黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

法科大学院を訴えてみませんか?

2013-05-17 00:50:41 | 法科大学院関係
 以前にも紹介したことがある,アメリカの『THIRD TIER REALITY』(三流の現実)というブログで,ロースクールに損害賠償を求めた訴訟に関する記事が載っています。
<参照>5月12日付け「Judge Allows Lawsuit Against Fourth Tier Widener University School of Law to Move Forward」
http://www.thirdtierreality.blogspot.jp/2013/05/judge-allows-lawsuit-against-fourth.html

 この記事によると,アメリカで提起されたロースクールに対する損害賠償請求訴訟のうち,大半は陪審による審理に入る前の整理手続で却下されたものの,ワイドナー大学ロースクールに対する訴えは却下されず,陪審による審理が行われることになったようです。
 記事のコメントでは原告の冒頭陳述も引用されていますが,これによると同校は卒業生の就職率を92%と公表していたところ,これは法律とは無関係の職に就いた人も含まれており,実際に法律関係の職に就いた人はわずか51%に過ぎない,ロースクールは疑うことを知らない学生に対し,卒業生の92%が弁護士の仕事に就けるものと誤信させて,ロースクールの教育を受けるために20万ドルものお金を使わせた,というのが主張の根幹のようです。
 ナンド氏の記事は,訴訟の争点となっている数字を解説したものではなく,同校に対する最新(2012年度)の雇用統計とこれに関するインチキについて解説したものですが,これによると2012年度同校法務博士クラス卒業生について,就職者と修士課程進学者の合計は卒業後9ヶ月時点で92%と公表されているところ,これにはパートタイム職に就いた者,法律と無関係な職に就いた者も含まれており,さらに進路不明者や仕事を求めていない者を母数から外しているなど,みかけの数字を上げるための様々な工作が行われているようです。
 同校側が引用しているものとは別の,USニュース&ワールドレポート(米国ロースクールの格付け機関)が公表している数値によると,同校卒業者の就職率はわずか18.1%に過ぎず,凄まじいまでの数字の粉飾が行われていることが想像されます。陪審による審理が認められたということは,ロースクールの法的責任が認められる可能性も現実的なものになったと考えてよいと思います。なお,末尾には上記記事全文の仮訳を付けてありますので,興味のある方はそちらもご参照下さい。

 日本では,司法修習の給費制廃止を違憲と主張する国家賠償請求が提訴延期になり,具体的な提訴時期は不明となっている一方,法科大学院に対し虚偽広告等を理由とする訴えを提起する動きはまだ見られません。しかし,日本の法科大学院についても,司法試験の合格実績や就職実績に関し,伝え聞くところでは虚偽または相当に誇大な宣伝が行われているように思われます。
 黒猫は法科大学院関係者ではないため原告適格はなく,各法科大学院が学生に対しどのような誇大広告を行っているかについても,伝聞情報でしか知ることが出来ません。アメリカのようなクラス・アクション制度もないので,法科大学院に対し損害賠償請求の訴えを起こすには,法科大学院生またはその修了生自身が立ち上がるしかないわけですが,訴訟提起に興味のある人は,自分が在学している(あるいは卒業した)法科大学院について,次のような事項を検討してみましょう。

1 法科大学院の入学前に,以下のような広告や説明を受けていないか?
・法科大学院制度について,著しく事実と異なる説明(修了者の7~8割が司法試験に合格できるなど)を受けた
・司法試験の合格実績または卒業者の就職実績について,明らかに事実と異なる説明を受け,または著しい誤解を招くような説明(修了者の大半が法曹関係の職に就いているなど)を受けた
・実際にはなかなか受けることのできない奨学金制度を誇大に広告し,経済的負担は生じないかのような誤った説明を受けた
 以上に限定されるわけではありませんが,あまりにも現実と大きく異なった説明を受け,かつそのような説明を受けたことの立証も可能であるならば,法科大学院に対し詐欺または不法行為を理由とする損害賠償請求を行う余地があります。

2 法科大学院の授業について,次のようなものはなかったか?
・法律基本科目について,司法試験の出題範囲や法科大学院協会のコア・カリキュラムを全く無視した講義や演習が行われている
・その内容に照らし,司法試験にも実務にも無意味であることが一見して明らかな講義等が行われている
・そもそも意味の分からないような講義や演習が行われている
 さすがに,このような科目が1~2科目あったくらいでは訴えを起こすのは無理ですが,明らかに役に立たないような科目が必修科目の過半数に達するなど,『法曹養成の中核的機関』として最低限の教育すらも行われていないと認められる場合には,錯誤または債務不履行を原因とする授業料返還請求を行う余地もないわけではありません。

