遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

脱原発と送発電分離の流行風には「火事場泥棒」にご注意を

2011-07-07 00:26:32 | 新エネルギー
 政府の東電叩きに異常感を持つの方は多い様ですね。原発を推進してきたのは、自民党政府時代のオイルショック以後、官民あげての脱化石燃料政策から始まり、脱CO2とインフラ輸出振興で更なる原発促進を掲げた民主党政府に至るまで、国策として政府が推進してきたのです。東電などの電力会社は、国策の一貫を担い、許認可を受けて実行してきたのです。事故の発生やその後の処理について、もちろん東電の責任は免れませんが、国にも共同責任があり、菅氏の自己責任逃れでの東電叩きの姿勢には批判が集まっていますね。
 同時に沸いて来ている、発送電分離論はメディアがさしたる議論もなく飛びついて、感染病のように蔓延していますが、功罪をつきつめねばなりませんし、カンカラ菅を躍らせている「火事場泥棒」が見え隠れするのが気がかりです。
 この「火事場泥棒」の言葉使いを学んだ記事がありますので、以下に備忘録として転載させていただきます。
 

【今日の突破口】ジャーナリスト・東谷暁 「火事場泥棒」見え隠れ (7/6 産経)

 
菅直人政権は、東日本大震災を原子力損害賠償法にある「異常に巨大な天災地変」には当たらないとして、事実上の東京電力解体を進めつつあるが、さらに、電力の送電と発電の完全分離や地域独占の廃止についても意欲的らしい。
 しかし、すでに本欄で指摘したように、
東電解体は原子力損害賠償法違反であり、ましてや、送発分離案や地域独占廃止案などは、悪い冗談
としかいいようがない。これらの電力改革案は、電力の送発が分離されていないからマグニチュード9・0の大地震が起こり、地域独占だったから津波が非常用電源を破壊したと言っているに等しいからである。
 こんな倒錯的な議論が登場してくる背後には、いまの混乱に乗じて以前挫折した自己プラン実現を画策し、あるいは、
新たに生まれる権益を獲得しようとする「火事場泥棒」のような行為が見え隠れ
している。
 先日、ある経済産業省キャリア官僚が退職打診を受けたが、この官僚が東電についての「改革案」を提示していたというので、一部のメディアは殉教者でもあるかのように持ちあげている。しかし、この人物がバラまいたいわゆる「Kペーパー」は菅政権の原発事故賠償スキームが原子力損害賠償法に違反していることを指摘しつつ、だからこそ、ただちに別の法律を作って東電を解体し、その勢いで電力の完全自由化を推進すべきだという内容のものだった。
 事故が起こってから別の法律をつくるというのだから事後法の禁止を犯しているだけでなく、この「Kペーパー」は、とてもエリートとは思えない品性の欠如した言葉でみちている。たとえば、「(東電は)原発事故が収束するまではお詫(わ)び広告の代わりに毎日社長が土下座会見をする」などという提案を読んで、このプランが国を憂うる心から生まれたと思う方がよほどおかしいだろう。
 東電叩(たた)きに便乗して菅政権は、幻想のような
自然エネルギー化を推進しようとしているが、これもまず東電を解体してしまうことが前提
となっている。この分野でも新しいヒーローが何人か誕生しつつあるが、その陰で何が起こりつつあるのかにも注目しなければならない。
 違法なビジネスが暴露されて破綻した米国のエネルギー取引会社エンロンが、絶頂期にあったとき採用した手法は
「アンバンドリング」と呼ばれた。それまでの業界をバラバラにするという意味だが、具体的には、政権と親密になって電力の送発分離や公益企業の解体を推進させるというものだった。その結果生まれてくる新しい市場やインフラストラクチャーをわがものとして、自らが新しい独占者となる
わけである。
 日本でも東電の解体によって同社の巨大なインフラが新しい利用者の前に差し出され、送発分離が行われれば新しい市場が生まれるだろう。しかし、電力の送発分離を実施した米国やドイツの例では、むしろ電力供給は不安定になり、電力価格は高騰し、地域独占も逆に進んだ。
 そしてまた、東電の解体によって新しいビジネスの対象となるのは電力のインフラだけではない。同社が保有している壮大な光ファイバー網が、すでにおいしい投資対象インフラとして垂涎(すいぜん)の的になっていることも、日本国民は見逃してはならないのである。(ひがしたに さとし)

 損害賠償法にある「異常に巨大な天災地変」が、千年に一度と言う大地震と津波が相当しなくて、どのような天災地変を差すのでしょうか。政府と東電が敵対しあうのではなく、一体となって被災者への支援と賠償に当たらねばならず、事故の終息に向け注力せねばなりません。
 
 発送電分離については、独占による弊害と一体管理による、安全・安定した供給のメリットとを比較検討が必要です。発送電分離による自由化では、記事に書かれている様な弊害実績もあります。
 「電力の送発が分離されていないからマグニチュード9・0の大地震が起こり、地域独占だったから津波が非常用電源を破壊したと言っているに等しい」との記述はオーバーだとして、「アンバンドリング」については遊爺も触れてきたことで、NTTの解体とそれに乗っかった寄生虫商法で財をなした実例を挙げるまでもなく、今回の脱原発・自然エネルギーへの移行風を新事業起業に役立てようとしている存在が、首相を踊らせているのが気がかりなのです。記事では、「火事場泥棒」という言葉を充てています。

 独占が自然エネルギー発電の新規参入を妨げているところは否めない部分があります。供給が不安定、送電線設備の投資が過大などの理由が挙げられています。が、それらは国民や企業が高コストの選択が選べるようにすればよいことで、政府が障壁を作る側に立たなければよいだけの事です。
 送発電分離・自由化は、NTTの分割民営化(NTT東西=地域サービスとコミニュケーション=全国基幹部分と言いながらコンシューマ事業もあり)を思い起こしますが、まだ勉強中です。
 
電力アンバンドリングの状況

 廃棄物の最終処理が確立されていない原発は、出来ることなら避けたい。CO2を排出し、資源が有限である化石燃料による火力発電も減らしていかねば、子孫に安全な地球を残せないとなると再生可能なエネルギーへの移行が望まれるのはだれにも異存はないことです。
 しかし、現在の技術では、原発の電力なしで産業活動の維持発展は困難とされています。(書類上の購入を含む保有能力と、供給有効能力の差異が不透明)
 話題造りで視聴率や購買数を追わざるを得ないメディアが造りだす流行の風に、雪崩を打って流される傾向の日本の世論。これが民主党政治による今日の日本の没落を産み出したのですが、エネルギー安全保障については、世界のリーダーシップをとれる実力を持つ日本ですが、同時に政治が足を引っ張ったり、火事場泥棒がいたりで、没落と空洞化を招きかねない危険性もはらんでいます。
 TTPは急ぐべきですが、脱原発と発送電分離・自由化はよく見極めることが必要だと考えます。




  尼崎農業公園の花菖蒲


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