蔵書目録

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「諏訪根自子ヴァイオリン独奏会」 帝国劇場 (1946.10.8-9)

2021年04月27日 | ヴァイオリニスト ハイフェッツ、小野アンナ他

    

藝術祭
  Teigeki NO.12

 藝術祭音樂會
  〔昭和21年〕10月5日10日 毎夕5時開演
 
 第一夜(十月五日・土曜日)
   安川加壽子ピアノ獨奏會
 第二夜(十月六日・日曜日)
 第三夜(十月七日・月曜日)
   山口淑子獨唱會
     ピアノ伴奏 山田和男
     指揮    山田和男
     演奏    東寶交響樂團
 第四夜(十月八日・火曜日)
 第五夜(十月九日・水曜日)
   諏訪根自子ヴァイオリン独奏会
     ピアノ伴奏 マンフレッド・グルリット
 第六夜(十月十日・木曜日)
   井口基成ピアノ獨奏會
    「ベートーヴェン名曲の夕」
     指揮    上田仁
     演奏    東寶交響樂團

 諏訪根自子ヴァイオリン獨奏會
      ピアノ伴奏 マンフレッド・グルリット
  
第一日(8日)
         - 曲  目 -
 (1)「奏鳴曲」ト調              ‥‥ ギヨオム・ルキュウ
       (イザイエに捧ぐ)
 (2)「ヴァイオリン協奏曲」第3番(ロ短調)作品61番 ‥‥ サン・サァーン
       (サラサーテに捧ぐ)
                  -休憩-
 (3)(イ)アリオーソ             ‥‥ バッハ=ルチーニ
     (ロ)狂詩曲第20番         ‥‥ パガニーニ=クライスラー
     (ハ)子守唄            ‥‥ マツクス・レガア
     (ニ)華麗なるポロネーズ1番(作品4番) ‥‥ ウイニアフスキイー
第二日(9日)
         - 曲  目 -
 (1)「奏鳴曲4番」ニ長調           ‥‥ ヘンデル
        アダヂオーアレグローラルゲットーアレグロ
 (2)シャコンヌ(無伴奏)           ‥‥ バッハ
        (パルテイタ2番より)
                  -休憩-
 (3)Ⅰ 月光(ベルガマスク組曲より)      ‥‥ ドビュッシー
    Ⅱ 熊峰の飛行            ‥‥ リムスキイ・コルサコフ
    Ⅲ アルチューズの泉         ‥‥ カロル・シマノフスキー
    Ⅳ 詩曲(作品25番)         ‥‥ ショウソン

   ・曲目解説・ 〔省略〕 

  内氣なスタアー・諏訪根自子

 昭和十一年一月、當時わが樂壇の人氣と要望を一身に背負って十六歳の天才少女ヴァイオリニスト諏訪根自子さんが、遙かヨーロッパへと勉學に旅立ってから旣に十餘年、その間のわが國は大半今次大戰の期間に費され、文化の汲収は少く、殆んど根自子さんの消息すら途絶へ勝ちであった。 
 然し幸ひ彼女は滯歐中は健在であり孜々として勉學に努め、歐洲各地に於いて音樂文化使節の意義を示し名聲を擧げてゐたのである。彼女の歐洲に於ける音樂生活の一部を掲載した「瑞西チューリッヒ」の週刊誌よりその報告を知り得ることは興味深いことである。〔下は、その一部〕

      ◇

 はるけき東京からの戰争勃発は、彼女を驚かし、故郷への歸還は絶望となつたが、一九四二年からは彼女の名は、相續く演奏旅行によつて、ドイツとオーストリアに知れ渡つた。彼友クナツペルツブツシュの指揮するベルリン・フィルハーモニー管絃樂團や、ヴァイスバッハの指揮するウインナ・フィルハーニー管絃團と共に演奏し、その曲目はブラーム、モーツアルト、ハイドン、ヘンデル、バッハ、ベートーヴェンなどの名曲を得意とする。 

  瑞西コンセルヴァトアール演奏会に於ける海外批評 〔下は、その一部〕

 -ベルリン演奏会評-

 ハンス・クナツペルツ・ブツシユの指揮の下に、ベルリン・フィルハーモニー管絃團は、シューマンの『第四ニ短調交響曲』を演奏し、獨創的な再現法を以てシューマンの音樂的靈感をあますことなく傳へた。尚ここに若き日本女性、諏訪根自子が登場し、ブラームスのヴアイオリン協奏曲を演奏したが、美しい情緒と絶大な技巧を以て、彼女の卓抜な才能を披歷した。

 この『Teigeki NO.12 芸術祭』は、裏表紙に「昭和二十一年〔一九四六年〕九月二十日發行」とある。

 なお、『諏訪根自子』の「諏訪根自子演奏会記録」によれば、八日のルクウの「奏鳴曲 ト調」は、(本邦初演)であり、さらに十一日にも独奏会が開かれた。

 十一日の曲目は
 (一)バッハの「シャコンヌ」
 (二)ウイニアウスキーの「協奏曲 第二番」
 (三)バッハの「アリオーソ」
    リムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」
    ラヴェルの「ハバネラ形式による小品」
    ショウソンの「詩曲」
 伴奏はグルリット氏であった。



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