 もちろん,このような集団訴訟を提起するのは容易なことではなく,訴えを提起したからといって簡単に勝てるものではありませんが,国民の税金を無駄遣いし,日本の司法制度を崩壊に追い込む法科大学院制度を早期に壊滅させるには,黒猫としてもできることはやっていきたいと考えています。
 そこで,9605-sak@mail.goo.ne.jpのアドレスにて,試行的に法科大学院に関する苦情相談を受け付けることにします。相談は無料です。法科大学院に対する訴訟をお考えの方,訴訟までは考えていないが自分の通っていた法科大学院の非道さを世間に訴えたいなどという方は,気軽にご相談下さい。
 ご相談に対する回答には数日かかることがあります。また,法科大学院に関係ない内容のメールや,上記の法科大学院に関する苦情相談という趣旨から大幅に逸脱した内容のメールについては,基本的に回答しません。


<参考:記事全文の仮訳>
2013年5月12日(日曜日)
裁判所が,四流ワイドナー大学ロースクールに対する訴訟の前進を認める
もう一つの事件が退けようとする動きに耐える:
 2013年4月27日,ニュース・ジャーナルのニコール・ドボ記者は,「ワイドナー・ロースクールの卒業生は詐欺に泣いている」と題する記事を公開した。以下の抜粋をご覧頂こう。
 全国にある法曹養成課程のうち数十箇所では,学校の水増し統計に惑わされたと主張する卒業生から訴えを提起されている。訴訟の多くは却下された。イリノイ州デポール大学とニューヨーク州ブルックリン・ロースクールを含むいくつかのロースクールに対する訴えは,早い段階で裁判官によって却下された。カリフォルニア州の裁判所に提起されたいくつかの訴訟は,まだ審理中である。
 ワイドナーの事件は,裁判官による整理手続を生き延びたものの一つである。3月下旬,連邦地裁ウィリアム・H・ウォールス判事は,ワイドナー事件について訴え却下の申立てを斥けており,原告の主張が陪審手続または事実審理手続を行うに値するものであると判断したことを示唆している。
 ところで,今何か食べたり飲んだりしていないことを確認してくれ。飲食中に次の二つの段落を読めば,窒息してしまう可能性があるからだ。もちろん,ロースクールの豚どもについてはこの限りでないが。
「声明では,ワイドナー大学はその卒業生を就職させる力を擁護しており,それは公開されている雇用統計に裏付けられている。」
「我々の学生は,国内の継続的な経済不況にもかかわらず,一貫して就職市場で競争力があることが証明されている,と大学側は声明で述べている。」

四流ワイドナーの最新就職統計:
 俺は,かつての学生がこうした統計の数字どおりに就職していなかったことを認識している。しかし,ロースクールの便器どもは,伝えられるところではその就職統計に依拠している。このゴミ穴は,二つのキャンパスを持っていることに留意してくれ。
 ハリスバーグ・キャンパスでは,2012年のクラスで122人の卒業生を出しているが,そうした法務博士のうち14人の就職先は不明だ。学生のうち91人が卒業から9ヶ月以内に就職しており,就職率は84.3%,つまり108分の91だ。
 デラウェアのタブをクリックすると,2012年には269人の絶望の魂がこのキャンパスを卒業していることが分かる。そのうち16人は雇用状況を申告しなかった。この雇用報告によると,216人の卒業生はこの四流学位を受けてから9ヶ月以内に仕事を見つけた。就職率は85.4%,つまり253分の216だ。
 次の点に注意して,複合タブに入ってくれ。
「調査回答に基づくと,2012年クラスの卒業生は92%が就職または高度な学位課程に進学している。この数字はフルタイムとパートタイム,法律関連職種とそうでない職種を含んでいるだけでなく,卒業から9ヶ月以内に高度な学位課程に進学した者も含んでいる。」
 計算方法:(就職者+進学者)/(全卒業生)-(不明+仕事を求めていない者)
 もし,ABA公認の糞の山(ロースクールのこと)が,(就職者)/(全卒業生)-(不明者)という式による数値に基づいた場合,複合「配置」率は85.04%,つまり361分の307になっただろう。結局,高度な学位を求める4人の卒業生は採用されていない。実際,彼らは追加の学費債務を負っている上に,仕事をしていない可能性が非常に高い。さらに言えば,収入のある仕事を見つけていない人たち-現在はそのように見えないが-は,まだ失業者なのだ! ロースクールのゴキブリどもは,光を避けようとしているそれらが隅に覆い被せられていても,そのような雇用統計に裏付けられているのが分かって嬉しいのだ。

