スラップ訴訟 おぼえがき
スラップ訴訟をどう抑止していくか
「反社会的な行為」という認識を広めることが重要
東洋経済より
「提訴することによって被告を恫喝することを
目的とした訴訟」
(SLAPP=
Strategic Lawsuit
Against Public
Participation、
以下「スラップ」と表記)の問題について
スラップ訴訟とは、たとえば、
ある企業への批判記事を書いたジャーナリスト個人が、
当該の企業から名誉の毀損だとして
法外な金額を損害賠償請求されるような訴訟を言う。
SLAPPという概念を提起したデンバー大学のジョージ・プリング教授とペネロペ・キャナン教授は、次のような定義を示している。
第一に、政府・自治体などが権力を発動するよう働きかける(裁判の提訴や捜査機関への告発など)。
第二に、そうした働きかけを民事訴訟の形をとって行う。
第三に、(政府、自治体、企業ではない)個人や団体(たとえば住民団体)を被告として提訴する。
第四に、公共の利益や社会的意義にかかわる重要な問題を争点とする。
(1)刑事裁判に比べて裁判化が容易な民事訴訟である。
被告にとっては刑事告訴がより深刻だが、民事訴訟は、紙一枚を書いて裁判所に行けば起こせ、相手にコストを負わせやすいという面がある。誰にでも使える合法的恫喝であり、だからこそ危険
(2)公的問題がメディア上など、公の場所での論争になっている。
(3)訴訟の原告あるいは被告は、その公的論争の当事者である。
(4)その公的問題について公的発言をした者が標的とされ、提訴される。ここで言う「公的発言」とは、マスメディアに寄稿することだけでなく、その取材に答えること、ブログや記事を公開すること、新聞の投書欄に投書すること、意見広告を出すこと、労働組合を結成すること、チラシを配布すること、合法的なデモをすることなどが含まれる。
(5)提訴する側は、資金、組織、人材などの資源をより多く持つ、社会的に比較強者である。
(6)提訴される側は、それらの資源をより少なくしか持たない比較弱者である。
(7)提訴によって金銭的、経済的、肉体的、精神的負担を被告に負わせ、苦痛を与える。
つまり、弁護士費用、時間の消費、肉体的・精神的疲労などを被告(被害者)に負わせ、疲弊させ、反対・批判を続ける意欲や能力を失わせる。それにより、被告が公的発言を行うことを妨害する。また、被告が団体の場合には、団結を乱し、分断し、分裂させることを狙う。
(8)訴えの内容、方法などに、合理的な訴訟ならありえないような道理に合わない点がある。
(9)訴えられていない反対者・批判者も、提訴された人たちが苦しむ姿を見て、公的発言をためらうようになる。これをchilling effect(冷や水効果)という。
(10)提訴した時点で批判者・反対者に苦痛を与えるという目的は達成されるので、原告側は裁判の勝敗を重視しない。つまり、訴訟に勝つことは必ずしも目的ではない。
スラップ訴訟をどう抑止していくか
「反社会的な行為」という認識を広めることが重要
東洋経済より
「提訴することによって被告を恫喝することを
目的とした訴訟」
(SLAPP=
Strategic Lawsuit
Against Public
Participation、
以下「スラップ」と表記)の問題について
スラップ訴訟とは、たとえば、
ある企業への批判記事を書いたジャーナリスト個人が、
当該の企業から名誉の毀損だとして
法外な金額を損害賠償請求されるような訴訟を言う。
SLAPPという概念を提起したデンバー大学のジョージ・プリング教授とペネロペ・キャナン教授は、次のような定義を示している。
第一に、政府・自治体などが権力を発動するよう働きかける(裁判の提訴や捜査機関への告発など)。
第二に、そうした働きかけを民事訴訟の形をとって行う。
第三に、(政府、自治体、企業ではない)個人や団体(たとえば住民団体)を被告として提訴する。
第四に、公共の利益や社会的意義にかかわる重要な問題を争点とする。
(1)刑事裁判に比べて裁判化が容易な民事訴訟である。
被告にとっては刑事告訴がより深刻だが、民事訴訟は、紙一枚を書いて裁判所に行けば起こせ、相手にコストを負わせやすいという面がある。誰にでも使える合法的恫喝であり、だからこそ危険
(2)公的問題がメディア上など、公の場所での論争になっている。
(3)訴訟の原告あるいは被告は、その公的論争の当事者である。
(4)その公的問題について公的発言をした者が標的とされ、提訴される。ここで言う「公的発言」とは、マスメディアに寄稿することだけでなく、その取材に答えること、ブログや記事を公開すること、新聞の投書欄に投書すること、意見広告を出すこと、労働組合を結成すること、チラシを配布すること、合法的なデモをすることなどが含まれる。
(5)提訴する側は、資金、組織、人材などの資源をより多く持つ、社会的に比較強者である。
(6)提訴される側は、それらの資源をより少なくしか持たない比較弱者である。
(7)提訴によって金銭的、経済的、肉体的、精神的負担を被告に負わせ、苦痛を与える。
つまり、弁護士費用、時間の消費、肉体的・精神的疲労などを被告(被害者)に負わせ、疲弊させ、反対・批判を続ける意欲や能力を失わせる。それにより、被告が公的発言を行うことを妨害する。また、被告が団体の場合には、団結を乱し、分断し、分裂させることを狙う。
(8)訴えの内容、方法などに、合理的な訴訟ならありえないような道理に合わない点がある。
(9)訴えられていない反対者・批判者も、提訴された人たちが苦しむ姿を見て、公的発言をためらうようになる。これをchilling effect(冷や水効果)という。
(10)提訴した時点で批判者・反対者に苦痛を与えるという目的は達成されるので、原告側は裁判の勝敗を重視しない。つまり、訴訟に勝つことは必ずしも目的ではない。