虚構の世界~昭和42年生まれの男の思い~

昭和42年生まれの男から見た人生の様々な交差点を綴っていきます

黄昏のモノローグ~1992年あなたは何をしていましたか?~

2017-11-01 17:15:02 | 小説
*このお話はフィクションです。

 

 尾崎豊の歌う「優しい陽射し」、この曲を今も聞くと胸が切なくなる。

1992年、私は25歳になっていた。

無職、金もない、あるのはプライドだけ・・・。最低な男だった。唯一の生きがいは、彼女がいることだった。

 しかし、自堕落な男から素敵な彼女が去っていくのも時間の問題だった。



 彼女にふられた後、私は彼女との思い出の場所をあてもなく車で行く日々を送った。そして、女々しくノスタルジーに浸っていた。



 人生夢も希望もなかった。

 何のために生きているのかわからなかった。

 1992年の11月、釧路の冷たい街で冷たくなっていく自分がいた。



 夜、一人アパートで酒を飲んだ。彼女の写真を見つめながら・・・。

 情けない日々、情けない時間を過ごしていた。もう復活はできないかも・・・。



 あれから25年、人生はどうなるかわからない・・・。

あのどん底の日々があったからこそ、今の自分が存在していると言える自分がいる。

 今の自分は日々激務の中で必死に生きている。

支えることが生きがいであり、支えられていることに感謝して・・・。




 今も時々あの海、あの街を見に行く。あの歌を聴きながら・・・。




 辛い経験はいつか必ず生かされる。

しかし、時間が心の傷を癒してくれた。

黄昏のモノローグ~1993年あなたは何をしていましたか?~

2017-11-01 13:41:35 | 小説


 1993年、今から24年前、あなたは何をしていましたか?


 そのころ、私と同じぐらいの年代の人たちは、どんなことを思い出しますか?

スマホも携帯もまだなかった時代・・・。



 私は「待ち合わせ」のことを思い出します。


 一度約束したことは急には変えられない。

 だから、待ち合わせの時間に間に合うようにしっかりとその時間に合わせて調整した記憶があります。

 今は、便利になり、遅れることへの許容範囲が広がった気がします。

 しかし、待ち合わせの約束をしっかりと守ることは大切にすべきこと。




 あの頃の約束を大切にする気持ちはずっと持ち続けていたい。

黄昏のモノローグ~愚痴~

2017-11-01 10:57:10 | 小説
*このお話はフィクションです。

 部下の一人がうつ病を発症して休職し三ヶ月が経つ。

 彼の仕事を誰が担当するか、部長である私が分担した。



 今でもみんなギリギリのところで仕事をしているのに、更に業務を増やすのは忍びなかった。

 しかし、現実的に誰かにやってもらわないといけない。



「何で俺がアイツの仕事をカバーしなくちゃいけないんだ。アイツは俺たちのことを助けてくれたか。それどころか、足を引っ張ることばかりやりやがって」

「俺は部長が休んだ人の人員を補充すべきことが大切だと思うがね」


 いろいろな声が聞こえてくる。

 その中で部下の一人が黙々と業務を遂行していた。

「すまないね。畑違いの仕事をやらせてしまって」

「いえ、それより、僕会社に10年居たのに何にも知らなかったんだって気づかされましたよ」

「えっ、どういうこと?」

「会社にはこんな仕事もあるかと気づかされました」

と笑顔で言った。



 自分の畑違いの仕事から何かを学ぼうとする姿勢に感心させられた。

 愚痴を言いながら仕事をするか
 あるいはそこになにか新しい創造性をもって仕事をするか

 この意識の差は10年、20年後に表れる。

 おそらく彼はこれから出世していくことだろう。


 11月1日、晩秋の釧路の街の空が奇麗に感じられた。

パワハラ

2017-11-01 07:17:56 | 小説
*このお話はフィクションです。

 50歳を迎える私は部長として30人ほどの人たちと一緒に仕事をさせてもらっている。

 先日、違う部署で社員からパワハラの訴えが出された。

 パワハラをした部長も私と同期だ。彼のことはよく知っている。


 私も若いころ彼から叱責を受けたことがあった。

「おい、この数字のミスは何だよ。だからお前は周りからもルーズな人間だ思われるんだよ」

 このように仕事のミスから人格的な否定までされた。

 頭にきた。それ以来、彼のことは大嫌いだ。

 しかし、彼は上司に対しては手のひらを返したようにへりくだる・・・。


 店員に偉そうにする客
 会社でふんぞり返っている上司

 彼らは劣等感が強いのだ。
 だから立場上逆らえない人間に対していばることで、自尊心を保っているのだ。

 しかし、そんな生き方はいずれ破綻する。


 あと一時間もすれば社員が出勤してくる。

 自分は部下の人たちによって支えられてこの席に座っている。

 その思いを大切にして今日も仕事をする。