クモノイト

先日　友人と珈琲を啜りながら　

昔話に花を咲かせていると


幼少期に芥川の「蜘蛛の糸」を読んで以来

蜘蛛を殺せなくなったという話しで盛り上がった・・




今思えば　少々説教臭い話しではあるのだが

短編が故に　行間を膨らましやすい話しでもある



鶴の恩返しならぬ　蜘蛛の恩返しということになるが

糸をぷつりと切るのは　蜘蛛の意思ではないうえに


一人でもいつ切れるかわからない蜘蛛の糸が

後続を足蹴にしないまでも　どこまでもつかの保証はない・・




極悪人でなくとも　地獄の底から這い上がる為の希望の糸であるのだから


仏様の要求は随分酷ともとれる・・






後日　一人でマックの珈琲など啜っていると


２匹の蝿に纏わりつかれて　やたら鬱陶しい・・





振り払う手に力がこもった瞬間


ちらり脳裏をかすめるものがある








「お前もいつか助けてくれるのか・・？」










蝿を追い払う手が　ふと止まった・・・