『黒幕と言われた男』の著者の戯言

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富国強兵

2014-06-18 15:48:21 | 日記
 こんな言葉は若い人はご存じなかろう。死語に近いといってもいいかもしれない。
昨日の新聞に「第三の矢は富国強兵策」と題して独協大教授の森永卓郎氏が一文を寄せておられる。この方、TVでしばしばコメンテーター(それも柔らかめの番組)として出てられるのでお顔は知られていると思う。

 彼は、安倍政権の成長戦略の「第三の矢」の本質は「富国強兵策」であると論じている。
現在、日本の最大課題は少子高齢化であることはみんな知っている。安倍さんが女性の活用や外国から技能実習生の受け入れ、高齢者雇用の拡大を熱心に説くのは、時代に即応した新しい風のように見える向きもあるが、就業者人口の空洞化を埋めるために他ならない。加速度的に進む人口減少をせめて1億人にという目標を掲げているのも、国力の維持 とりわけ労働力確保が主眼であると。
 このようにあらゆる政策が明確な価値観のもとで労働力確保に向かっているのは国家総動員による富国強兵政策だという趣旨を述べている。

 そしてそれを証明するのに昭和16年に近衛内閣が閣議決定した「戦時人口政策」を挙げている。その政策は「来る昭和35年に現在の人口7千余万を1億に達せしめ、高度国防国家としての兵力と労力を確保し、大東亜共栄圏民族の指導勢力を確保するというにある」 とある。当時は働き盛りの男性は徴兵制度で兵役に就いていたし、今は人口動態で働き盛りがいなくなっているという理由の違いはあれど、産めよ増やせよと奨励し、老いも女性も働かせようとする(戦時中は銃後の守りとして責任を持たせた)目的は同じであると、わかりやすく説明して、安倍政権の政策に国家はあるが、国民の視点がないと述べている。

 まとめの部分には意を異にする人もあろうが、少子高齢化が進んで国力が衰退する中でも労働時間を短縮して家族や地域と触れ合って、金銭的な豊かさはなくても時間と心が豊かな老後の環境を整備するという選択肢も考えるべきだと提言している。

 後日稿を改めて書きたいが、遠からず集団的自衛権容認が閣議決定されようとしている。
このことを考え合わせると、近衛内閣の政策とますます似ているのである。