最近,弁護士業界で弁護士による「やらせ」事件が話題になっています。
<参 照>
日テレ「スッキリ!!」“偽被害者”仕込んだ弁護士の正体(日刊ゲンダイ)
http://news.livedoor.com/article/detail/7876111/
出会い系サイトやらせ事件から、法律事務所HPのあり方とその評価について感じたこと(福岡の家電弁護士なにわ電気商会)
http://ameblo.jp/mukoyan-harrier-law/entry-11575920612.html
各種報道によると,日本テレビが放送している朝の情報番組「スッキリ!!」において,2012年2月29日と2013年6月1日に詐欺被害の特集が組まれたところ,被害者として出演した男女2名は,この番組に時折出演している奥野剛弁護士の知り合いであり,同弁護士の依頼により,実際には詐欺の被害に遭っていないにもかかわらず,被害者として日本テレビの取材に応じたことが発覚した,ということのようです。
さらに,奥野弁護士が代表弁護士を務める事務所(法律事務所アスティア)は,詐欺事件専門の法律事務所を標榜してインターネット上で大規模な広告宣伝をしており,いわば詐欺事件を専門にしている弁護士が詐欺を働いたということで,奥野弁護士や事務所へも影響が波及する事態になっているようです。
上記のような行為については,関与したテレビ局も弁護士も許し難いと思うところではありますが,HARRIER先生のように,司法改革に伴い弁護士の業務広告は解禁されているのだからHPを出すこと自体は悪いことではない,「仮に当該HPに,誇大であるとか虚偽であるとか,顧客側の判断に錯誤を生ぜしめるような問題なり,広告規定上の問題があるのであれば,具体的に,その箇所を指摘するべきであろう」などと言われる方もいます。
そのため,話の前提として,アスティアの業務広告にどのような具体的問題点があるかを検証してみることにします。
<参照:法律事務所アスティアのHP>
http://pr-shigyo.com/astia/?id=xuidx3ffbcefc0bxac0
http://h-astia.com/lawyer.html
1 「業界最大級の相談実績」を標榜する点
法律事務所アスティアは,詐欺事件に関する相談実績が堂々の5,557件とし,うち出会い系詐欺被害事件が3,863件,ギャンブル系詐欺被害が498件,その他の詐欺被害が676件という数字を掲げています。
もっとも,この事務所が設立されたのは2012年9月ということですから,この数字が真実であれば1年足らずでこれだけの相談をこなしたということになります。通常の弁護士であれば,手持ちの民事事件が30件くらいでも結構忙しいですし,詐欺被害事件の解決はそう簡単に短期間で終わるものではありませんから,仮に登録4年目の奥野弁護士が登録以来ひたすら詐欺事件の救済に取り組み続けており,独立以前の処理件数を数字に入れたとしても,さすがに詐欺事件の処理件数5000件以上というのはあり得ない数字です。
もっとも,広告で表示されているのは「事件処理件数」ではなく「相談件数」であり,この事務所では電子メールによる無料法律相談を受け付けていること,代表の奥野弁護士はテレビ番組に多数出演しそれを売りにしていることから,メールの相談が来た件数=相談件数と考えるのであれば,絶対にあり得ない数字とまでは言い切れません。
それでも,1日10数件ペースで新たな相談を受け付けている計算になりますから,弁護士2名の事務所としては凄まじい数字です。また,単にメールで相談を受け付けた回数を事務所の実績として大々的に表示するのは,事件処理実績と誤認混同されるおそれがあり,法律事務所の広告としては不適切であると考えられます。
2 報酬及び費用に関する点
法律事務所アスティアは,弁護士費用について成功報酬制を採用しており,回収金額50万円以下の場合は回収金額の42%,50万円を超え150万円以下の場合は回収金額の35%,150万円を超えた場合は回収金額の30%,着手金は被害金額が15万円を超える場合には0円と表示しています。
被害金額が高額となる場合,成功報酬がぼったくりみたいな金額になりそうですが,弁護士費用は自由化されているのだから問題ないと言われれば,それ自体は問題ないのかも知れません。ただし,過払金返還請求事件でぼったくりをする弁護士被害事件が続出し,急遽規制が設けられることになった経緯を忘れてはいけないと思います。
