このゆびと~まれ!

「日々の暮らしの中から感動や発見を伝えたい」

適度な距離を取りながら付き合う(後編)

2020年01月24日 | 人生
(「どこまで相手の好意に甘えてよいのか」という加減を知る)
また、田舎(いなか)の人には親切なところがあり、最初は、「どうぞ、どうぞ」と言って、接待してくれることがよくあります。ところが、「本当に歓迎(かんげい)されているのか」と思って、勧(すす)められるままに接待を受けていると、その裏(うら)で、「あの人は、ずうずうしいわね」と言われることが、いくらでもあります。

このへんの加減(かげん)を知らない人は、「どうぞ、どうぞ」と言われると、「はい、はい」と言って、素直(すなお)に受けてしまいます。

例えば、「お昼ご飯を食べていきなさい」と勧められると、「ああ、そうですか」と言って食べ、さらに、「晩(ばん)ご飯も食べていってください」と勧められると、「ああ、そうですか」と言って、本当に食べてしまうのです。しかし、あとで、「まあ、二食も食べて帰るなんて、ずうずうしい人だ」などと言われたりするわけです。

そのため、人間関係においては、そのあたりの加減を知らなければいけません。
京都では、お客さんに帰ってほしい場合、「お茶漬(ちゃづ)けでも食べませんか」と言うことがあります。この話法を知らない人は、「では、頂(いただ)きます」と言って、本当に食べてしまうのですが、こう言われた場合、それは、「帰ってください」という意味なのです。京都の人々は、こういう婉曲(えんきょく)的な話法を使っているわけです。

それを知らない人は、「京都の漬物(つけもの)でお茶漬けとは、おいしそうだな」と思い、愚(おろ)かにも本当に食べてしまいます。

京都の人は上品なので、本当にお茶漬けを食べたとしても、文句(もんく)は何も言いません。「この漬物は、なかなかおいしいでしょう?」とか、「このお茶は宇治茶(うじちゃ)なんですよ」とか言うでしょうが、それを鵜呑(うの)みにしてはいけないのです。

「お茶漬けを食べていきませんか」と言われたら、それは、「帰ってほしい」という意味だと理解し、「いいえ、そろそろ、おいとましなければいけない時間です」と言って、帰らなければいけないわけです。
このあたりの加減には、とても難しいものがあります。

---owari---
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