記憶鮮明、文章不明

福祉は権利。平和こそ最大の福祉。保育なめんな、子どもなめんな、保育士なめんなです。

「必死のパッチ」 今年の一冊めは落語家さんの本です

2009-01-08 | 本棚(その他)
手帳探しで本屋を徘徊していたときにふと目にとまったのが

「必死のパッチ」と書かれた赤い題字の新刊本(昨年10月出版)でした。

腹巻に麒麟の田村君とイケメン俳優の小栗旬が推薦文を書いている。

「へー、セッキー(阪神タイガース№3)も本をだしたん??」・・のわけないか。


上方落語の桂雀々(かつらじゃくじゃくと読むらしい)さんのかかれた自伝エッセイですよー。(幻冬舎から出てます)

一気に、赤☆君の盗塁のように!一気によめます。すごく面白くてほろ苦笑い。





ここから内容にかかわる記述になってくるので未読の方は要注意

田村君といえば「ホームレス中学生」ですが
じゃくじゃくさんはその上を行く。

「ホームあり小学生ただし親なし」

大阪の我孫子という町。
時は1970年代。
万博の景気のよさもあまり縁のない町。
松本家の一人っ子貢一は一応塾に行ったりするレベルの生活をしていたが・・・
ある日を境に彼はとんでもない境遇へ落ちてゆく。
博打好きのオトン。
軽トラ屋台のうどん屋をまじめにやっていればそこそこの生活ができているのに。
稼ぎを博打に注いでは借金を繰り返す。
オカンはあいそつかして小学校6年になったばかりの貢一を置いて
仕事に向かう振りして出て行ってしまう。
それも
3者面談を終え、仕事に行く振りをして。


後でわかったのだが
オカンも近所に借金をこさえていて
もう切羽詰っていたという。
それもこれも
見栄っ張りなオカンの負けず嫌いがわざわいしてのこと。

気の毒がる振りして興味津々、貸した金が返ってくるのかと疑心暗鬼の近所の目。

やがてアパートのドアをプロの借金取りのおっさんたちがガンガンノックする音におびえる日々が始まって・・・。

貢一の両親
近所のおばちゃんたち
民生委員さん
学校の先生
さらに借金取りのおっさん

貢一を取り巻く大人たちの姿に私は自分を重ね合わせた。
貢一に自分を重ね合わせた。


子どもにとって家があるのと親がいるのとどっちが大事かって言えば
「砂の器」と柳楽君の「誰も知らない」とどっちがいい??みたいな究極の洗濯板ですが・・・。


家と親

どっちもあればあるにこいたことはない
と思っていたが
それも

コにとって「あればよい家いればよい親」ばかりではないのよねー

という思いを強くした本であります。一気に読めます。


さらに。

今(2009年1月現在)は「まじめにコツコツ」が報われない時代だからこそ

われら40代はそれを知る最後の世代として

「まじめにコツコツ」ができる社会を取り戻すために生きなくちゃいかんとも思ったですよ。



桂雀々さん 1960年8月9日 大阪市住之江区生まれ 桂枝雀門下

存じ上げず失礼いたしました。これからグッとチュー目させていただきます。

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4 コメント

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桂雀々氏 (giants-55)
2009-01-08 18:32:03
書き込み有難う御座いました。

桂雀々氏の御名前は存じ上げていましたが、この話は全く知りませんでした。「親が居ないよりは居た方が良い。」というのが一般的な認識ですが、“大人に成り切れていない大人”が親で在るならば、居ない方がましという事“も”在るのでしょうね。先日読んだ本「空とセイとぼくと」にも、色々考えさせられましたし。本当に我々大人の使命は、子供達が将来に夢を持てる社会に変えて行く“努力”を怠らない事だと思います。

P.S. 関西方面では古紙回収を行っていると、稀にとんでもない“御宝”が紛れ込んでいる事が在るそうです。今から10年程前だったと思いますが、手塚治虫氏の初期の本(1冊がウン万円以上の物ばかり。)がドサッと紛れ込んでいたとか。興味の無い人にとっては何でも無い物でも、人によってはとんでもない御宝に成り得る。古切手回収の際には、是非是非目を西川きよし氏の如く大きくしてチェックしてみて下さい。
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giants-55様へ (おりがみ)
2009-01-09 12:33:14
ドンだけダメ親でも「居ないほうがいい人間はいない」んですが、あまり近くにいるとつらいというのはあるでしょうね。

とはいえ、命をもらったのは親からです。
こどもにその分愛情を注いで「夢をあたえられる」ほどのことはできませんが、生きてることをサポートしたいなぁって・・思うわけです。

それにしても・・
手塚さんのジャングル大帝初版本!・・・持ってましたよ。いったいどこにいったやら?あうぅぅ・。
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じゃくじゃく~じゃくじゃく~ (りさ・ふぇるなんです)
2009-01-11 01:09:27
>我孫子
かなり地元です(^^;)
ガラはよろしくありません。

枝雀さんが師匠になられて、やっと(まともな)親代わりの人が出来たと思ったら早くに亡くなられたので「親を二度失った」とラジオで話しておられました。
枝雀さんをなくされたときの悲しみは例えようが無かったそうです。

テレビでも人気者ですが、私ら世代はラジオでお馴染みです。以後ご贔屓にお願いします。
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りさ・ふぇるなんですさんへ (おりがみ)
2009-01-11 22:11:36
千葉県にも我孫子という地名があります。
行ったことないけど、いとこが住んでるはず。

とにかく、この本読んでよかった!って思いました。
何とか彼の落語を聞いてみたいっす。
にぎわい座に来ないかなぁ・・。
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