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マクロン「台湾問題はフランスと関係ない」発言

2023年05月07日 | 政治・経済
今日も国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。

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全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。

▼ロシアーウクライナ戦争の勝ち組中国
ウクライナ侵攻で最大の勝ち組は中国です。
侵攻でロシアと欧米の関係が切れた。
それで中国は、ロシアから激安で原油、天然ガスを買うことができます。

天然ガスについて、ロシアは、欧州に輸出していた値段の
7割引きで中国に輸出しているそうです。
そして、中国は、人民元で代金を支払っている。

そう、ウクライナ侵攻の結果ロシアは、ドル・ユーロ圏から追い出され、
人民元圏に入ってしまったのです。

今、ロシアは、中国の属国と化しています。
(@ちなみに、以下の本では、中国が一番の勝ち組になることを予測していました)
●黒化する世界~民主主義は生き残れるのか?
詳細は↓

そして、中国は今、欧州との和解に動いています。
欧州とロシアがケンカしている。
欧州は中国とも同時にケンカしたいでしょうか?

したくないでしょう。
中国はこれまで「戦狼外交」を展開してきました。
しかし、「欧米日はロシアと戦っている。今なら和解できるだろう」と見て、
融和外交に切り替えたのです。

▼中国に懐柔されたマクロン
さて、フランスのマクロンさんが4月4日から8日まで、中国を訪問しました。
そして、大歓迎されたのです。
                                                         
中央日報4月12日。
<マクロン大統領は今月4~8日、中国を国賓訪問して習近平国家主席と会った。
中国側はマクロン大統領を閲兵式・レッドカーペットで歓待した。>

そして、中国は、マクロンを取り込むために「実利」も提供しました。
<両側はフランス基盤の欧州航空会社であるエアバス新規工場を中国天津に作ることにし、
エアバス航空機160機の販売契約も承認した。>(同上)
中国で大歓迎され、実利も受け取ったマクロンは、すっかり中国に懐柔されたようです。

フランスに戻ってから、重大な発言をしています。
<9日、帰国の途についたマクロン大統領は空軍1号機で行ったメディアインタビューで
「欧州人は『台湾の(危機の)高まりが我々の利益だろうか』という質問に答える必要がある。
正解は『ノー』だ」と話した。>(同上)

これは、何でしょうか?
要するに、マクロンは「台湾問題は、フランスに関係ない」といったのです。

長引くロシアーウクライナ戦争。
ロシアにエネルギーを依存していた欧州諸国は、戦争の影響を日本より強く受けています。

それでしばしば「ウクライナ疲れ」という言葉が聞かれる。
そんな欧州の大国フランスには、ロシアと戦いながら、中国との経済関係を切ったり、
台湾問題で中国とケンカするパワーはないのでしょう。

このマクロン発言は、欧米で大いに批判されています。
ただ、欧米日とロシアが戦っている現状で、欧州と中国が少し和解することのメリットもあります。

中国がこの機に乗じて欧米日と和解したい。
それがうまくいきそうな気配があれば、中国はロシアへの武器供与を思いとどまるでしょう。

欧米日は、世界GDPの約半分を占めている。
一方、ロシアが世界GDPに占める割合は、2%。
中国は、世界GDP2%のロシアに武器を供与して、
世界GDPの半分を占める欧米日との経済関係を破壊したくないのです。

「ロシアと中国の二正面作戦を回避するために、中国と一時和解する」
マクロンの真意がこれなら「戦略的」といえるのですが・・・・・・、

―――
(追記)
日本のメディアは報道しないが、現在のフランス(パリ)で起きていることは内戦。
グローバリスト政府vs国民の戦い。単なる年金改革反対ではない。EUのロシア制裁反対、NATO脱退までスローガンとしている。マクロン氏の行く手は険しいと言わざるを得ない。

---owari---
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