ネット上で,弁護士の就職問題に触れた毎日新聞の記事が話題になっています。
<参 照>
『就職難(毎日新聞)』(Schulze BLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52013303.html
奇妙な弁護士「就職難」記事(元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記)
http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-665.html#cm
弁護士過剰の弊害はもっと実態的に語られるべきだと思う。(弁護士のため息)
http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-8ba1.html
問題となった毎日新聞の記事はリンク切れ(たぶん公表期間終了)のようなので,記事の内容はシュルジー先生のブログを参照して下さい。記事に登場した「関西のベテラン弁護士」を批判する意見が多いようですが,黒猫的には,たぶんこのような背景があったのではないか,と勝手に想像しています。
(某喫茶店にて)
女性「今日はご相談の時間を取っていただき,ありがとうございます」
弁護士「まあいいよ。それで,何の相談かな?」
女性「はい,私は弁護士を志望しているんですが,もう10箇所以上の法律事務所を回っているのに,全然就職先が決まらないんです。私はどうすればいいんでしょうか・・・・・・」
(中略。詳しい事情を聞いている)
弁護士「大体事情は分かった。それで君は,弁護士として何がしたいんだ?」
女性「私は,司法試験に合格したときには,弱い人の手助けができるような仕事がしたいと思っていました。でも,どこへ行っても採用を断られて,もう仕事の内容にはこだわっていられないと分かりました。どんな仕事でもいいから,とにかく弁護士として就職したいんです・・・・・・(泣き始めてしまう)」
(どうしよう。今聞いた話だと,たぶんどこの事務所も採用しようとは思わないだろうし,私の事務所でも採用する余裕はないが,相談に乗ってしまった以上は何か言わなければ。しかし,なまじ親切にして自分を頼られても困るから,何とか突き放さないと・・・・・・。よし)
弁護士「○○君。泣いている人を助けるのが弁護士の仕事じゃないか。自分が泣いていてはだめだ!」
女性「先生・・・・・・」
弁護士「私にできることは限られているが,君はたとえばこういう点については,改善した方がいいと思うね・・・・・・」
その後,適当なアドバイスをして面談終了。
(弁護士の事務所にて)
弁護士「・・・・・・と,こんな話があったんだ」
記者「それで,その女性はその後どうなったんですか?」
弁護士「知らないよ。私のところではとても面倒見られないし,どこか拾ってくれるところがあればいいね,としか言えないね」
記者「・・・・・・それだけなんですか?」
弁護士「それだけって,いまどきあんな修習生はいくらでもいるんだよ。私も今の生活を維持して家族を養っていくのが精一杯で,とても新人を雇う余裕なんかないし,仮に一人雇うなんて言い出したら,それこそ何十人単位で修習生が押し寄せてくることになりかねない」
記者「・・・・・・」
弁護士「それでも,先輩として何かしてあげられることはないかと思っているから,できる限り修習生の相談には応じるようにしているが,それ以上のことはできない。一体,私にどうしろというんだ」
記者「先生が修習生だったころも,同じような状況だったんですか?」
弁護士「全然。修習先の先生に紹介してもらって,そんなに苦労もなく決まったよ。でも,私のときの司法試験は今よりずっと難しかった。試験が易しくなった分,合格しても就職先がないというのは,ある意味釣り合いが取れているんじゃないか」
記者「・・・・・・それでは,一体何のために司法試験の合格者を増やしたのですか?」
弁護士「知らないよ。もっと偉い人に聞いてくれ。弁護士の数ばかり増やしたところで,別に需要などありはしないんだ。彼女にも,本当は『こんなご時世で弁護士になって,一体何がしたいんだ。弁護士会に会費だけ搾り取られて路頭に迷うか,運良く就職できてもブラック事務所で死ぬほどこき使われるのがオチだぞ。君はまだ若いんだから,他の進路も考えてみたらどうだ?』と言ってやりたかったんだけどね。実際には遠回しにそう言ってみたんだけど,彼女には通じなかったね」
