ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

「私はアル中なんで・・・」(否認の克服)

2017-12-01 07:15:07 | 病状
 経験が少いこともあって冠婚葬祭にはとんと疎い私ですが、告別式の後に初七日の法事も同時に済ますことが普通のようです。先日の姉の葬儀もまさにその通りで、告別式の後、親類一同で初七日の法事が執り行われました。

 法事には食事とお酒が付きものです。断酒を始めて丸4年、この間酒宴からは悉く距離を置いて来て、たとえ酒の席となっても飲まないでいる自信が付いて来ました。それでも親類一同が集う法事です。断酒歴4年の自信と言ってみても、さすがにこの種の酒宴は何とも気が重く、できれば避けたかったのです。

 私の両親が鬼籍に入ったのは、それぞれ父が8年前、母が7年前の2年連続でした。その頃の私はまだ定年前で現役サラリーマンをしていました。とは言っても仕事は教育担当という閑職で、仕事上でストレスを感じることもなく、厄介なアルコール依存症も小康状態にありました。

 それでも2年連続となった両親の葬儀のときには、どうやらアルコール依存症の本領を遺憾なく発揮していたようなのです。つまり飲み出したら止まらない酒だったようなのですが、どうも記憶が定かではありません。少なくとも親類の方々はウワバミだった私の姿をしっかり覚えているはずで、生半可な逃げ口上では酒の勧めを断れそうもありませんでした。気が重いとはこのことでした。

 さて法要の儀式の後、いよいよ酒宴が始まりました。私の席は導師を務めた菩提寺の住職の隣でした。宴が進むにつれ、誰彼となく引っ切りなしに住職にお酌をしに集まって来ました。ついでに隣の私にも酒を勧めるのは道理で、案の定そうなりました。

「実は、私はアル中なんで・・・。酒を断って4年になりますが、一滴でも酒を飲んだら元の木阿弥、また気違い酒になるんです。」私は腹を括って、こう正直に言いました。
「えっ、アル中? そんなふうには見えないけど・・・、まぁ、それじゃ仕方ないね。じゃ何にする、ウーロン茶?」誰もがそう言ってあっさり酌を控えてくれました。

 隣で私の話を聞いていた住職が、こんなことを言ってくれました。この住職は4歳で酒を知り、中学の時には遊びに来た友達と本堂で酒盛りをやったという強者です。
「本音を言うと、私も酒はほどほどにしなきゃいけないと思っているんですよ。早い時間に切り上げたいのは山々だが、一定の時間付き合わないと檀家の方々から(飲み足らないと)不平が出るんです。だから、頃合いを見て引き上げることにしているんですよ。」
正直な言葉には正直な言葉で応じてくれるものと知りました。
             *     *     * 
 私は、46歳にあと半月というときに初めてアルコール依存症(アル症)と診断されました。アル症の知識は中途半端なものでしたが、だらしないとか意志が弱いとかと見られる世間体ばかりでなく、何よりも恐れたのは社会的に抹殺されることでした。

 バリバリの現役サラリーマンでしたから会社に知られでもしたらマズイと、診断事実はおろか、手の震えもひたすら隠しおおそうとしたものです。聞けば、大方のアル症者も同じような恐怖に囚われて、口外せずに秘密のままにしていたと言います。これが、酒に飲まれて無様になった自分を受け容れられず、何とかしてキレイごとのままにしておこうとする否認の素顔かもしれません。

 ― 私たちは自分がアルコホーリクであることを心の底から認め
   なくてはならないことを知った。

                    (『アルコホーリク・アノニマス』第3章より)

 思うに、他人の前で自分がアル中と声に出して言えるか否かが肝要なのです。再就職の就活の場で、問われもしないのに告白するバカ正直はいないと思いますが、ここぞという時にはアル中と告白できる正直さが問われているのだと思います。



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
リンクを張ってもよろしいでしょうか? (ナタリー)
2017-12-01 17:32:17
ヒゲジイさん、初めまして。
節酒ブログをしておりますナタリーと申します。

ドライドランクについて検索していて、こちらのブログに参りました。
興味深い記事が沢山あって、読ませていただきました。

弊ブログにドライドランクについて書きたいと思っています。勉強になったので、ヒゲジイさんの2015年10月30日の記事にリンクを張ってもよろしいでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。 
返信する
Re.ナタリーさんへ (ヒゲジイ)
2017-12-01 21:20:35
お読みいただきありがとうございます。
私の記事が参考になるようなら、どうぞお使いください。
予めドライドランクか否か自己診断できると、
それだけ不安が軽減できると思います。
なお、ドライドランクですが、PAWS(急性離脱後症候群)とも呼ばれているもので、
どうやら回復途上で現われる遅発性の離脱症状のようですヨ。
返信する
ありがとうございます (ナタリー)
2017-12-02 01:20:13
ありがとうございます。
本日のブログで言及させていただきます。
返信する

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