遊爺雑記帳

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中国の国際金融制度支配の野望は成功するのか

2014-08-14 00:20:19 | 中国 全般

 中国が、世界の金融管理にも覇権を及ぼそうと積極的に動いているニュースは、諸兄がご承知のとおりです。そして、その動きは、着々と進められている様ですね。
 ひとつは、既存のIMFに対抗して、新興国が主導権を握れる、「新開発銀行」(BRICS開発銀行)の創設。もうひとつが、日本主導の「アジア開発銀行」に対抗する、「アジアインフラ投資銀行」の創設。

 「BRICS開発銀行」については、当初の出資金は5ヵ国が均等に出資し、発言権も均等とのことで、総裁も順番制(初代はインド)とのことです。
 従って、欧米諸国主導の現状打破に、BRICSの5ヵ国が主導権をとろうとはしていますが、中国が単独で主導出来る体制にはなってはいません。
 
BRICS首脳、「新開発銀行」の上海設置で合意―総裁はインドから - WSJ
 [FT]BRICS開発銀行は未来を知るヒント  :日本経済新聞

 これに対し、「アジアインフラ投資銀行」は、中国の出資比率が高く、中国が参加国を支配可能な仕組みになっているのですね。
 ここでは、「アジアインフラ投資銀行」に注目してみます。
 

「中華の磁場」金融面でも拡大 (8/13 産経 【湯浅博の世界読解】)

 やはり、中国が画策する国際金融機関の本命は、「アジアインフラ投資銀行」の創設にあるようだ。アジア域内で実績ある日本主導の「アジア開発銀行」(本部・マニラ)に対抗して、中国主導で域内のインフラ整備に乗り出す。もちろん、脚本、演出、そして主役も中国である。新銀行の本部を中国におき、総裁ポストを狙い、融資の裁量権を握って「中華的世界の磁場」を広げる
構えだ。
 すでにあるアジア開銀の本部は、中国とスプラトリー諸島の領有権を争うフィリピンに置かれ、歴代の総裁は尖閣諸島を争う日本から輩出している。中国はアジア開銀で主導権を争うより、丸ごとアジアインフラ銀行を創設して君臨することをもくろむ。すでに中国は、日本を除く20カ国に声を掛け、今秋の発足を目指している。

 これとは別に、中国を含む新興5カ国がこの7月、ブラジルで世界銀行(本部・ワシントン)を「旧秩序」と位置付け、競合する
新開発銀行創設
の協定に調印した。あちら5カ国からなるBRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字からそう呼ばれ、やはり中国が脚本を書いた。
 だが、新興大国の寄り合い所帯だから、民主国家のブラジル、インドなどは必ずしも中国の“軍門”には下らない。本部を上海が取ったが
総裁ポストはインド
に握られ、中国に満足のいく構成にはならなかった。

 そこへ行くと、東南アジアは小国の集まりであり、
最大出資国として主導権を握りやすい。中国への従属的な色合いから恣意(しい)的な資金提供が可能になり、融資に名を借りた勢力拡大にもつながる
。それは安全保障面で、中国の高官が米国側に太平洋を2分割して管理しようと持ちかけた発想に似ている。
 国力をつけた
中国が、ついに国際金融制度にまで触手を伸ばしてきた
のだ。

 実は、日本も1997年に、アジア通貨危機を受けて、性格の違う「アジア通貨基金」(AMF)構想を米国ぬきで画策したことがあった。
 当時、大蔵省財務官だった榊原英資氏は、自著で、「世界銀行に対してアジア開発銀行があるように、IMF(国際通貨基金)に対しても、アジア版の基金があってもいい」と述べている。
 アジア開銀には、米欧諸国が域外国として加盟しているものの、AMFは米国に構想が漏れないようにひそかに進められた。日米は台湾海峡や朝鮮有事には共同で対処しなければならない。同盟国が一転して競争相手かそれ以上になっては元も子もなく、やがては断念せざるを得なかった。

 だが、今回の中国は公然と日米に対抗している。中国の意思は、中国共産党機関紙である人民日報の記事に、米ドル札が燃えるイラストを添えたことに決意がうかがえる。
 中国は今回、ミャンマーで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の会議を利用して、アジアインフラ銀行設立の根回しをはかった。王毅外相は記者会見でもタイのシハサーク外務次官を従え、根回しが成功していることを誇示していた。

 アジアインフラ銀行と新開発銀行に共通するのは、融資対象国に内政干渉せず、政治条件も人権尊重も要求しないことだ。 
世銀やアジア開銀に拒否された大型融資の「駆け込み寺」になり、強力な中国流ソフトパワーの挑戦になる。(東京特派員)

 日本主導の「アジア開発銀行」に対抗するのが主旨ですから、当然日本外しで構想をスタートさせていましたが、最近になって、日本へも参加を呼び掛けてきているそうですね。
 
アジアインフラ投資銀、日米などの参加を歓迎=中国財政相 | ビジネスニュース | Reuters
 上念司、中国が日本にアジアインフラ投資銀行の参加国要請するも却下される!韓国はどうなる?

 当初、日本同様に外されていたインドは、参画することになる様ですね。
 
中印首脳が初会談 アジアインフラ投資銀行設立に前向き - MSN産経ニュース

 中国の属国への復帰を目指す朴槿恵の韓国は、米国からブレーキを掛けられていましたが、米中間でのコウモリ外交の狭間で、どのような対応をするのでしょう。
 
中国主導のアジアインフラ投資銀行 米国が韓国の加盟にブレーキ | Joongang Ilbo | 中央日報

 インドや日本にも参画の声をかけてきているのは、中国の専制下におかれる仕組みに、各国の警戒感があることからの配慮と推察できます。
 中国がこの様な構想を推進することも、そこに参加する国がいることも、誰も阻止することは出来ません。
 しかし、「IMF」からも、「アジア開発銀行」からも借金をしている中国が、基金を立ち上げるのは他人の褌で相撲を取ることになります。
 少なくとも、その借金は返してから、自前のお金を出資して構想を進めるべきでしょう。シャドゥバンキングの破綻に向け、自分がそれらの基金からお金を借りようとしているのではとの声が出る所以ですね。

 「IMF」にしろ、「アジア開発銀行」にしろ、硬直化が指摘され、そこに新たな組織が期待される隙間があるのですが、一方、産経の記事が指摘する通り、無秩序で、中国の覇権拡大に屈する国への偏向的な運営がなされることは、世界平和に逆行する懸念があります。
 日米が、「アジア開発銀行」に参画する理由は見つかりませんが、今後の進展が注目されますし、参加国は、くれぐれも中国に支配されないよう、留意していただくことをお勧めします。



 # 冒頭の画像は、ブラジルのフォルタレザで会談したインドのモディ首相と習近平




  染井吉野の紅葉


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