(毎日新聞デスクにて)
主査「○○君,『それで』以下の部分カットね」
記者「え!? それだと,記事として成立しないんですが・・・・・・」
主査「どういう風にまとめるかは君が考えなさい。今の状況で我が社が政府と学者を敵に回すのはまずいんで,私として掲載を許可できるのはここまでだ」
記者「・・・・・・わかりました」
もちろん,実際にこのような背景があったかどうか,問題のベテラン弁護士がどう思っていたかは黒猫には分かりません。でも,他の誰が相談に乗ったところで,最終的にこのような修習生の力になってあげられないのは同じことであり,おそらくはその弁護士も記者も,自分の力でやれる限りのことをやった結果,最終的にああいう奇妙な内容の記事が出来上がったのではないかと思います。
悪いのはすべて,トチ狂った『司法改革』を推し進めている政府です。
<参 照>
『就職難(毎日新聞)』(Schulze BLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52013303.html
奇妙な弁護士「就職難」記事(元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記)
http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-665.html#cm
弁護士過剰の弊害はもっと実態的に語られるべきだと思う。(弁護士のため息)
http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-8ba1.html
問題となった毎日新聞の記事はリンク切れ(たぶん公表期間終了)のようなので,記事の内容はシュルジー先生のブログを参照して下さい。記事に登場した「関西のベテラン弁護士」を批判する意見が多いようですが,黒猫的には,たぶんこのような背景があったのではないか,と勝手に想像しています。
(某喫茶店にて)
女性「今日はご相談の時間を取っていただき,ありがとうございます」
弁護士「まあいいよ。それで,何の相談かな?」
女性「はい,私は弁護士を志望しているんですが,もう10箇所以上の法律事務所を回っているのに,全然就職先が決まらないんです。私はどうすればいいんでしょうか・・・・・・」
(中略。詳しい事情を聞いている)
弁護士「大体事情は分かった。それで君は,弁護士として何がしたいんだ?」
女性「私は,司法試験に合格したときには,弱い人の手助けができるような仕事がしたいと思っていました。でも,どこへ行っても採用を断られて,もう仕事の内容にはこだわっていられないと分かりました。どんな仕事でもいいから,とにかく弁護士として就職したいんです・・・・・・(泣き始めてしまう)」
(どうしよう。今聞いた話だと,たぶんどこの事務所も採用しようとは思わないだろうし,私の事務所でも採用する余裕はないが,相談に乗ってしまった以上は何か言わなければ。しかし,なまじ親切にして自分を頼られても困るから,何とか突き放さないと・・・・・・。よし)
弁護士「○○君。泣いている人を助けるのが弁護士の仕事じゃないか。自分が泣いていてはだめだ!」
女性「先生・・・・・・」
弁護士「私にできることは限られているが,君はたとえばこういう点については,改善した方がいいと思うね・・・・・・」
その後,適当なアドバイスをして面談終了。
(弁護士の事務所にて)
弁護士「・・・・・・と,こんな話があったんだ」
記者「それで,その女性はその後どうなったんですか?」
弁護士「知らないよ。私のところではとても面倒見られないし,どこか拾ってくれるところがあればいいね,としか言えないね」
記者「・・・・・・それだけなんですか?」
弁護士「それだけって,いまどきあんな修習生はいくらでもいるんだよ。私も今の生活を維持して家族を養っていくのが精一杯で,とても新人を雇う余裕なんかないし,仮に一人雇うなんて言い出したら,それこそ何十人単位で修習生が押し寄せてくることになりかねない」
