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歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」を再び観る

2023年07月05日 | オペラ・バレエ

だいぶ前だが、テレビで放送していた2015年ザルツブルク復活祭音楽祭でのオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」を録画してあり、それをまた観たくなった。

この2つのオペラは別々の演目だが、一つ一つが1時間程度の短いオペラだから一緒に演じられることが多い。今回は指揮者にクリスティアン・ティーレマン、テノールにヨナス・カウフマンという豪華メンバーだ。場所もザルツブルグと素晴らしい舞台。

カヴァレリア・ルスティカーナ(「田舎の騎士道」といった意味:ウィキより)は、カウフマン演じる兵役帰りのトゥリッドゥが許嫁のサントゥッツァがいるにもかかわらず、元カノで人妻になっているローラと愛し合い、それを知ったサントゥッツァが翻意を促すが聞かないため、思い詰めてローラの夫に浮気をばらした結果、その夫がトゥリッドゥを刺し殺す、という悲劇。

また、道化師は旅役者のカニオが妻のネッダが浮気をしていることを知り、相手は誰だと詰め寄るがネッダから無視される、これから演じる劇でまさに同じような妻の浮気を追求する役を演じている間に劇と現実とが区別できなくなり、舞台上でネッダを刺し殺す、それに驚いた浮気相手の青年が舞台に助けに上がってくるとその青年も殺し、悲鳴を上げる観客の前で「悲劇は終わりました」と言う。

観た感想を述べよう。

  • 他のプロダクションでのこの両演目を観たことはないが、今回は、両方で男性の主役を演じるカウフマン。カヴァレリア・ルスティカーナでは自分が浮気をする本人だが、道化師では妻に浮気をされる男を演じる、全く逆の立場になるのが面白い。
  • カウフマンは歌唱力、演技力ともたいしたものだ。カヴァレリア・ルスティカーナでは、「このヤロー」と思わせるし、道化師では同情したくなるような真に迫った演技をしていた。
  • このプロダクションはなんと言っても舞台演出が素晴らしかった。フィリップ・シュテルツルという演出家は知らない人だが、舞台を6つに区分して、そこで同時並行的に劇が進行していくスタイルだ。役者が演じている場合もあるが、映像が映される場合もある。区分されているが、実際にはつながっている舞台の場合もある。とにかく観ていて飽きない。美術も照明もカラフルで好きだ。
  • 歌手ではなんと言ってもサントゥッツァ役のリュドミラ・モナスティルスカがよかった。彼女の熱演が光った。調べてみると彼女はウクライナ人だ。2020年4月にロシアのネトレプコがプーチン支持を理由にMETを降板させられた後、ネトレプコに変ってトゥーランドットを歌った歌手だ。本公演はウクライナ侵略前だが、カーテンコールでは一番大きな拍手とブラボーがあったように思えた。
  • カヴァレリア・ルスティカーナでトゥリッドゥを刺し殺すアルフィオを演じたのはアンブロージョ・マエストリだ。彼は先日観たファルスタッフでタイトル・ロールを演じていた彼だ(こちらを参照)。ファルスタッフ以外で初めて彼の演技を観たが、うまく演じていたと思う。

マスカーニ 歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》(全1幕)
サントゥッツァ:リュドミラ・モナスティルスカ(Ms)
トゥリッドゥ:ヨナス・カウフマン(T)
ルチア(トゥリッドゥの母):ステファニア・トツィスカ(A)
アルフィオ:アンブロージョ・マエストリ(Br)
ローラ(アルフィオの妻):アンナリーザ・ストロッパ(Ms)

レオンカヴァルロ 歌劇《道化師》(全2幕)
ネッダ/コロンビーナ:マリア・アグレスタ(S)
カニオ/道化師:ヨナス・カウフマン(T)
トニオ/タデオ:ディミトリ・プラタニアス(Br)
ペッペ/アルレッキーノ:タンセル・アクセイベク(T)
シルヴィオ:アレッシオ・アルドゥイーニ(Br)

ドレスデン国立歌劇場合唱団
ザルツブルク・バッハ合唱団
ザルツブルク音楽祭および劇場児童合唱団
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
指揮者:クリスティアン・ティーレマン
演出:フィリップ・シュテルツル
(2015年3月26、28日、4月6日 ザルツブルク祝祭大劇場)



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