また,詐欺事件の処理方針として,交渉で決着が付かない場合は訴訟や口座凍結(預金口座の仮差押のことか?)もやるといったことも書かれていますが,訴訟の実費や仮差押の保証金はどうしているのでしょうか。逃げ回る詐欺師相手では法的措置も空振りになってしまうことが結構多く,実費等を弁護士の自腹で訴訟や仮差押をかけるというのは,通常考えられません。訴訟等になった場合の費用負担について明示しないというのは,法律事務所の広告としてはかなり問題があると言えるでしょう。
3 事件処理の方針及び実績に関する点
法律事務所アスティアは,返金成功率72.44%という実績を売りにしていますが,よく読むと,「これは被害額に対しての回収割合ではなく,成功とは,被害額に対して金額を問わず返金された場合を指します」と書かれています。この定義による場合,極端なことを言えば,被害額4000万円に対し返金額1000円でも「成功」にカウントされることになります。
それ以前の問題として,そもそもアスティアは2012年9月に開設されたはずなのに,アスティアの実績として「2009年から2012年9月まで」とされている点も論理的におかしいのですが,仮にその点は措くとしても,「成功」概念をこのように捉えている法律事務所に詐欺事件の処理を依頼した場合,例えば4000万円の被害事件について申し訳程度に10万円くらいの示談金を支払わせ,残りは債権債務不存在ということで和解を成立させてしまうこともあり得るわけです。
その後,依頼者がこのような事件処理はおかしいのではないかと疑問を抱いたとしても,債権債務不存在の和解契約をしているのでそれ以上の被害金を取り戻すことは法的に困難,アスティアでは個人情報保護を名目に解決済み事件の記録・データは全て破棄しているので証拠も残らない,それならば詐欺業者側にもメリットがあるので名目的金額での和解に応じている,という商売が成り立っている可能性も否定はできません。
断言はできないものの,HPを見る限り最近よくあるブラック事務所の疑いがあるので手を出すなと言いたくなる事務所ですが,問題はこういう事務所の弁護士を,大手マスコミまでが安易に信用して情報番組に起用していることです。
日本テレビは,ヤラセ報道の経緯について「調査中」としか回答していないようですが,奥野弁護士の実績についてよく調べもしないまま起用していたのであればそれ自体も問題ですし,どこかの非弁が奥野弁護士を担ぎ出し,日本テレビの関係者と結託して奥野弁護士を「詐欺問題の専門家」としてテレビ出演させ,かつてのライブドア事件のようにマスコミが虚構の名声を作り上げていた可能性を考えると,想像するだけで身震いがしてきます。
この問題に関し,HARRIER先生は「ゆめゆめ、上記の「やらせ」事件と、HPの問題は、混同されてはならない」というお立場のようですが,黒猫としてはむしろ,これらは一体の問題として捉えるべきだと思います。
詐欺事件の被害者が弁護士による二次被害に遭い,それにマスコミも荷担している可能性があるとしたら,それこそ法科大学院の問題も含め,「法曹≒詐欺師」とみなされる時代が到来してしまいます。いわば弁護士という職業自体が存続の危機にあるといっても過言ではなく,弁護士の社会的信用を維持したいのであれば,この種の問題はうやむやにせず徹底的に調査すべきであるように思います。
日本の弁護士制度は,明治時代にその前身である代言人制度が設けられたとき,質が確保されておらず「三百代言」などと大変な悪評を買い,その後の制度改革でいくらか持ち直したところ,大正の終わり頃から弁護士激増政策が採られて弁護士の貧困と悪行が社会問題化し,戦前の弁護士は正業とはみなされない存在になり果てていました。戦後にはGHQのてこ入れで再度の改革が行われ,弁護士の社会的地位も徐々に持ち直して行った,という歴史があります。そして,司法改革で弁護士激増政策が採られた結果再び弁護士の貧困と悪行が社会問題化しており,必死で弁護士の社会的信頼と品位の向上を図ってきたこれまでの努力は台無しになりつつあります。
明治時代初期を「第一次三百代言時代」,戦前を「第二次三百代言時代」とすれば,今はまさに「第三次三百代言時代」が到来している,と言えるでしょう。しかもその被害は,マスコミまで巻き込みかつてない勢いで社会に拡大する可能性があります。
法曹養成制度に関し,政府自民党は基本的に現状放置という考え方のようですが,これ以上現状を放置したら,小林正啓弁護士のフィクション記事『亡国の司法改革』が,フィクションではなく本当のことになってしまうかも知れません(既に半分くらいは本当のことになってしまっていますが)。
<参 照>
日テレ「スッキリ!!」“偽被害者”仕込んだ弁護士の正体(日刊ゲンダイ)
http://news.livedoor.com/article/detail/7876111/
出会い系サイトやらせ事件から、法律事務所HPのあり方とその評価について感じたこと(福岡の家電弁護士なにわ電気商会)
