マイmy巷話

マイMy巷話(かんわ)は「私にはそう見える!」ものを儘に書いているだけの話です。

世田谷・世田谷代田の戦災痕を辿ってみる (後編)

2024-05-05 | 街歩き・歴史散歩


世田谷代田駅周辺の戦災焼失区域を朱色で表した昭和20年の地図を見ています。

前回は、世田谷代田駅から南側に急斜面を下がった住宅地一帯から戦災痕を探してみましたが、今回は駅の北側の朱色が広がる地域に焦点を当てて、終戦間際に焼け野原となった景色のなかを、世田谷代田から500メートル程離れた井の頭線の新代田駅まで臨時に敷設された、幻の線路の跡を探してみたいと思います🐾

しかし、不思議ですよね。。🤔
今でも都会の喧騒から上手に外れて、いつもひっそりしている代田の丘の小さな住宅地に、何故たくさんの爆弾が落とされたのでしょうか。
おまけにすぐ隣には、二つの私鉄が交差する下北沢駅があるのに、そっちの被害のほうが地図の朱色範囲を見る限りずいぶんと少ないのも。

もしや、当時、代田の町には標的となるかなりの大物が潜んでいたんでしょうか。。


さて。こちらは世田谷代田駅に併設された舗道ですね👀

明るいレンガタイルにはレールのようなデザインが見られますが、駅前の案内板の説明を読むと、どうやらこれは、戦時災害で失われた井の頭線車両を補給するために、この駅から新代田駅までを突貫工事で完成させた、臨時線路をイメージしたもののようです。

ただ、実際の線路は柵の向こうに敷設されたようですが。。

実は世田谷代田駅は、小田急線で唯一戦災に遭っている駅舎だとか。

しかし、当時は同じ小田急系列だった井の頭線の被害の方が、より深刻だったようでして、昭和20年5月末の大空襲では車庫を狙われ、ほとんどの車両が壊滅的な被害を受けたために、急ぎ他社から戦災応急復旧車を導入せざるを得なくなったらしいのです。
そんな史実を、この駅の轍は伝えていたんですね。。
しょっちゅう、ここ歩くが知りませんでした💧



お次の写真は世田谷代田駅裏手の住宅地から。。。🚃

かつての線路跡の一角が、たまたま更地になっていましたが、さすがに当時の面影どころか、石ころひとつもまわりには落ちていません。

この連絡路線は戦火に遭った敷地を縫うように、戦後も新型車両がどんどん導入されたそうですが、昭和28年に元の住民らからの土地返還の訴えで、廃線になっているそうです。
つまり、戦時下の強制発動で人の敷地に強引に敷いていたってわけですねっ。

でも、そんなはなしも遠い昔。。

やはり、古地図から幻の線路を辿ってみても、道はキレイに舗装されていて、おまけにほとんどがヒトの家の敷地のなかを通しているため、歴史のカケラなどちっとも見当たりません💧



と、そんな時👀
或るお宅の敷地内に面白いものを見つけました。
これはガンタ積みの壁のようですね。。


かつての線路はここを通っていた可能性が高いため、このガレキは戦災痕、、もしかすると1ヶ月で完成したといわれている突貫工事ならではの線路敷設の道床に混じっていたものかもしれません。

注)たまたま大家さんからお話を聞くことができたのですが、ここは土の中にこうしたものが埋まってるよ、、とのことでした。写真は許可を得て撮っています。


その先。見えない線路はこの敷地の壁の内側を真っ直ぐに続いていき、、、🚃


井の頭線の新代田駅近くなると、道に沿ったカタチで、ゆるくカーブしていたようです。



向こうに井の頭線の電車が見えていますが、駅はもう目の前❗️

本線へのアプローチは、このアパートの外壁ブロックの盛り土とともに、斜めに配置されたプランニングから、少しは伺えるかと思います👏


こうして、80年前にこの連絡路線を使って、戦災で応急処置された車両や他社からの新車両が、当時は瀕死の状態だった井の頭線へとどんどん送り込まれていったわけですねっ。

ところで、、この駅が周りよりも低く見えるのは、ここが谷間だったからだと、改めて地図を見て気づきました。

そして、先の戦災焼失図ではこの駅舎あたりは朱色、、ということは、世田谷代田駅同様に、ここも戦火に遭っているはず。
おまけに逃げ場のない谷間では火はかなりの勢いだったかもしれませんね。


そう気づくと、、👀
駅ホームに今も残されている安山岩らしき石垣がやけに赤いのは、そんな時代の死線をかいくぐった証だったりするのかな、、と最後にふと思ってしまったのでした。

そうそう。当時の両駅名は、世田谷代田が世田谷中原駅で、新代田は代田二丁目駅だったことを加えておきます。


こうして、終戦から80年近くが経ち、当時を知る人もモノもどんどん消えてしまっても、今回、代田の町で見つけた焼け焦げた電柱らしき痕や、個人宅に残る線路跡のガレキなどはこれからも誰に気づかれることもなく、細く永く残っていてほしい、、と改めて思ったのでした。

気になる古いモノや場所など、また身近な場所で探してみたいですね❗️

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする