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2月29日

日々の思いつき及び読書の感想

読書 城山三郎著『男子の本懐』(新潮文庫)

2010-03-31 22:18:20 | 読書
1930年代の世界恐慌に対するため、金解禁(金と通貨との交換を可能にすること。金本位制。)を断行した浜口雄幸首相と井上準之助大蔵大臣の話。
二人は好対照な人生を送ってきたが、お互いに信頼できる人物とみていた。浜口が首相となった際に、金解禁を行うため、井上に大蔵大臣への就任し、井上はこれを受諾し、金解禁の前提となる緊縮財政をひき、政府の財政状態をある程度好転させてから、1930年1月に金解禁という政策を断行した。
だが、緊縮財政が続くため、ある一定期間不景気が続くことから世間の受けが悪いうえに、予算を大きく削減されただけでなく、1930年4月のロンドン海軍軍縮会議で保有艦船の削減を余儀なくされた軍部にはかなりの不満が高まっていた。
そして、1930年11月に、浜口は右翼の青年に狙撃されて、一命は取り留めたものの、それがもとで、翌年8月に亡くなった。また、井上も、1932年1月に、血盟団の男に襲撃され、死亡した。
本書の解説で赤松大麓さんが「本書を読み終えた時、読者は「もし、浜口、井上が凶弾に斃れなかったならば......」という思いを禁じえないだろう」(401頁)と書いているが、全く同感である。
金解禁は、財政面から軍事費の拡張を防ぐことができたので、その後の歴史は違ったものになったのは間違いがないだろう。
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