本書は、2011年10月から連載が始まった『プロメテウスの罠』の第六部までが収められています。
第一章は、東電福島第一原発から30キロ北西の浪江町に住む菅野さんを通しての現地の状況(3月12日)、
第二章は、放射線測定の専門家木村真三さんが勤務先の労働安全衛生総合研究所(厚生労働省所管)から「くれぐれも勝手な行動はしないようお願いします」とのメールを受けたが辞職して、NHKの知り合いと現地に向かう話と放射性物質の拡散予測装置SPEEDIの予測が使われなかった経緯、
第三章は、1957年から継続されている気象庁の気象研究所による放射能測定が断絶しそうになった経緯など、
第四章は、医師肥田舜太郎さん(広島被爆者の手当に軍医として参加。本人も被爆者)を通じての内部被曝の話、
第五章は、現在のチェルノブイリ周辺の状況と放射能検査体制の整備の遅延、
最後の第六章は、首相官邸の5日間(3月11日から15日)が描かれている。
本書を読むまでは、菅首相が3月12日早朝に東電福島第一原発へ行ったことは、現場が混乱してすべきでなかったと思っていた。しかし、「総理に助言すべき組織が機能せず、当事者意識が欠如していた。組織の都合が優先され、必要な知識を持った人間が役職にいなかった」(菅首相の大学の同窓生で官邸に呼ばれた日比野さんの発言)(257ページ)状況で信頼できる情報や専門家がいなかったので、現場に行き、第一原発の吉田所長に会い、ベント(原子炉内の圧力を下げるため、内部の空気を外部に放出すること)について、吉田所長は「ベントはやります。決死隊をつくってでもやります。」との発言を聞き、菅首相は「この男とは話ができる」と、信頼できる人間を見つけることができた(241ページ)。このことは行かなくては得ることが出来なかっただから、菅首相の福島第一原発行きは良かったと考えが変わった。吉田所長のような責任感のある人間が保安院などの霞ヶ関側にいれば、福島の人たちの大量被曝は避けられたと思わずにはいられない。
記事の連載は続いているため、ある程度まとまった時点で、続編が出るそうだ。
注意点は、原発事故の報道についてはほとんどふれられていないことだ。続編では、その点に1章くらいはさいてほしい。
第一章は、東電福島第一原発から30キロ北西の浪江町に住む菅野さんを通しての現地の状況(3月12日)、
第二章は、放射線測定の専門家木村真三さんが勤務先の労働安全衛生総合研究所(厚生労働省所管)から「くれぐれも勝手な行動はしないようお願いします」とのメールを受けたが辞職して、NHKの知り合いと現地に向かう話と放射性物質の拡散予測装置SPEEDIの予測が使われなかった経緯、
第三章は、1957年から継続されている気象庁の気象研究所による放射能測定が断絶しそうになった経緯など、
第四章は、医師肥田舜太郎さん(広島被爆者の手当に軍医として参加。本人も被爆者)を通じての内部被曝の話、
第五章は、現在のチェルノブイリ周辺の状況と放射能検査体制の整備の遅延、
最後の第六章は、首相官邸の5日間(3月11日から15日)が描かれている。
本書を読むまでは、菅首相が3月12日早朝に東電福島第一原発へ行ったことは、現場が混乱してすべきでなかったと思っていた。しかし、「総理に助言すべき組織が機能せず、当事者意識が欠如していた。組織の都合が優先され、必要な知識を持った人間が役職にいなかった」(菅首相の大学の同窓生で官邸に呼ばれた日比野さんの発言)(257ページ)状況で信頼できる情報や専門家がいなかったので、現場に行き、第一原発の吉田所長に会い、ベント(原子炉内の圧力を下げるため、内部の空気を外部に放出すること)について、吉田所長は「ベントはやります。決死隊をつくってでもやります。」との発言を聞き、菅首相は「この男とは話ができる」と、信頼できる人間を見つけることができた(241ページ)。このことは行かなくては得ることが出来なかっただから、菅首相の福島第一原発行きは良かったと考えが変わった。吉田所長のような責任感のある人間が保安院などの霞ヶ関側にいれば、福島の人たちの大量被曝は避けられたと思わずにはいられない。
記事の連載は続いているため、ある程度まとまった時点で、続編が出るそうだ。
注意点は、原発事故の報道についてはほとんどふれられていないことだ。続編では、その点に1章くらいはさいてほしい。