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アメリカの大学で起きた「学問」と信仰」の対立(前編)

2022年09月07日 | 政治・経済
(映画に描かれた、大学での「信仰」をめぐる論争)
アメリカの映画で、「神は死んだのか」(2014年公開)という作品があります。日本語のタイトルとしては、そのように訳されていましたが、英語の原文では、“GOD’S NOT DEAD”と題されていました。つまり、英語では「神は死んでいない」ということですが、日本語では「神は死んだのか」と訳されており、ニーチェの言葉(「神は死んだ」)によく似ていたのです。

この映画は、主人公である男子学生がアメリカの大学で哲学のコースを履修するに当たり、教授から、「まず、“God is dead”(神は死んだ)と書き、署名せよ」と要求され、そうしないと次の授業には進めないというものでした。実際にアメリカの大学で起きた、訴訟も絡んだ事件を題材にして製作された映画のようです。

教授が講義の最初の時間に、「“God is dead”と書いて、サインしなければ、次に進めない」と言って、八十人ぐらいの受講生全員に、それを書かせようとしたところ、ほぼ全員が書いたのですが、一人だけ、「どうしても書けません。私はクリスチャンなので、この言葉はどうしても書けないのです」という男子学生が出てきたわけです。

しかし、教授のほうは、「信仰を否定しているわけではない。信仰は、教会か家庭でしたらいいんだ。ここは大学であり、私の授業では哲学を教えているのだ」ということを言います。

さらに、「これから哲学で不可知論を教えるのだ。天才たちは、みな、神なんか信じていないのだ」ということで、天才の名前をズラーッと挙げていきます。そして、「“God is dead”なんだ。ここから始まるんだ。人間の知の極限についての話をしようとしているので、信仰を持ち込まれると授業が進まない」ということで、学生の言い分を認めないわけです。

さらに、その学生に対して、「君があくまでも署名しないなら、機会を与えるから、『神は死んでいない』という、『神の存在証明』をしてみたまえ。それができなかったら、君の単位は少なくともC以下になる。したがって、君が希望しているロー・スクールへの進学はできなくなるぞ」というような条件を付けました。

その学生は、その教授と対決することを決意するのですが、付き合っていた彼女から、「なぜそんなバカなことをするのよ。形式的なことぐらい、何でもないじゃない。将来、あなたとの結婚を考えて、わざわざ第三希望の大学に入ったのよ。それなのに、こんなサインができない程度のことで単位を取れずに、ロー・スクールに行けないのであれば、もうあなたともお別れね」と言われて、別れなければいけなくなるのです。

そういう状況のなかで、その学生は、授業中に教授との激しい論戦をしていきます。
教授が、「ホーキング博士が、著書で、『神は死んだ』という言葉をこう説明している」というようなことを述べると、学生のほうは、「ホーキング博士の著書の五ページ目には、『哲学は死んだ』と書いてある。彼が正しいのなら、先生の講義も必要ないでしょう」と言い返したりしていました。

これは、日本ではマイナーな映画かもしれませんが、日本でも同じようなことは文科省の大学の認可に関して過去にあったようです。学問の枠に収まらない学問は認可しないということでした。

---owari---
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