記者「・・・・・・」
弁護士「それでも,先輩として何かしてあげられることはないかと思っているから,できる限り修習生の相談には応じるようにしているが,それ以上のことはできない。一体,私にどうしろというんだ」
記者「先生が修習生だったころも,同じような状況だったんですか?」
弁護士「全然。修習先の先生に紹介してもらって,そんなに苦労もなく決まったよ。でも,私のときの司法試験は今よりずっと難しかった。試験が易しくなった分,合格しても就職先がないというのは,ある意味釣り合いが取れているんじゃないか」
記者「・・・・・・それでは,一体何のために司法試験の合格者を増やしたのですか?」
弁護士「知らないよ。もっと偉い人に聞いてくれ。弁護士の数ばかり増やしたところで,別に需要などありはしないんだ。彼女にも,本当は『こんなご時世で弁護士になって,一体何がしたいんだ。弁護士会に会費だけ搾り取られて路頭に迷うか,運良く就職できてもブラック事務所で死ぬほどこき使われるのがオチだぞ。君はまだ若いんだから,他の進路も考えてみたらどうだ?』と言ってやりたかったんだけどね。実際には遠回しにそう言ってみたんだけど,彼女には通じなかったね」
(毎日新聞デスクにて)
主査「○○君,『それで』以下の部分カットね」
記者「え!? それだと,記事として成立しないんですが・・・・・・」
主査「どういう風にまとめるかは君が考えなさい。今の状況で我が社が政府と学者を敵に回すのはまずいんで,私として掲載を許可できるのはここまでだ」
記者「・・・・・・わかりました」
もちろん,実際にこのような背景があったかどうか,問題のベテラン弁護士がどう思っていたかは黒猫には分かりません。でも,他の誰が相談に乗ったところで,最終的にこのような修習生の力になってあげられないのは同じことであり,おそらくはその弁護士も記者も,自分の力でやれる限りのことをやった結果,最終的にああいう奇妙な内容の記事が出来上がったのではないかと思います。
悪いのはすべて,トチ狂った『司法改革』を推し進めている政府です。
確かに頼られても困るし、個人ができることと言ったら、彼女の今後の幸せを「祈る」ことくらいか。まさに成仏理論。
こうならないためにも、法科大学院進学のリスクを伝えないとね。
黒猫センセが一番的を射てるように思いますね。
ただ、たかが10件断られただけで泣いたとか、一般の
就活生からみたら「やはり甘い」と捉えられるんじゃないかな。
・そんな数では業界研究がしっかりできるはずがない
・そんな数では志望動機をしっかり練れるはずがない
みたいな批判がありますよね
結局数を何社とか書いたところで叩かれるのは同じなんだなあと思いますよ
結局,この部分が現実を一番的確に捉えているのかと。
ただ,このような展開は,司法試験が簡単になった反作用として生じることは,普通に考えればわかると思うんですが・・・。
もっとも,仮に,50事務所~100事務所,ひいては,200事務所に就職活動をして,運良くどこぞに就職できたとしても,いつまでもそこでイソ弁している訳にも行かないし,事務所が無くなってしまうかもしれないし,等で,昔のサラリーマンみたいに会社(事務所)にしがみついていれば何とか安泰なんて幻想も存在しないんですけどね。
これも,普通に考えれば分かることなんですが・・・。
久々に院長が吠えています。
どうやら無事のようです。
甲南大法科大学院の責務は3つある。第1。予備試験に合格する基礎力を培う土台をカリキュラムで提供すること。第2。予備試験合格の翌年に試験にチャレンジし合格を果たす,『予備試験初回合格・初回受験・初回合格』。これを支える質の高い教育を提供すること。第3。ロースクール制度廃止に向けた情報提供と支援をすること。
さて,21世紀の日本の経済社会の発展にとって質の高い法曹は不可欠であるだけに,全国的に法曹を目指す層が薄くなり,法科大学院を志す層も激減していることは残念に思う。が,昨年司法修習を終えた本学修了生の中には,ロースクール制度廃止、給費制を主張するために活躍するものもおり、甲南ローヤーとして社会的責任を果たしており、大変喜ばしいことである。