黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

日弁連理事会の奇妙な内幕

2012-07-23 19:40:49 | 弁護士業務
 福岡若手弁護士のblog『法科大学院制度の改善に関する具体的提言』の記事・コメント欄から抜粋。
http://ameblo.jp/fben/entry-11306370135.html#cbox

 ブログ氏によると,上記提言に関する議論が行われた6月15日日弁連理事会での意見やり取りが,福岡県弁護士会の2012年7月月報に掲載されており,その内容は以下のようなものであったそうです。

■2012年7月号福岡県弁月報8頁から抜粋
・地域にとってLS(法科大学院)の存在は非常に大きい。適正配置に関して日弁連としてきちんと提言していただきたい。
・定員に関して(LSとして成立するだけの)クラスが維持できるよう提言していただきたい。

・予備試験を適正に実施すべきではないか。地方のLSには財政的な援助を検討すべきである。
・地域適正配置自体に疑問である。
・沖縄ではLSがあることで地元に弁護士が登録するようになった。日弁連が多様性の確保、地域適正配置を提言すべき
・新潟では今年、35名の定員に対し5名の入学者があった。LSから単位会へ支援継続の有無の照会があった。
・LSで民事要件事実・刑事手続などを教育内容とするのは無理ではないか。前期修習復活が必要ではないか。
・若手弁護士の質の低下を考えるとLSは廃止すべきではないのか。多様性確保のため予備試験を拡充するというのであれば、LS廃止を考えるべきではないのか。
・予備試験導入により、LS存続自体困難になっていないか。
・LSを法曹養成制度の中核に据えること自体が無理だったのではないか。
・LSを廃止すべき。このままでは弁護士会自体が存続できない。
・LS制度で法曹の質の低下がある。しかも学費負担が大変であり、LSは廃止すべき。
・旧司法試験制度に戻すべき。


 意見のうち,法科大学院推進派と思われる人の意見は青字,批判派と思われる人の意見は赤字にしてみましたが,意見としてはむしろ赤字の方が多いことに驚かされます。日弁連理事会の内部でも少なくない数の法科大学院批判派がおり,しかも積極的に発言していることが窺われますね。
 もっとも,日弁連には13人の副会長,71人の理事(うち常務理事39人)がおり,多数決ではなお推進派の方が勝ってしまうのでしょうが,法科大学院制度自体に対する批判的な意見がここまでありながら,日弁連と法曹の自滅につながる意見書を平気で可決してしまう日弁連の理事会とは一体どういう組織なのでしょうか。
 ちなみに東弁の機関誌には,黒猫の知る限りこんな情報は載っていなかったと記憶しています。