遊爺雑記帳

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岸田訪米をトランプや共和党幹部、米メディアはどう見たか 岸田演説に滲み出たトランプ配慮

2024-04-16 01:23:56 | 米国 全般
 「もしトラ」を想定する日本の官僚エリート集団が、岸田文雄首相の訪米に際して、一番気を使ったのはトランプ氏への気遣いだったとされると、元読売新聞の高濱氏。
 
岸田訪米をトランプや共和党幹部、米メディアはどう見たか 岸田演説に滲み出たトランプ配慮、救いはトランプ・ブレーンの評価 | JBpress (ジェイビープレス) 2024.4.15(月) 高濱 賛

■垣間見られたトランプへの気遣い 
 
世論調査を見る限り、ジョー・バイデン大統領が11月の大統領選で勝つか、「刑事被告人」ドナルド・トランプ前大統領が勝つか分からない

 選挙通によれば、勝敗を占う世論調査はレイバー・デイ(労働者の日 9月2日)後の世論調査だという。

「もしトラ」を想定する
日本の官僚エリート集団が、岸田文雄首相の訪米に際して、一番気を使ったのはトランプ氏への気遣いだったとされる

 
トランプ氏は日本にとっては特別な人だ。故・安倍晋三首相(当時)と馬が合った

(2020年、安倍氏がトランプ当選直後から急接近し、個人的な関係を築いたからだった)

 また同氏は、今上天皇が即位後、外国の国家元首として初めて招いた人物である。

 
再選されても、全く無縁な人物ではない。しかも日本の政財界は従来から「共和党贔屓」なところがある。日本の外務防衛専門家には共和党人脈が少なくない。

「もしトラ」を待望する論調にはそうした背景がある。

 
岸田訪米を前に一部米メディアは「日本はトランプ再来を予測し、準備している」と報じた

 
ワシントン・ポストは、「もしトラ:日本はドン・キホーテ的な米大統領の再来に準備怠りなし(’If Trump’: Japan readies for the return of a quixotic American president)と題するミシェル・イ・ヒー・リー東京支局長の記事を掲載した。

 
政治専門サイト「ポリティコ・マガジン」(4月9日付)は、元英フィナンシャル・タイムズ編集長のライオネル・バーバー氏が書いた論考を掲載した。

 
タイトルは「アジアにおける長年の同盟国はなぜトランプ再選をそんなに心配しているのか」(Why America’s longtime Ally in Asia is so anxious about Trump 2.0)。

 サブタイトルは「日本の政財界エリートたちに広がるトランプ再登場の可能性が醸し出す不安感」(The possible return of Donald Trump to the White House has bred a deep sense of insecurity among of Japan’s business and political elites)。

(politico.com/japan-prepares-second-trump-presidency)

■有力A紙はすでにトランプ・シフト?
 最近、ドジャースの大谷翔平選手の元通訳だった水原一平氏のスキャンダルの取材で東京からすっ飛んできた著名なジャーナリストは「リベラルなA紙はすでにトランプ再選の方向で記事を書いている」と述べていた。

 そういえば、
今回の岸田訪米に同行し、晩餐会に招かれ、議会演説では岸田裕子夫人の近くに座っていた人物は、A紙の元ワシントン特派員でその後、編集主幹になったF氏だった。

(おそらく
岸田訪米戦略に関わり合いを持ったブレーンの一人と見ていいかもしれない

 F氏はバーバー氏が唯一実名を挙げた「もしトラ」を予想し、案ずる情報源だった。

 もっともトランプ氏と会談したり、接触したりしようとする外国要人がこのところ増えている。

 首相当時、何度も会っていたデービッド・キャメロン英外相は4月8日、トランプ氏のフロリダ州の自宅、マール・ア・ラーゴにトランプ氏を訪ね、会談している。

 
3月には麻生太郎・自民党副総裁がトランプ氏と接触しようとしていたとの報道もある

 
バイデン陣営(ホワイトハウス、国務省、駐日大使館の面々)は岸田氏が「もしトラ」を想定しての米国訪問であることを百も承知だっただろうし、それを承知で歓待していたのだろう。

