京都慕情

注意書き：「演劇少女、卓球少女の出てくる記事」はほとんどが実話ですが、時々おりがみの都合のいいように脚色してあります。ご理解のうえ、用法、用量を守ってお読みくだされ。

出勤しようとしたら、雨が振ってきました。保育園まではいつもは原付ですが久々に「あとれーまこちゃん号」出動です。カーラジオをつけたらおりがみの大大大好きな曲がかかりました。
お琴のようなイントロ、渚ゆうこの「京都慕情」です。おりがみのツボであり泣き所でありもっとも感じる(どこが？）曲のひとつです。カラオケにいったら必ずうたってます。


高校の修学旅行は京都、奈良３泊４日でした。演劇少女、卓球少女と同じグループになったおりがみです。

卓球少女の好きなラガーマンは一軍でバリバリ！というより、ちょっと前のセッキーみたいな感じの、力はあるんだけど、同じポジションにより上手がいてねえ、という大学生でした。しかも、京都在住。卓球少女はたいしたものです。ファンレターを通じて、「修学旅行で京都に行きます」とお伝えしてあったのです。
行きの新幹線で、われらはミーティングしました。演劇少女は「だめでもともと、寮に電話かけてみよう」卓球少女は「いたらどうするの？」おりがみはいいました。「あうにきまってる！」「えー、はずかしいよ。」「えんげきちゃんも、わたしも、いっしょにいくよ」「じゃあ、やる」決まりです。奈良自由行動では山之辺の道、古墳と、そうめんと天理市の街並を堪能した後近鉄電車で京都三条のホテルに戻って、いよいよテレホン大作戦です。

「いた」
「なにはなした、どうだった？」
「びっくりしてた」（そりゃそうだ）
「あした、練習休みなんだって。よかったら、わたしらに京都を案内してくれるって」
「なにいい！！！」

あうにきまってるなんていったおりがみですが、まさかこういう展開になるとは。
神様はいるもんですね。だって、その日が練習休みの日でなければ、こんなことにはならないのですから。

待ち合わせ場所に現れたＹさんはちょっと背の高いふつーの大学生さんでした。でも、顔は松崎しげる級に黒く歯はどこまでも白く、よく見れば胸板のぶあついラガーマン体型。そして喋る言葉が当然ながら「京言葉」。
ひまだからきてくれたのかなあ？、そんなにもてないのかなあ？こんなにいい男なのに？卓球少女とならんで前を歩くＹさんをみて、演劇少女とおりがみはひそひそひそ。

「三人とも、ラグビー仲間なんだって？部活はべつなのにね」
「よく関東の試合はみにいくの？」卓球少女のファンレター、ちゃんと読んでいてくださったようです。

「次はどこいく？」
自由行動とはいえ、あらかじめ提出しておいた社寺、名所をコースに組み入れなければなりません。証拠写真もとって、レポート用にメモもとって。でも、予定外の夢のようなガイドさんつき。「真面目やねー。かんしんかんしん。」「レギュラーとってくださいね」「うわ、そうきたか」「がんばってくださいよー」「はい」
お茶までご馳走してくださって、ホントにホントにいい人でした。
土産やさんでおそろいのキーホルダー買ったら、もう、集合時間です。



「関東の大学には負けたくない」そう言ってたＹさん。
関西の大学リーグ戦の小さな記事で名前が時々載るようになって、やがてご卒業、就職。有名選手とはいえないけれど、かれもＳさん、Ｉさんに負けないすてきなすてきなラガーマンです。


あの、京都の数時間は永遠の思い出。渚ゆうこのうたをきくと、Ｙさんのやさしい声がよみがえります。恐いもの知らずだった若気のいたりの日々。



愉快な友と、良い人たちに出会えたことに感謝。です。



こういうことがあったからどうのこうのという続きの無い、たわいない３０年前の女子高生のおはなしです。