映画「エターナルメモリー」を観た、シニア料金1,300円、小さな部屋だったが満席に近い盛況ぶりだった、観に来ているのはやはり中高年だった、2023年、85分、チリ、原題La memoria infinita(永遠の記憶)、監督マイテ・アルベルディ
本作は、アルツハイマーを患った夫アウグストと、困難に直面しながらも彼との生活を慈しみ彼を支える妻パウリナの幸せにあふれる暮らしと、ふたりの愛と癒しに満ちた日々を記録したドキュメンタリー、すなわち実話である
著名なジャーナリストである夫アウグスト・ゴンゴラ(1952年生れ)と、国民的女優でありチリで最初の文化大臣となった妻パウリナ(1969年生れ)は20年以上に渡って深い愛情で結ばれ、読書や散歩を楽しみ、日々を丁寧に生きていたが、ある時、アウグストがアルツハイマーを患い、少しずつ記憶を失い、最愛の妻パウリナとの思い出さえも消えはじめると・・・
鑑賞後の感想を書いてみたい
- 夫がアルツハイマーになってからも妻のパウリナは働き続け、彼女の職場に夫を同伴することもあった、それは彼女の仕事の効率を落とすことになるが、それを問題だと思ったり、夫を恥じたりしなかったのは立派だと思った
- 夫のアウグストは、ジャーナリストだった。独裁政権時代、主要メディアが事実を報じなかった時に、国内の出来事を内密で扱うニュース報道「テレアナリシス」の一員として、重要な役割を果たし、仲間のジャーナリストと街に出て、起きていることすべてを記録しながら、人々にインタビューし、テープを配布したりした、都合の悪い事実を見て見ぬふりをする日本のジャーナリストは見習うべきでしょう
- 妻のパウリナは、演劇、映画、テレビで活躍した女優として有名で、彼女の名前はよく知られており、政治活動でも認知されている女性とのこと。チリの文化省が設立されたとき、最初の大臣になったそうだが、夫婦そろってすごい人たちだと思った
- 配偶者がアルツハイマーになったら、実際の生活は大変で、映画では描かれてない悲惨な場面が多くあったと思う、普通は介護施設に入ってもらわないと共倒れにもなりかねないが、夫婦が大物すぎたので美しい愛情物語にしたのではないかと感じた
- 映画のパンフレットを見ると、「ドクトル・ジバゴ」、「カサブランカ」、「愛、アムール」・・・どんな名作ラブストーリーもこの真実の愛の物語には適わない、と書いてある、このうち「愛、アムール」はミヒャエル・ハネケ監督が老夫婦の奥さんの方がぼけてしまうという老々介護をテーマにした映画であり、私も観たことがある、私はハネケ監督の映画はアルツハイマーをこの映画のように美談には描いていないところが真に迫っていると思うがどうであろうか、最後があまりにも衝撃的だ、ちなみに「愛 アムール」はアマゾンプライムで検索しても出てこないが、「ピアニスト」見れるようになったようだ
高齢化社会を反映して、このような映画は今後もどんどん出てくるのではないかと思った