 その一方で、
裏金スキャンダルで岸田氏がいつまで持つか疑いつつ、こちらの方は野党立憲民主党が天下を取ることはなく、自民党内の誰が首相になろうとも対米路線の変化はないと見ていたに違いない

 
国賓待遇で岸田氏を招いたバイデン氏も、招かれた岸田氏もまさに片時の絆。狐と狸の騙し合い。それが首脳外交というものかもしれない。

 
後世に残ったのは「時の政権の首脳」が交わした日米共同声明という証文だけだ。

 そして
今回の岸田訪米は、日米同盟を「軍事メカニズム」を大きく変え、日本の「軍事力」をグローバルなパワーとして使うという日本の決意を表明する場となった

■米議会演説後、下院議長はトランプ詣で
 ホワイトハウスでの首脳会談、それに伴う晩さん会など行事とともに
重要だったのは上下両院合同会議での演説だった。

 1時間あまりの岸田氏の英語の演説は公共放送などで放映され、外交、政治に関心のある専門家や米市民は岸田氏の生の声を聴いたはずだ。

 
岸田氏の背後の正副議長席に座ったカマラ・ハリス上院議長(副大統領)とマイク・ジョンソン下院議長(ルイジアナ州選出)の反応は演説中、画面に映し出された

 
両氏の反応は、両党の岸田演説に対する反応を示すバロメーターだった。特にジョンソン氏はトランプ派有力議員。その反応はトランプ氏の反応を表すと見られていた

 岸田演説に
ハリス氏は13回スタンディング・オベーションジョンソン氏は岸田氏がウクライナ支援を誓約したくだりでは拍手もしなかった

 もっとも
岸田氏がバイデン氏の公式招待で来米し、米議会で演説することを要請したのは上下両院議長だ。下院議長が認めたということはトランプ氏も暗黙の了解を出したという意味だ

 
トランプ氏も日米同盟の深化に異論はないという前提がなければ、演説にOKを出すわけがない

 
そのジョンソン氏は岸田演説の直後、マール・ア・ラーゴにトランプ氏を訪れ、会談している

(4月15日にはトランプ刑事被告人を裁くニューヨーク州裁判所の公判が始まる。4つの刑事罰裁判の最初の裁判だ)

 
ジョンソン氏がトランプ氏と何を話したのか

 
会談後、一つ明らかになったのは、トランプ氏がこれまで反対していたウクライナ支援を「カネを出すならローンにしろ」と言い出したことだ

 
これが岸田氏のウクライナ支援確約宣言と無関係とは思えない

 ジョンソン氏は予算審議を巡って民主党と妥協したことで、トランプ派急先鋒のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州選出)から解任動議を突きつけられており、実質的な共和党のリーダーであるトランプ氏に泣きついたとの報道もある。

 何と言ってもトランプ氏は共和党の事実上の党首だ。

 トランプ氏は協議後の記者会見で次のようにジョンソン氏を擁護した。

「私はジョンソン下院議長とも、マージョリー(グリーン氏)とも非常に良い関係だ」

「(民主党との議席差が小さく)誰が議長であっても難しい状況だが、議長は非常によくやっており、マージョリーも理解していると思う」

■トランプ、水面下で進める必勝ロードマップ
 
裁判通いを続けながら、トランプ氏はどのような選挙戦略を推し進めるのか

 その
大前提は、4月15日のニューヨーク州裁判所の公判を皮切りに始まる法廷での判決は大統領選投票日前にはない、という点だ。

 
国民の審判を受けるその日には、有罪でも無罪でもないのだ。これまで行ってきた弁護団の引き延ばし作戦が功を奏したのである。

 
CNN の政治担当のジュリアン・ゼリジャー記者は、トランプ氏の「ロードマップ」は以下のようなポイントからなると見ている

一、 ネブラスカ州をはじめとする各州の州議会で選挙人割り当て法を改正し、各州下院議員選挙区ごとに集計した票を一括して「オール・オア・ナッシング」制導入にしてしまう戦略

