(考え方を押し付けてくる人から自分を守ることも必要)
また、エゴイスティックな人の場合、曲がった考え方をするだけでなく、自分の考え方を他の人に押し付けてくることもよくあります。
例えば、前述(ぜんじゅつ)したアルコール中毒患者であれば、おそらく、「今日、講師(こうし)が言ったことは、要するに、『アルコールを毎日飲まなければ、お腹の消毒ができない』ということだ」と考え、周りの人に、「胃のなかのピロリ菌(きん)を殺したかったら、アルコールを毎日飲み続けなければいけない」と言い続けることでしょう。
そのように、「自分の考え方を押し付けてくる人に対して、どう対処(たいしょ)するか」という問題もあります。
一定の考え方を押し付けてきて、こちらの意見を聴(き)いてくれない人に関しては、やはり、距離(きょり)の取り方を勉強しなければいけないでしょう。
人間関係というものは、自立した人たちが、適度(てきど)な距離感を持って付き合うときに、うまくいくことが多いのです。逆(ぎゃく)に言えば、「一方が他方に完全に依存(いぞん)するような関係」や、「一方が他方をいつも完全に“やっつける”ような関係」は長く続きません。
例えば、漫才(まんざい)においては、「ボケ」と「ツッコミ」という関係があっても構わないでしょう。「一方がツッコミを入れ、他方は、やられてばかりいる」という漫才は、見ていて面白(おもしろ)いのですが、現実の社会では、そのような人間関係には長く続かない傾向があります。
したがって、「自分と合わない考え方を押し付けられて、つらい」という場合には、ある程度、自分を守らなければいけません。
すなわち、「ここまでは構わないけれども、ここから先は自分自身の領域(りょういき)であり、“自治区”である。ここは自分の考えとして変えられない」というところは、やはり、守らなければいけません。そして、それ以外の領域については、自由に意見交換をしても構わないわけです。
自立した人同士が、適度に一定の距離を取りながら付き合うことが、人間関係を長く続ける秘訣(ひけつ)なので、相手の考え方の固さというか、固まり具合を見て、その人との付き合いを決めていかなければならないのです。
---owari---
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