http://ameblo.jp/mukoyan-harrier-law/entry-11575920612.html
各種報道によると,日本テレビが放送している朝の情報番組「スッキリ!!」において,2012年2月29日と2013年6月1日に詐欺被害の特集が組まれたところ,被害者として出演した男女2名は,この番組に時折出演している奥野剛弁護士の知り合いであり,同弁護士の依頼により,実際には詐欺の被害に遭っていないにもかかわらず,被害者として日本テレビの取材に応じたことが発覚した,ということのようです。
さらに,奥野弁護士が代表弁護士を務める事務所(法律事務所アスティア)は,詐欺事件専門の法律事務所を標榜してインターネット上で大規模な広告宣伝をしており,いわば詐欺事件を専門にしている弁護士が詐欺を働いたということで,奥野弁護士や事務所へも影響が波及する事態になっているようです。
上記のような行為については,関与したテレビ局も弁護士も許し難いと思うところではありますが,HARRIER先生のように,司法改革に伴い弁護士の業務広告は解禁されているのだからHPを出すこと自体は悪いことではない,「仮に当該HPに,誇大であるとか虚偽であるとか,顧客側の判断に錯誤を生ぜしめるような問題なり,広告規定上の問題があるのであれば,具体的に,その箇所を指摘するべきであろう」などと言われる方もいます。
そのため,話の前提として,アスティアの業務広告にどのような具体的問題点があるかを検証してみることにします。
<参照:法律事務所アスティアのHP>
http://pr-shigyo.com/astia/?id=xuidx3ffbcefc0bxac0
http://h-astia.com/lawyer.html
1 「業界最大級の相談実績」を標榜する点
法律事務所アスティアは,詐欺事件に関する相談実績が堂々の5,557件とし,うち出会い系詐欺被害事件が3,863件,ギャンブル系詐欺被害が498件,その他の詐欺被害が676件という数字を掲げています。
もっとも,この事務所が設立されたのは2012年9月ということですから,この数字が真実であれば1年足らずでこれだけの相談をこなしたということになります。通常の弁護士であれば,手持ちの民事事件が30件くらいでも結構忙しいですし,詐欺被害事件の解決はそう簡単に短期間で終わるものではありませんから,仮に登録4年目の奥野弁護士が登録以来ひたすら詐欺事件の救済に取り組み続けており,独立以前の処理件数を数字に入れたとしても,さすがに詐欺事件の処理件数5000件以上というのはあり得ない数字です。
もっとも,広告で表示されているのは「事件処理件数」ではなく「相談件数」であり,この事務所では電子メールによる無料法律相談を受け付けていること,代表の奥野弁護士はテレビ番組に多数出演しそれを売りにしていることから,メールの相談が来た件数=相談件数と考えるのであれば,絶対にあり得ない数字とまでは言い切れません。
それでも,1日10数件ペースで新たな相談を受け付けている計算になりますから,弁護士2名の事務所としては凄まじい数字です。また,単にメールで相談を受け付けた回数を事務所の実績として大々的に表示するのは,事件処理実績と誤認混同されるおそれがあり,法律事務所の広告としては不適切であると考えられます。
2 報酬及び費用に関する点
法律事務所アスティアは,弁護士費用について成功報酬制を採用しており,回収金額50万円以下の場合は回収金額の42%,50万円を超え150万円以下の場合は回収金額の35%,150万円を超えた場合は回収金額の30%,着手金は被害金額が15万円を超える場合には0円と表示しています。
被害金額が高額となる場合,成功報酬がぼったくりみたいな金額になりそうですが,弁護士費用は自由化されているのだから問題ないと言われれば,それ自体は問題ないのかも知れません。ただし,過払金返還請求事件でぼったくりをする弁護士被害事件が続出し,急遽規制が設けられることになった経緯を忘れてはいけないと思います。
また,詐欺事件の処理方針として,交渉で決着が付かない場合は訴訟や口座凍結(預金口座の仮差押のことか?)もやるといったことも書かれていますが,訴訟の実費や仮差押の保証金はどうしているのでしょうか。逃げ回る詐欺師相手では法的措置も空振りになってしまうことが結構多く,実費等を弁護士の自腹で訴訟や仮差押をかけるというのは,通常考えられません。訴訟等になった場合の費用負担について明示しないというのは,法律事務所の広告としてはかなり問題があると言えるでしょう。
3 事件処理の方針及び実績に関する点