二、テレビやラジオではなく、ソーシャル・メディアのエコシステム(業界全体の収益構造)を変えて、膨大な数量の政治メッセージをソーシャル・メディアを通じて流すこと

三、4つの刑事罰裁判は「エスタブリッシュメント(バイデン政権、司法機関)による魔女狩り」であり、自分は被害者であるとのメッセージを流し続けること

 
メディアが公判の経過を報道するごとにそうした主張を強め、同情票を投票に結び付けること

四、共和党が多数を占める下院で、選挙戦の争点である移民政策、物価高、インフレ対策などの法案を上程し、バイデン政権のアキレス腱を攻め立てること

 
2020年大統領選が不正選挙だったことを追及すること。

五、バイデン政権が目指すウクライナ追加支援を阻止、米国民第一主義を貫くこと

六、激戦州では第三政党のロバート・ケネディ候補などを間接的に支援し、バイデン氏に対する批判票を同候補に流すこと

■トランプ外交国防ブレーンは小躍り
 
岸田氏が訪米中、その言動に隠し絵のようにちらつかせたトランプ氏へのメッセージはトランプ自身に届いたのだろうか

 日米同盟の構造的変革は、トランプ氏自身にではなく、
「もしトラ」が実現した暁にはせ参じる外交国防ブレーンたちには確実に届いた

 歴代共和党政権の安全保障政策を立案・実践してきた
リチャード・アーミテージ元国務副長官、マイケル・グリーン元大統領特別補佐官やジョン・ハムレ米戦略国際問題研究所(CSIS)所長らはこれまで、自分たちが日本に抱いていた期待、願望が実現したと小躍りしているに違いない

 
肝心のトランプ氏はどうか

 官民双方の立場から歴代大統領の外交スタイルを見てきた
ワシントン政界通はこう指摘する。

トランプ氏は外交政策そのものには何ら関心がなく、その知識もない。外国に関心を持つのはそれが自分の儲けになるときだけだ

「これは大統領国家安全保障担当補佐官だったジョン・ボルトン氏が言っている」

「大統領になる前からモスクワにトランプタワーを建設することには関心があったが、
論理立てた対ロシア政策などない

北朝鮮やサウジアラビアの不動産開発には興味を持った

自分を褒めてくれる独裁者が大好きだった

日本についての見解は、日本がただ乗りだと批判された1980年代の時とほとんど変わっていない。日米同盟についても日本がより多く財政分担すれば文句は言わないだけだ

 折しもニューヨーク・タイムズの超ベテラン外交記者のデービッド・サンダース氏が新著を出した。

 タイトルは「War: China’s Rise, Russia’s Invasion, and America’s Struggle to Defend the West」。

 その中にAT&Tのランダル・スティファーソンCEO(経営最高責任者)が中国問題について話し始めた時、トランプ大統領(当時)は話の腰を折って、元ポルノスターとの関係についてとめどなく喋りまくっていたくだりが出てくる。

 まさに外交などには全く関心のないことが明かされている。

もしトラ」が本当に実現したらどうなるか。元駐米大使の佐々江賢一郎氏はこう述べている

(岸田総理の今回の訪米は)民主党だけでなく、共和党にも向けたメッセージでもある

日本との同盟が米国の利益につながるということをトランプ氏にも伝えたい

民主党はトランプ氏を日本との共通の敵と見ているが、どちらが勝ってもいいような関係を築きたい

 今や
裁判で頭がいっぱいのトランプ氏に岸田氏の想いは届いたか。まさに闇に放たれた弓矢のようなものである

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高濱 賛のプロフィール
Tato Takahama 米国在住のジャーナリスト

1941年生まれ、65年米カリフォルニア大学バークレー校卒業(国際関係論、ジャーナリズム専攻)。67年読売新聞入社。ワシントン特派員、総理官邸キャップ、政治部デスクを経て、同社シンクタンク・調査研究本部主任研究員。1995年からカリフォルニア大学ジャーナリズム大学院客員教授、1997年同上級研究員。1998年パシフィック・リサーチ・インスティテュート(PRI、本部はサウスパサデナ)上級研究員、1999年同所長