ワイドナーの哀れな卒業者雇用率:
 四流ゴミ箱ワイドナー大学法律下水道(schoolを「下水道」の意味であるsewerに言い換え,Sewer of Lawとしている)へのハイパーリンクをクリックすると,USニュース&ワールドレポートは,次の情報を提供している。
「採用情報 
 卒業で雇用 18.1%」
(強調)
 どういうわけか(金! 金! 金!),便所(ワイドナー大学ロースクールのことである。念のため)はそのウェブサイト上でこの驚くべき数字を売り込むことはない。

ロー生の平均債務:
 USニュース&ワールドレポートは,ロースクールのために債務を負ったワイドナーの2012年法務博士クラス生の平均債務を12万3071ドルとしている。地獄だ,この糞穴の不幸な2012年クラス生の91%は,そのような救済されない債務を引き受けた。覚えとけ,この数字に学部時代の債務は含まれていない。未収利息も考慮に入れていない。

結論:
 ワイドナー「大学」法律下水道は,汚れた悪臭がする有害廃棄物の山だ。どうやら,ローの卒業生は,その法務博士が以前の仕事に戻る場合でも仕事に「配置」されている,という保険を売っているようだ(注:ロースクールの卒業生が以前の仕事に戻る場合でも就職者としてカウントできるようにしている,という意味か)。しかし,仕事を探しており高度な学位を求めているわけではないとしても,単に失業中であると思われるだけだ。
 なんという素晴らしいシステムだろう! 豚どもはそのトリックにより,2012年クラスの卒業9ヶ月後雇用率に完全な6パーセントを追加することができた。さらに,我々は皆,自分の仕事や地位を室内便器(ロースクールのこと)に申告しなかった者の多くが失業者であったことを知っている。

31 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-05-17 01:14:21
凄い!弁護士の「潜在的需要」がこんなところにあったのですね。法科大学院が相手なら何の躊躇も必要ありませんね。
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Unknown (Unknown)
2013-05-17 02:43:48
訴えるなら日弁連か東京の弁護士会です。会費が支払えなくて廃業した弁護士を集めて職業選択の自由を阻む高額な会費を諸外国並みに下げることを求めて訴訟を起こす方が効果的でしょう。
そんな状態になったら、弁護士会の執行部でも今までの法科大学院推進路線をこのまま推し進めると大変なことになると、初めて気付くことになるのではないでしょうか。

日弁連が法科大学院を擁護している限り、何も変わらないでしょう。日弁連に目を覚まさせるためには劇薬が必要です。
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Unknown (Unknown)
2013-05-17 03:14:22
あれ?黒猫さんのアドレスってsak@coral.plala.or.jpじゃありませんでしたっけ?
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Unknown (Unknown)
2013-05-17 05:30:59
おもしろいからやってほしい。
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Unknown (たま)
2013-05-17 10:11:49
黒猫先生が代理人になってくださるなら、やります!
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Unknown (Unknown)
2013-05-17 16:13:45
黒猫先生は代理人にはなってくれないとおもいますよ

そんな勇気あるようなタイプじゃないでしょう。
ブログでぐちるくらいがせいぜいです。

もしかしたら、実は受かってなかったりしてね。仕事してる人ならこんなめんどくさい記事頻繁に更新しないでしょう。
受かってたとしても仕事がないんでしょう。
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Unknown (Unknown)
2013-05-17 16:48:17
一つ上のバカこそ、何もできないくせに鬱陶しい。

代理人なら私もなります。
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Unknown (Unknown)
2013-05-17 17:44:45
中位以下の法科大学院なら、多少は勝機のある訴訟の対象になるかもしれないが、受験資格の制度変更にはつながらない。
三振法務博士なら、最高裁、法務省、文科省相手に国賠でもやって、優秀な訟務検事や判事相手に華々しく散るのが美しい。
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Unknown (Unknown)
2013-05-17 18:24:11
武士は、散り際が大事と言うことですね。

これこそ真の士(サムライ)。
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Unknown (Unknown)
2013-05-17 19:47:25
全国で弁護団を結成し、同時多発的に訴えを起こすのが効果的です。肝炎や消費者訴訟のノリで行います。
中央に軍師を置いて、理論的考察はそこで集中して行います。
そして、依頼者集めは各地域の弁護団で行います。
依頼者は、三振した人・断念した人が良いかと思います。被害が明白だからです。
もちろん合格者を原告としても構いません。
着手金は合格者15万、三振断念者2万、というイメージで良いのではないでしょうか。

債務不履行で戦うなら、第1期生が卒業したのが2006年ですから、あと3年で決着を付ける必要があります。

もし本気ならば、スキーム作りをお勧めいたします。
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