、3年前に始まった、名古屋を中心とした東海地方で活動する俳優が参加する、15分間という短い時間のひとり芝居のショーケースイベントです。これまで2回開催され、参加者の延べ人数は20名強。それが3回目の今回、応募者が殺到し、急遽前夜祭という形でさらに短い10分の枠を設け、総勢27名の陣容で3日間にわたって開催されました。
■しかし、当初自分は参加の申請等を行いませんでした。特に俳優としてこれといった実績があるわけでもなし、申し込みをしたところでおそらく通らないだろうし、そもそもひとり芝居に余り興味が起きなかったというのが正直なところでした。5月の開催なら4月中旬からはすくなくとも準備が必要だし、できれば女川行きの準備期間として空けておきたかったので。…ところが、わからないものです。締め切りが過ぎ、参加者の名前が漏れ伝わるようになった3月の中旬でした。知多市のある施設で、こちらも付き合いの長くなった劇団、試験管ベビーの通し稽古を見学していた私の携帯が鳴りました(正確には留守電通知のバイブ)。空宙空地のおぐりまさこ女史からでした。
■これまでよほどの親しい間柄でも「のっぴきならないお願いがあるのですが」などと問いかけられたことは、正直記憶にありません。しかしそう表現されても決して大げさではありませんでしたし、実際されました。聞けば、おぐりさんと組んでエントリーしていた我らが名古屋の兄貴分こと岸★正龍氏の、仔細は省きますがその代役を務めてほしいという依頼でした。
■相当悩みました。役者としてのスケベ心からすれば出たい。出て名前を売りたい。しかしひとり芝居だ。ひとり朗読は慣れていても全く未経験だ。そもそも台詞は覚えられるのか、というのは冗談ですが、やはり不安の方が先に立ちました。結局引き受けた理由を今から振り返れば、やはり新しい観客と、新しい相手と創作をしてみたいという気持ちが引っ込み思案を上回ったということになるかもしれません。そして、映像で出てくる岸さんとの掛け合いという、初体験の演出プランを聞いて、思わず楽しげな感じに握り拳を心の中で握ってしまったのでした。
■演出を務めて下さったにへいたかひろさんは、もう10年近く互いに知り合いでいた割に、これまで創作の同じ現場にいたことはあっても作品を一緒に作ったことはありませんでしたし、岸さんも期間は短いながら同じような感じ。映像を担って下さった平野隆さんに至っては今回、初めてまともに話をさせて頂いたくらいです。年かさはいっているがこの面子ならば何か面白いもんはできるだろうと思えたのです。そういう意味でこれはまさに「ひょんなこと」。予期していなかった機会、まさに僥倖(ぎょうこう)でした。
■そして、12回の稽古を通じて、自分の読む行為がこういう風に受け止められるのかという発見の連続でした。裏返せば、自身の癖に無頓着な状態が相当長期間に亘っていたというべきかと思います。それの錆び落としから始まったようなところが実際ありましたし、それが本番までの期間で完全に、盛んな勢いで舞台に立っていた7~8年くらい前までの自身の状態に持って行けたかというと甚だ心もとないのですが、終演後のアンケートをチラ見した限り、評価して下さったお客様が多く少し安心しました。もうこれは脚本の二朗松田さん(はちきれることのないブラウスの会)の才覚に負うところ大です。二朗さん、ありがとうございました。まだお目にかかっていないのですが。
■そして、やはり時間は流れているのだな、と痛感したのは、若い才能がどんどん出て来ているということでした。そりゃあと5年も経てば大方のメンバーは入れ替わって、また続く若い世代が出てくるし、残っていく人々には今からぼんやり見ていて何となくの予感を抱いたりもするのですが、やはりやっていることに違いはあれど、ジャンルやカテゴリにあぐらをかいていては進歩もないし腐ってゆくだけなのだと思うことができただけでも、今回の参戦は自分にとって大きな意味があったと思いました。
■先に挙げた皆さんに加え、本催事の運営に尽力された名古屋演劇アーカイブの長谷川公二郎君を始め、スタッフの皆様にも深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

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