 トランプ氏は日本にとっては特別な人だ。故・安倍晋三首相(当時)と馬が合った。
 再選されても、全く無縁な人物ではない。しかも日本の政財界は従来から「共和党贔屓」なところがある。日本の外務防衛専門家には共和党人脈が少なくないと、高濱氏。

 ワシントン・ポストは、「もしトラ:日本はドン・キホーテ的な米大統領の再来に準備怠りなし」と題するミシェル・イ・ヒー・リー東京支局長の記事を掲載した。
 政治専門サイト「ポリティコ・マガジン」(4月9日付)は、元英フィナンシャル・タイムズ編集長のライオネル・バーバー氏が書いた論考を掲載。タイトルは「アジアにおける長年の同盟国はなぜトランプ再選をそんなに心配しているのか」。

 3月には麻生太郎・自民党副総裁がトランプ氏と接触しようとしていたとの報道もある。

 自民・麻生氏「訪米」はトランプ氏側からの要請だった – ニッポン放送 NEWS ONLINE

 今回の岸田訪米は、日米同盟を「軍事メカニズム」を大きく変え、日本の「軍事力」をグローバルなパワーとして使うという日本の決意を表明する場となったと、高濱氏。

 重要だったのは上下両院合同会議での演説だったと。
 岸田氏の背後の正副議長席に座ったカマラ・ハリス上院議長(副大統領)とマイク・ジョンソン下院議長(ルイジアナ州選出)の反応は演説中、画面に映し出された。
 両氏の反応は、両党の岸田演説に対する反応を示すバロメーターだった。特にジョンソン氏はトランプ派有力議員。その反応はトランプ氏の反応を表すと見られていた。
 岸田演説にハリス氏は13回スタンディング・オベーション、ジョンソン氏は岸田氏がウクライナ支援を誓約したくだりでは拍手もしなかったのだそうです。
 
 もっとも岸田氏がバイデン氏の公式招待で来米し、米議会で演説することを要請したのは上下両院議長だ。下院議長が認めたということはトランプ氏も暗黙の了解を出したという意味だと、高濱氏。

 そのジョンソン氏は岸田演説の直後、マール・ア・ラーゴにトランプ氏を訪れ、会談している。
 ジョンソン氏がトランプ氏と何を話したのか。
 会談後、一つ明らかになったのは、トランプ氏がこれまで反対していたウクライナ支援を「カネを出すならローンにしろ」と言い出したことだ。
 これが岸田氏のウクライナ支援確約宣言と無関係とは思えないと、高濱氏。

 岸田氏が訪米中、その言動に隠し絵のようにちらつかせたトランプ氏へのメッセージはトランプ自身に届いたのだろうか。
 日米同盟の構造的変革は、トランプ氏自身にではなく、「もしトラ」が実現した暁にはせ参じる外交国防ブレーンたちには確実に届いたと、高濱氏。

 「トランプ氏は外交政策そのものには何ら関心がなく、その知識もない。外国に関心を持つのはそれが自分の儲けになるときだけだ」
 「日本についての見解は、日本がただ乗りだと批判された1980年代の時とほとんど変わっていない。日米同盟についても日本がより多く財政分担すれば文句は言わないだけだ」
 等とワシントン政界通。

 「もしトラ」が本当に実現したらどうなるか。元駐米大使の佐々江賢一郎氏は以下の様に述べておられるのだそうです。
 「(岸田総理の今回の訪米は)民主党だけでなく、共和党にも向けたメッセージでもある」
 「日本との同盟が米国の利益につながるということをトランプ氏にも伝えたい」
 「民主党はトランプ氏を日本との共通の敵と見ているが、どちらが勝ってもいいような関係を築きたい」

 裁判で頭がいっぱいのトランプ氏に岸田氏の想いは届いたか。まさに闇に放たれた弓矢のようなものであると、高濱氏。

 繰り返しになりますが、トランプ氏サイドでは、麻生氏との接触も進めているので、親密だった安倍氏亡き日本とのパイプに腐心している様子も見えますね。



 # 冒頭の画像は、米国の上下両院合同会議で演説した岸田首相



  この花の名前は、ドイツスズラン


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