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GDPがプラスでなければ不幸か?

2021年11月20日 | 政治・経済
従来の指標や価値観を変えれば、こういう見方もできる。

たとえば、「GDPの経済成長率がプラスでなければ国民は不幸だ」という考えは正しいか。いま日本人の総労働時間は年々減少している。それでも成長率が横ばいであれば、労働時間の減った分は経済成長していることになる。お金ではなく時間で成果を受け取っている。デフレも円高も経済成長のうちとなる。そう考えると、日本はいまも世界最高の成長国であるといえる。

多くの国は、「不況のときには財政出動をすればいい」というケインズ経済学を採用しているが、これが通用するのは、政府がお金をばら撒けば喜んで働く中流層が多く存在する場合に限られる。だが、いまアメリカでは中流層はごく少数となり、大半が下流層になった。下流層はお金をもらえばすぐに博打や酒に使ってしまい、波及効果が出ない。そうなる原因は富裕層による富の独占だから、ニューヨーク・ウォール街のデモになる。

実際、米議会予算調査局(CBO)が2011年10月にまとめた報告書によれば、1979~2007年かけて所得上位1%を占める超富裕層は税引き後収入が約3.8倍に増えたのに対し、下位2割の低所得層は18%しか伸びておらず、CBOは「この30年間で米国民の所得はかなり不平等となった」と分析している。

また、市民団体の「税金の正義を求める市民の会」が発表した米主要企業280社の納税実態調査では、2008年から2010年にかけて78社が少なくとも1年間は連邦所得税を納めておらず、30社は3年間にわたって納税していなかったという。

これらの現象を見て、世界の多くの人々がアメリカをはじめ欧米諸国は行き詰まっていると感じるが、世界には着実に伸びている新興国がたくさんあるのだから、彼らにも目を向ける必要がある。そこで彼らに、「中流なきアメリカと、中流だらけの日本、どちらの社会を手本にしたいか」と尋ねてみればよい。日本に付いてくる国はいくらでもある。

(日下公人著書「『超先進国』日本が世界を導く」より転載)

---owari---
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