法律事務所アスティアは,返金成功率72.44%という実績を売りにしていますが,よく読むと,「これは被害額に対しての回収割合ではなく,成功とは,被害額に対して金額を問わず返金された場合を指します」と書かれています。この定義による場合,極端なことを言えば,被害額4000万円に対し返金額1000円でも「成功」にカウントされることになります。
それ以前の問題として,そもそもアスティアは2012年9月に開設されたはずなのに,アスティアの実績として「2009年から2012年9月まで」とされている点も論理的におかしいのですが,仮にその点は措くとしても,「成功」概念をこのように捉えている法律事務所に詐欺事件の処理を依頼した場合,例えば4000万円の被害事件について申し訳程度に10万円くらいの示談金を支払わせ,残りは債権債務不存在ということで和解を成立させてしまうこともあり得るわけです。
その後,依頼者がこのような事件処理はおかしいのではないかと疑問を抱いたとしても,債権債務不存在の和解契約をしているのでそれ以上の被害金を取り戻すことは法的に困難,アスティアでは個人情報保護を名目に解決済み事件の記録・データは全て破棄しているので証拠も残らない,それならば詐欺業者側にもメリットがあるので名目的金額での和解に応じている,という商売が成り立っている可能性も否定はできません。
断言はできないものの,HPを見る限り最近よくあるブラック事務所の疑いがあるので手を出すなと言いたくなる事務所ですが,問題はこういう事務所の弁護士を,大手マスコミまでが安易に信用して情報番組に起用していることです。
日本テレビは,ヤラセ報道の経緯について「調査中」としか回答していないようですが,奥野弁護士の実績についてよく調べもしないまま起用していたのであればそれ自体も問題ですし,どこかの非弁が奥野弁護士を担ぎ出し,日本テレビの関係者と結託して奥野弁護士を「詐欺問題の専門家」としてテレビ出演させ,かつてのライブドア事件のようにマスコミが虚構の名声を作り上げていた可能性を考えると,想像するだけで身震いがしてきます。
この問題に関し,HARRIER先生は「ゆめゆめ、上記の「やらせ」事件と、HPの問題は、混同されてはならない」というお立場のようですが,黒猫としてはむしろ,これらは一体の問題として捉えるべきだと思います。
詐欺事件の被害者が弁護士による二次被害に遭い,それにマスコミも荷担している可能性があるとしたら,それこそ法科大学院の問題も含め,「法曹≒詐欺師」とみなされる時代が到来してしまいます。いわば弁護士という職業自体が存続の危機にあるといっても過言ではなく,弁護士の社会的信用を維持したいのであれば,この種の問題はうやむやにせず徹底的に調査すべきであるように思います。
日本の弁護士制度は,明治時代にその前身である代言人制度が設けられたとき,質が確保されておらず「三百代言」などと大変な悪評を買い,その後の制度改革でいくらか持ち直したところ,大正の終わり頃から弁護士激増政策が採られて弁護士の貧困と悪行が社会問題化し,戦前の弁護士は正業とはみなされない存在になり果てていました。戦後にはGHQのてこ入れで再度の改革が行われ,弁護士の社会的地位も徐々に持ち直して行った,という歴史があります。そして,司法改革で弁護士激増政策が採られた結果再び弁護士の貧困と悪行が社会問題化しており,必死で弁護士の社会的信頼と品位の向上を図ってきたこれまでの努力は台無しになりつつあります。
明治時代初期を「第一次三百代言時代」,戦前を「第二次三百代言時代」とすれば,今はまさに「第三次三百代言時代」が到来している,と言えるでしょう。しかもその被害は,マスコミまで巻き込みかつてない勢いで社会に拡大する可能性があります。
法曹養成制度に関し,政府自民党は基本的に現状放置という考え方のようですが,これ以上現状を放置したら,小林正啓弁護士のフィクション記事『亡国の司法改革』が,フィクションではなく本当のことになってしまうかも知れません(既に半分くらいは本当のことになってしまっていますが)。
でも、法科大学院の教授にもがっかりしましたし、この世の中、確かなものなど何ひとつない、と思います。
早大法科大学院卒、新司法試験合格で2010年登録とのことです
googleで「唐澤貴洋」と検索すると、「無能」とサジェストが出る有り様
詳しくは以下のとおり
http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%94%90%E6%BE%A4%E8%B2%B4%E6%B4%8B
こういう低質な弁護士が出てきたのも、司法制度改革のお陰ですね
スーパーフリー関係者の一覧に名前が出てくる。
今回の●●●弁護士と同一人物なのだろうか?
ちなみにどっちも「同志社」。